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ヘミングウェイが愛した風景 〜トルチェッロ島〜

「ヴェニス(ヴェネツィア)もまた、もうひとつの故郷だな。イタリアはまったく素晴らしい。なんていくか、死んで天国に行くようなかんじかな。見たこともないようなところへ来たというか」

……『パパがニューヨークにやってきた』(マガジンハウス刊)より

ヘミングウェイの面影を探して

イタリア、そしてヴェネツィアを心から愛したヘミングウェイ。 編集部がおすすめするデスティネーションは、ヴェネツィアから40数分の船旅で到着するトルチェッロ島。ヴェネツイアを訪ねる日本人観光客は多いが、この島まで足を延ばす人はごくわずかだ。島には、へミングウェイが定宿としていた小さなホテルがあり、そのホテルには彼が毎晩グラスを傾けたといわれるバーも残っている。

トルチェッロ島は、ヴェネツィア発祥の地のひとつ。5〜10世紀には、貿易上の重要拠点として栄え、人口は2万人を超えていたが、現在は、60人ほどの住民しかいない。教会と聖堂がひとつずつ建ち、ヴェネツイアの原風景を残した静かで幻のような島。

ロカンダ・チプリアーニでの生活

ヘミングウェイはヴェネツイアで暮らし、朝は読書、昼食前に町を散策するのが日課だった。毎日、アカデミア美術館を訪れ、ティントレットの絵を眺める日常を愛していた。しかし、いつしかヴェネツイアの喧噪を離れ、トルチェッロ島のシックなホテル「ロカンダ・チプリアーニ」で生活するようになった。わずか6室のこのホテルは、当時ジュゼッペ・チプリアーニが所有しており、エリザベス女王とエジンバラ公、亡きダイアナ元皇太子妃も訪れている。ヘミングウェイはここでサンタ・フォスカ教会にちなんで命名された部屋を借り、バーには隅に自分専用のテーブルを用意させたという。

ロカンダ・チプリアーニは、一時クローズしていたが2001年4月より営業を再開。宿泊する時間的余裕がない人は、食事だけでも楽しんでみるといいだろう。このホテルは、老舗レストランとしても知られており、チプリアーニ家伝統のレシピで昔ながらの味を提供し続けている。自家製パスタやアルデンテに仕上げられたリゾット、特製ドルチェ(デザート)など、メニューは日替わり。カルパッチョももちろんある。

文豪は階下にあるバーの一角に据えられた長椅子にもたれて飲むのが好きだった

文豪は階下にあるバーの一角に据えられた長椅子にもたれて飲むのが好きだった

サン・ピエトロ(まとう鯛)のフィレ《カリーナ風》、カリーナはジュゼッペの愛娘のニックネーム

サン・ピエトロ(まとう鯛)のフィレ《カリーナ風》、カリーナはジュゼッペの愛娘のニックネーム


花々が咲き競う中庭、古い井戸、教会を望む部屋、そして心やさしい人びと……。ここには、ヘミングウェイが愛したイタリアのすべてがいまもある。

※「ロカンダ」とは「安宿」と言う意味。

Massage from Locanda Cipriani

『ヘミングウェイは、有名作家というよりはカモ狩りに熱中する大酒飲みでした。』

ロカンダ・チプリアーニの現オーナーであるボニファチオ・ブラス氏は、ヘミングウェイについて次のように話してくれました。

現オーナーのブラス氏はローマ生まれ。1981年にロカンダ・チプリアーニを引き継いでいる

現オーナーのブラス氏はローマ生まれ。1981年にロカンダ・チプリアーニを引き継いでいる

「残念ながら、私は直接ヘミングウェイと知り合うことができませんでしたが、家族からよく聞いたエピソードをお話ししましょう。ヘミングウェイは、とくに1948年の冬、ロカンダ・チプリアーニに長期滞在されていました。その間、彼は狩猟の虜となり、ラグーナで長時間にわたりカモ狩りに熱中されていました。当時は有名な作家というよりは、大酒飲みで有名でした。ロカンダの1階にある暖炉の前でコクのあるアマローネ、マルティーニを片手に長時間過ごしていたということです」


トルチェッロ島 Torcello

アクセス:
Fondamenta Nuove(フォンダメンタ・ヌオウェ)発ヴァポレット(水上バス)12番/14番で約45分 Torcello下船。
見どころ:
Fondamenta ヴェネツィア最古の教会であるサンタ・マリア・アッスンタ聖堂、殉教者を祀ったサンタ・フォスカ教会、島の歴史を伝えるエストゥアリオ博物館など。

ロカンダ・チプリアーニ Locanda Cipriani

住所:
Piazza S.Fosca 29 - 30012 Torcello Venezia Italia
アクセス:
Fondamenta Nuove(フォンダメンタ・ヌオウェ)発ヴァポレット(水上バス)12番/14番で約45分 Torcello下船。
TEL:
0039-041-730150
FAX:
0039-041-735433
URL:
www.locandacipriani.com
E-Mail:
info@locandacipriani.com
booking@locandacipriani.com
オーナー:
Carla Cipriani(カルラ・チプリアーニ)、Bonifacio Brass(ボニファチオ・ブラス)、シェフ:Renato Ceccato(レナート・チェッカート)
料金:
1人 120ユーロ 朝食・税込み
1人 170ユーロ 朝食・昼食・税込み
客室数:
6室(その内3室はツインルームでサロット付き)
ファシリティ:
各客室にトイレ、バス、エアコン、電話、テラスを完備
バカンス:
1月〜2月中旬はクローズ

ハリーズ・バーはパリにもある!

花の都パリ。ヴァンドーム広場やオペラ座近くのドーヌー通りに「ハリーズ・ニューヨークバー」はあります。ヴェネツィアのハリーズ・バーとは直接関係はありませんが、1920年代、パリで暮らすアメリカ人の知識層に人気だった場所です。もちろん、ヘミングウェイも通っていました。また、この店でブラディ・マリーやサイドカーなどのカクテルが誕生しています。フランス語ではなく、英語が飛び交い、いまもアメリカ人が集まってくるバーとして知られています。店内には、ヘミングウェイの写真も飾られています。

DATA

  • ハリーズ・ニューヨーク・バー Harry's New York Bar
  • 住所:5,Rue Daunou Paris
2004年2月


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地球の歩き方ガイドブック 編集部