> 地球の歩き方創刊35周年記念「20代の旅レポ大賞」受賞者発表!

地球の歩き方創刊35周年記念 「20代の旅レポ大賞」
受賞者発表!

受賞作品

  • 【大賞】坂本茉衣子さん
     作品「地球の歩き方・人生編」

【賞品】世界一周航空券(エスティーワールド提供)、
ハイブリッド型総合書店hontoポイント10万円分

  • 【優秀賞】櫻井麻美さん
     作品「こんにちは、ルーマニア」
  • 【優秀賞】渡部洋一さん
     作品「巨石の村の、静かな丘」
  • 【優秀賞】吉原洋樹さん
     作品「僕はこうして一人になった」

【賞品】ハイブリッド型総合書店hontoポイント5万円分

地球の歩き方創刊35周年を記念して、2014年7月から2015年2月まで募集いたしました「20代の旅レポ大賞」(主催:(株)ダイヤモンド・ビッグ社、後援:一般社団法人・日本旅行業協会)ですが、上記のように受賞作品が決定いたしました。応募総数192編の中から、地球の歩き方編集室内での予備選考により15編を最終選考の対象作品に選出。選考委員(蔵前仁一氏、宮田珠己氏、たかのてるこ氏)3氏の合議により、大賞・優秀賞が決定されました。選考の理由については、各選考委員の方の選評をご覧ください。大賞作品は加筆修正のうえ、後日、電子書籍ストアhontoより電子書籍として刊行の予定です。

受賞された皆様、おめでとうございます。応募いただいた皆様に深く感謝申し上げます。今回の公募では、予想を上回る数多くの力作、佳作を応募いただき、私たちにとっても大きな刺激となりました。若い旅人たちが世界中を自由に旅していることに改めて勇気を抱かされました。地球の歩き方では、またこのような公募の賞を開催する計画です。次の機会には、ぜひあなたの旅の体験を私たちに教えてください!

「20代の旅レポ大賞」事務局

最終選考作品対象者(敬称略・エントリー順)

  • 土谷みずき
  • 白井耕平
  • 井口明
  • 高橋彩
  • 手塚大貴
  • 櫻井麻美(優秀賞)
  • 西沢幸恵
  • 窪田星子
  • 古川歩実
  • 渡部洋一(優秀賞)
  • 吉原洋樹(優秀賞)
  • 鈴木深雪
  • 岩ア祥子
  • 猪鼻真裕
  • 坂本茉衣子(大賞)

選評

選評風景

蔵前仁一(くらまえじんいち)

審査員 蔵前仁一

大賞に選ばれた坂本茉衣子さんの「地球の歩き方・人生編」はほぼ全員が候補に挙げた。カンボジア、インド、パプア・ニューギニアと旅し、精神病院に勤務した経験を重ね合わせながら、臭いや死に対する独特の感覚で旅のシーンを描写した作品が高い評価を受けた。

優秀賞の櫻井麻美さんの「こんにちは、ルーマニア」は、旅行よりよほど壮絶な家族の問題と、旅で出会った人々との交流を重ね合わせた作品。彼女が一度は書かなくてはならなかったものであることを強く感じさせた。

吉原洋樹さんの「僕はこうして一人になった」は、卒業旅行で初めて旅に出る不安と失敗続きの旅行記で、ネットを駆使する若者らしい旅の仕方をコミカルに描いている。読み手を意識した誇張表現が私にはおもしろかった。

渡部洋一さんの「巨石の村の、静かな丘」は、旅先で聞いた名も知らない遺跡へ立ち寄り、そこでまた旅行者と出会い、別れ、ふらりと立ち去って行く話。かつて旅行者はこのように旅をしていたなと懐かしく思い出させる作品だった。

惜しくも選には漏れたが、土谷みずきさんの出会いの描写力、鈴木深雪さん、手塚大貴さんの旅のシーンの切り取り方も評価したい。

たかのてるこ

審査員 たかのてるこ

私自身そうでしたが、ひとり旅には「その人の人生を大きく変える力がある」と思っています。特に「地球の歩き方・人生編」「こんにちは、ルーマニア」を読んで、その思いを強くしました。

「地球の歩き方・人生編」は、3つの旅を通して坂本さんがどんどんたくましくなっていくさまが興味深く、しかも、パプアのような未知の国にほぼ手ブラで入国って!(笑)。この前代未聞のハプニングに、創刊以来続く「地球の歩き方」のパイオニア精神を感じ、ドキドキハラハラ共感しました。 「こんにちは、ルーマニア」は、A4で58ページという大作だったこともあり、読み終えたとき、ルーマニアという国に触れたと同時に、櫻井さんというひとりの女性の人生にグッと付き合った感があり、とても読み応えがありました。

「巨岩の村の、静かな丘」は、現地で出会った旅人から「ハンピは最高だよ」と聞いて実際に訪れる展開に、旅っぽいロマンを感じました。私も渡部さんの旅レポに誘われて、ハンピを旅してみたくなりましたし!

