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2004年新規登録の世界遺産 注目物件1 ブレーメン

新登録になったばかりの世界遺産から、とくに注目すべき物件として、観光客に人気のメルヘン街道の都市「ブレーメン」と、地震で壊滅的な被害を受けたイランの「バム遺跡」を紹介する。

ブレーメンの音楽隊で知られるメルヘン街道の小さな町(ドイツ)

▼世界遺産データ

「ブレーメンのマルクト広場にある市庁舎とローラント像」 Town Hall and Roland on the Marketplace of Bremen 文化3,4,6 ドイツ

ブレーメンの音楽隊の像

ブレーメンの音楽隊の像

ブレーメンと聞いて、最初に思い出すのが『ブレーメンの音楽隊』。年を取り、家から追い出されたロバ、イヌ、ネコ、ニワトリは、楽士になるために、ブレーメンへ向かうが、途中の森で泥棒が住む家を見つける。動物たちは、協力して泥棒を追い出し、泥棒に代わってその家に住み、楽しく暮らしたという話だ。そう、実はこの話はブレーメンが舞台でもなければ、動物たちは結局ブレーメンに着くことすらない。とはいえブレーメンの観光大使ともいえるこの動物たちはその功績(?)が認められ、市庁舎の横に銅像となっている。


さて、ブレーメンが世界遺産に登録されたのは、音楽隊で有名だからというわけではない。ブレーメンはハンザ同盟に入っていた中世の有力都市で、世界遺産に登録されたマルクト広場の市庁舎は、もともと15世紀にゴシック様式によって建てられ、17世紀に正面のファサードがルネッサンス様式によって改築されたという由緒あるもの。 ハンザ同盟とは、北海、バルト海の商業発展のために結成された北ドイツを中心とする都市同盟で、ハンブルクとリューベックがその中心だった。最盛期には100以上もの都市が参加し、13、14世紀に繁栄を誇ったが、15世紀に入ると徐々に衰退し、1618年から始まる30年戦争で事実上消滅した。ブレーメンは他のほとんどの都市が領邦国家に組み込まれるなか、自由都市を維持し、現在ではドイツ最小の州となっている。

マルクト広場の市庁舎

マルクト広場の市庁舎

ハンザ同盟都市ハンブルク

ハンザ同盟都市ハンブルク


もうひとつ、広場の中心に立つ平和と権利のシンボル「ローラント像」も世界遺産名となっている。世界遺産に銅像や人名が登録されることは極めて稀なこと。ローラントってどんな人だろう?
ローラントは、中世ヨーロッパを代表する叙事詩『ローランの歌』の主人公だ。叙事詩ではカール大帝の甥にして片腕、そして何よりも勇猛な騎士だったが、仲間の裏切りにあい、当時イスラーム支配下だったスペインで戦死する悲劇の英雄として描かれている。全長5.5メートルのローラント像は、平和と権利のシンボルであり、この像が立っている限り、ブレーメンはハンザ同盟都市でいられるという伝説がある。

ローラント像

ローラント像


ドイツ、メルヘン街道地図

ドイツ、メルヘン街道地図

メルヘン街道は、グリム童話の著者グリム兄弟が生まれた町ハーナウからブレーメンまで続く、南北600キロメートルにおよぶ街道。

途中には、グリム兄弟ゆかりの地ハーナウ、ゲッティンゲンをはじめとして、赤ずきんちゃんのふるさとシュヴァルムシュタット、いばら姫の舞台ザバブルク、笛吹き男の伝説が残るハーメルンなど、小さい頃誰もが読んだ童話の舞台が点在している。トレンデルブルク城はグリム童話の挿絵としてラプンツェルの塔のモデルとなった城で、現在は古城ホテルとして宿泊することも可能だ。


ハーナウにあるグリム兄弟の像

ハーナウにあるグリム兄弟の像

マールブルクの町並み

マールブルクの町並み


2004年9月


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地球の歩き方ガイドブック 編集部