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小さな中世の世界遺産都市 フランス・プロヴァン

Text & Photos by Ofice GUIA

2001年、世界遺産に登録された「中世市場都市プロヴァン」。パリ近郊の世界遺産といえば、ヴェルサイユやフォンテーヌブローがあり、一年中観光客であふれている。だが、プロヴァンは、パリから80kmと近いわりに、訪れる人がまだまだ少ないようだ。目を見張るような華やかなモニュメントはないが、中世の市場町の雰囲気がそのまま残るヨーロッパでも貴重な町。歴史やおとぎ話の好きな人ならきっと魅了されることだろう。

▼中世市場都市プロヴァン
(登録年:2001年)

町のシンボルになっている、12世紀の物見櫓、セザール塔

町のシンボルになっている、12世紀の物見櫓、セザール塔

ヨーロッパの十字路

パリ東部に広がる平原地帯シャンパーニュ地方は、イタリアと北ヨーロッパを結ぶ交通の便に恵まれ、中世には商業の要の地として栄えた。プロヴァンは、12世紀から13世紀にかけて、ヨーロッパで最も人気のある市場町だった。 年に2回の定期市、「シャンパーニュの大市」には、ヨーロッパのあらゆる場所から、さまざまな産物が集まった。北方の町からは毛織物や毛皮、南方からはワイン。東方からは、コショウなどの香辛料、香料、貴金属、絹製品など、誰もが欲しがる贅沢な品々が、イタリア商人によって運び込まれた。

市場町だった頃の面影が残る町並み。商家の地下には、市に出す品々を貯蔵した倉庫が残っている

市場町だった頃の面影が残る町並み。商家の地下には、市に出す品々を貯蔵した倉庫が残っている

セザールの塔から見る12世紀建造のサン・キリアス教会

セザールの塔から見る12世紀建造のサン・キリアス教会

祝祭都市、プロヴァン

プロヴァンに集まったのは商人たちだけではない。年に2回、それぞれ50日も続く定期市は、お祭りの絶好の機会だった。吟遊詩人の愛の歌に乗って、貴婦人と騎士が優雅なダンスを踊った。町の至る所で、楽士たちが音楽を奏で、軽業師たちが曲芸を披露していた。
14世紀以降、町は次第に衰退し、長い間、歴史の流れから取り残されてしまう。それが幸いしてか、現在のプロヴァンには、かつての市場町の姿が驚くほど完璧な形で残されている。

楽士たちが音楽を奏でると、みんなが踊りはじめる

楽士たちが音楽を奏でると、みんなが踊りはじめる

セザール塔の上からは、城壁に囲まれた中世の町並みが一望できる

セザール塔の上からは、城壁に囲まれた中世の町並みが一望できる

誰もがおとぎ話の登場人物になれる中世祭

プロヴァンのかつての賑わいがどんなものだったかを、実際に感じてみたかったら、6月の中世祭に行ってみよう。2000人もの住民たちが中世の人物になりきって町を闊歩し、町全体がタイムリップしたかのように思える、とても楽しいお祭りだ。
騎士に貴婦人、吟遊詩人、商人から、魔女やボロをまとった物乞いまで、さまざまな職業、あらゆる階層の人々が通りを行き交う。楽士の音楽に合わせて踊る人々、火吹き芸人、広場では騎士の馬上試合。屋台で売られている食べ物もすべて豪快な中世風だ。中世装束の人々に混じって豚の丸焼きなど食べていると、自分もおとぎ話の登場人物になったような気がしてくる。

馬に乗った中世の騎士。町全体が中世にタイムスリップしたかのよう

馬に乗った中世の騎士。
町全体が中世にタイムスリップしたかのよう

ごちそうの食卓を囲む中世の人々

ごちそうの食卓を囲む中世の人々

生きた歴史博物館

プロヴァンでは、中世祭のほかにも、8月末の収穫祭、クリスマス市など、中世の町並みを生かしたお祭りが開かれる。騎士の馬上試合や、鷹が観客の頭上すれすれに飛ぶ迫力満点のショーなどは、4月から10月までほとんど毎日見ることができる。 ここは、誰もが中世を身近に感じることができる、「生きた歴史博物館」なのだ。

(上)田舎家のように素朴な民家が並ぶ

(上)田舎家のように素朴な民家が並ぶ

(右)中世祭では、町の至る所で中世の暮らしが再現される

(右)中世祭では、町の至る所で中世の暮らしが再現される

プロヴァンを訪れるには

アクセス:パリ東駅から国鉄SNCFで約1時間20分。車で来る人が多いため、プロヴァンの国鉄駅周辺には観光案内所はない。町をはさんで駅と反対側にある。駅から、高台にある中世の町までは歩いて10分ほど。

▼中世祭:
毎年6月中旬の土日曜に開催http://www.provins-medieval.com
▼観光案内所:
TEL:01.64.60.26.26  FAX:01.64.60.11.97 http://www.provins.net
2004年9月


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地球の歩き方ガイドブック 編集部