「僕はこうして一人になった」は、旅先から親に何度も連絡するさまに目がテンになりつつも、親との距離感や質問サイトの登場等が今どきな感じを醸し出していて、吉原さんのサービス精神を感じる作品でした。

宮田珠己(みやたたまき)

審査員 宮田珠己

20代の旅レポ大賞、優秀賞受賞の皆様、おめでとうございます。最終選考に残った作品は、どれも旅の魅力が詰まっていたように思います。読んでいて、自分が旅に熱中しはじめた20代の頃を思い出し、いろんな思いがよみがえってきて、今すぐまた旅に出たくなりました。

個別に印象を述べると、ほぼ満場一致で大賞に決まった坂本さんの作品は、ユニークな語り口に強い魅力を感じました。一見すると奇をてらった文章のようにも見えますが、それが書き手にとっての切実な内面と結びついているので、無理なく読むことができます。構成は粗削りで無駄も多いものの、もっとも可能性を感じさせる作品でした。

優秀賞は意見が割れたのですが、櫻井さんの作品も、自らの家族の問題と向き合いながらの旅であり、これを書きたいという内的な必然性を強く感じさせるものでした。同時にルーマニアの一夫婦の苦悩が伝わってくる内容は、最終選考に残った候補作品のなかで一番射程の深いものだったと思います。 一方、吉原さんの作品はまったく逆で、旅に出た動機も旅の内容もへぼいのですが、そういう自分を戯画化し、読ませる作品に仕上げているその文章力に評価が集まりました。ヨーロッパではなく、アジアやアフリカを旅すれば、さらにへぼいものが書けるのではないかという期待の声もありました。

渡部さんの作品は、バックパッカーの旅をみずみずしく書いていて読みやすく、現地の空気感が伝わってきました。もう一歩踏み込みが欲しいという意見もありましたが、私が読んでここに行きたいと一番感じたのは、この作品に描かれたハンピでした。

このほか受賞は逃しましたが、手塚さんの作品に私は魅力を感じました。大型ハリケーンの襲来により、予定変更を余儀なくされた旅の途上で見たなんでもない風景。国木田独歩の「忘れ得ぬ人々」を思い起こさせるこのコンパクトな作品は、あまり語られることがないけれど、旅がたしかに持っている不思議な魅力を描いていて、強い共感を覚えました。 ほかにも印象的な作品はいくつもあったわけですが、結果的には、やはり大賞受賞の坂本さんの作品が一番魅力があったと思います。

大賞受賞作

「地球の歩き方・人生編」 坂本茉衣子

かれーインド 火葬場インド パプア貝ばあちゃん いんどおじさん

私は精神障害者専門の相談員の仕事をして9年。毎日精神科病院で働いている。性格は根暗で友人は妹を入れても蛙の片手で数えておつりがくるほどしかいない。休みの日は24時間中22時間床についているか、読書をしている。特技は尻を拭いてもいい草とダメな草を瞬時に見分けること。趣味は旅行。旅行に行くことができないときは大好きなアジアの市場の臭いの代換品として愛用中のごみステーションの芳しい薫りをかぐこともある。要するに旅中毒なのである。合コンでこの自己紹介では全くモテないだろう。しかしこの自己紹介はまだまだ日本社会に擬態した私が見せる外向きな自己紹介だ...

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坂本 茉衣子(さかもと まいこ) プロフィール

いい顔女ぱぷあ

1984年千葉県生まれ。岡山県で学生時代を過ごし、大学在学中に行ったカンボジアにて旅中毒に罹患。大学卒業後は精神保健福祉士として精神科病院に勤務。現在は兵庫県西宮市の相談支援センターにて精神障害者支援を行う。今まで何カ国旅したかは数えた事が無いが、今も働きながら年に数回世界中に出没。筋金入りの陰気で英語も全く喋れないが、「楽しかった~」と言って死ぬ!を人生のモットーに、奇想天外で濃厚な旅と魅力的な人に出会える仕事を糧に全力で人生を邁進中。旅中毒は予後不良である。

受賞のことば

表紙絵にはその国らしい絵がぼかされたタッチで描かれた「地球の歩き方」。旅行までの間、行った事のない国の小さな町の食べ物やバスの時刻表を見、その土地での生活を想像し、想いを馳せる。そして旅から戻り、表紙のぼかされた部分に旅で感じた最高の場面をはめ込む。出会った人々を想い還すためにわざとぼかされた表紙絵なのだと勝手に思っている。
私がそんな旅で得た生きるモットーは「楽しかった〜」と死ぬ事だ。そのためいつ死んでもいいように一日一日を生きている。そんな私の思想はこれまでに出会った人達が、生き様や時には死をもって教えてくれた事で構成されている。特に取り柄のない私だが今痛い所も無く、明日の食べ物もある。このような「生きている」という奇跡が続いている間に私を形成してくれた人達に、世界に、考察をお還ししたいと思い書いた。そして今この受賞によりさらなる出会いへの高揚感を感じている。この高揚感は旅に出る前と全く同じだ。