ポートワインの故郷であり、ポルトガル発祥の地とされるポルトからロケはスタートしました。600kgもの黄金を使ったバロック装飾のるサン・フランシスコ教会の豪華さに圧倒され、街角のアズレージョに息をのみ、にぎやかなサンタ・カテリーナ通りをそぞろ歩き、ポルト市民の台所、ボリャオン市場を散策、そして迷路のようなリベイラ地区をさまよい、庶民の生活と出会う、そんな盛りだくさんな1日でした。
ズシリと重いデジタル一眼レフで撮影していた直後に、いきなり携帯電話で撮影する吉村先生の姿に違和感が…。でも、よく考えてみると、日々更新されている吉村先生のブログのためでした。
取材班が置き忘れたフォト・ビューワーをわざわざ車のところまで届けてくれたのは、見た目はヤンキーな若者だった。旅の途中での小さな出来事が取材班の心をとらえていく。 サウダーデのポルトガル。強烈ではないが、少しずつそして確かに心の奥に刻まれるポルトガルの印象。
リスボンのアルファマ地区は下町情緒があふれ、庶民の生活空間そのもの。迷路のような路地の中に、予期せぬ出会いが待っていました。高橋マリ子さんは、イワシ・パーティーに招かれたり、ひもの付いたかごのエレベーターを使って買い物のやりとりをするオジさんのたち友情に触れたり…。そこには日本が失いつつある古き良き時代がにありました。

今回の旅の中で、リスボンの北、中部エリアに固まった世界遺産をバスを使って巡りました。トマール、バターリャ、アルコバサ、シントラそしてリスボンに戻りジェロニモス修道院とベレンの塔、合計5カ所(初日のポルトを入れれば6カ所)の世界遺産を訪れたことになります。公共の交通手段を使った場合、日帰りの旅は不可能です。宿泊するならトマールか今回、高橋さんが「改めて行ってみたいのは、オビドスです。1日かけてゆっくり回ってみたいです」と語った、谷間の真珠オビドスがお勧めです。
人を撮るのが大好きな高橋さん。実は現地の人にカメラを向けるのが苦手で、いままでは後ろ姿の写真ばっかりだったらしい。「可愛い子供を撮りたいと思っても、遠慮してしまっていました。今回は取材なので思い切って声をかけていまます。みんな快く応えてくれるので、これからは声をかけられるようになったのではないかと思います」それを裏付けるような傑作カットが高橋さんのフォトギャラリーにUPされています。
リゾートのようにその場で完結してしまう旅と経験した事や出会った人をきっかけに歴史や文化などさまざまな興味が広がってゆく旅があります。ポルトガルの旅は、まさしく後者であり、いつも余韻を残します。
「なんだか自分の中では旅が終わっていないような感じです」と語ってくださったのは、ロケに同行したスッタフの言葉。高橋マリ子さんも「戻ってきてからテンプル騎士団など、少し歴史の勉強
  をしています」とのこと。中には、毎晩ポートワインが手放せなくなって、ブラジル人のモデルさんと見るやポルトガル語のレッスンを頼んで鬱陶しがられているらしいメイクのYさんの情報も届いています。
旅の途中で、吉村先生に、<吉村さんにとってのカナダとは?>という質問をしました。「自分の中では、最大・最良の国であり、もうひとつの故郷のようなもので、特別なもの」という回答を即座にいただき、カナダに対する愛情の深さを強く感じました。
そして今回、「ポルトガルはどうでしたか?」という質問を最後に残していたのですが、その答えは色彩あふれる写真
  の数々のなかで見つかりました。
地球上にはただそこに佇むだけでジ〜ンとくる場所があります。そのひとつがロカ岬。海に落ちる夕陽を見て心打たれました。ブルーモーメントを追い掛けていたら岬には人が誰もいなくなりました。本当にバスが来るのかな……と微かな不安を抱きながら最終バスを待っていた自分の姿も、今振り返るといい思い出です。(吉村和敏)