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メキシコ ルイス・バラガン邸

ルイス・バラガン。2002年に東京現代美術館で「ルイス・バラガン展」を見に行って以来、注目していた現代建築家。2004年2月、ついにメキシコで彼の作品を見ることができた。その完成された造りとデザインにあらためて感動し、7月に発行した「地球の歩き方 メキシコ編」では6ページに渡って特集した。それから1週間後、中国の蘇州で開かれた第28回世界遺産委員会で

「地球の歩き方 メキシコ編」では、ルイス・バラガン邸の内部撮影も行っている。こんな特集を組んでいるガイドブックは「地球の歩き方」だけ!

「地球の歩き方 メキシコ編」では、ルイス・バラガン邸の内部撮影も行っている。こんな特集を組んでいるガイドブックは「地球の歩き方」だけ!


「ルイス・バラガン邸と仕事場」が文化遺産として選ばれた。 現代建築家であるバラガンの作品が選ばれた背景には、「新たな分野に焦点を当てていく」という委員会の方針に合致したためらしいのだが、そんな難しいことよりも、メキシコ編で紹介してばかりのバラガンが世界遺産になった!ということのほうが単純にうれしかった。そこで今回は、メキシコ・シティにおけるバラガンの作品を巡る旅について紹介していきたい。

▼ルイス・バラガン邸と仕事場(登録年:2004年)

ルイス・バラガンってどんな人?

ルイス・バラガンは1902年にメキシコ第2の都市グアダラハラで生まれた。1923年にグアダラハラの自由工科大学を卒業。そして1935年に活動拠点をメキシコ・シティに移した。1980年にはプリツカー賞(建築のノーベル賞と称されている)を授賞し、世界からも注目される存在となり、日本でも、2002年の4月に東京現代美術館で「ルイス・バラガン展」が行われたことで注目を浴びた。
バラガンは、メキシコ・シティでさまざまな建築を残しており、今回世界遺産に登録された「ルイス・バラガン邸」をはじめ、「ヒラルディ邸」、「オルテガ邸」などの個人宅、「サテライト・タワー」のようなモニュメント、さらには「ラス・アレボレーダス」、「ロス・クルベス」などの宅地開発まで、実に幅広い活動を行ってきた。彼が評価されてきたのは、色、光、空間の創り方にあると言われている。

街のシンボル的モニュメントであるサテライト・タワー。下の道路を走る車と比べればその大きさがわかるだろう

街のシンボル的モニュメントであるサテライト・タワー。下の道路を走る車と比べればその大きさがわかるだろう

ロス・クルベスの入り口。ここから先を見学するのは、許可が必要となるので一般的には難しい

ロス・クルベスの入り口。ここから先を見学するのは、許可が必要となるので一般的には難しい

ルイス・バラガン邸の内部見学ツアー

まず、始めに訪れたのがルイス・バラガン邸。大学生のボランティアが一緒に回りながら説明をしてくれた。光の角度が計算されているという玄関から始まり、雑誌やテレビで目にした部屋に次々と案内される。その全てに感動するのだが、日本人であれば必見なのが、2階にあるゲストルーム。案内をしてくれた学生の話では、建築家の安藤忠雄さんがここに泊まり、4つに分かれた窓のパネルから浮かび上がる光の十字架に感激していたそうだ。案内は全て英語なので、訪れる前に日本で勉強していったほうが、よりわかりやすいだろう。バラガン協会のマネージャーの話だと、日本人はかなりの人数が訪れているらしく(特に学生)、バラガン邸の待合室でも日本人しかいなかったし、窓に貼ってある注意書きにも日本語が書かれていた。ヒラルディ邸、オルテガ邸に関しても、バラガン邸で手続きをすればツアーで見学できるようになっている。

世界遺産に登録されるほどの建築であるとは想像ができないほどシンプルな造りになっている、ルイス・バラガン邸の外観

世界遺産に登録されるほどの建築であるとは想像ができないほどシンプルな造りになっている、ルイス・バラガン邸の外観

ヒラルディ邸は個人宅のため、見学をするにはバラガン邸をとおして予約をしなければならない。

ヒラルディ邸は個人宅のため、見学をするにはバラガン邸をとおして予約をしなければならない。

街に影響を与えたバラガンの存在

首都北西部に位置し、街のシンボルである「サテライト・タワー Satellite Towers」は1957-1958年の間に都市開発の一環としてマティアス・ゲーリッツとの協同で造られた。ケレタロ州への幹線道路沿いに立つそのモニュメントの存在感には、ただただ圧倒される。
サテライト・タワーから更に北へ足を延ばす。Paseo de Los Gigantes沿いにある公園には、ベベデロ噴水 Funte del Bebedero(1959-60)とカンパナリオ噴水 Funte del Campanario(1959-60)がある。公園と一体したその景観を造り出したのがバラガンであることを、そこに住む市民は知っているのだろうか? いずれの場所も、シティ中心部からの公共交通機関では行きにくいので、観光タクシーで行くことをお勧めする。特にサテライト・タワーは市民にも馴染みのある物なので、問題なく行くことができるはずだ。また、メキシコ・シティにはバラガンの影響を受けた建築物やホテルもあるので、ぶらりと歩いていてハッとさせられるような建物に出合う楽しみもあるだろう。

(上)公園の端に位置する壁と水汲み場。今は水が張られていないベベデロ噴水
(左) 街のシンボルとして作られた当初と現在の色が違っているサテライト・タワー

(上)公園の端に位置する壁と水汲み場。今は水が張られていないベベデロ噴水

(左) 街のシンボルとして作られた当初と現在の色が違っているサテライト・タワー


静かな公園に響くカンパナリオ噴水の音を聞きながら、旅の疲れを癒したい

静かな公園に響くカンパナリオ噴水の音を聞きながら、旅の疲れを癒したい

バラガンに影響を受けた建築家が設計したといわれる教会

バラガンに影響を受けた建築家が設計したといわれる教会

■ルイス・バラガン邸の見学にあたって

「ルイス・バラガン邸と仕事場」は、1948年に建てられた。バラガンは1988年に死去するまでの40年間をここで過ごしたそうだ。内部の見学(写真撮影禁止)をするためには、あらかじめ現地のバラガン協会にアポイントを入れておかないと、見学を断られる場合もあるので注意しよう。また、ヒラルディ邸、オルテガ邸に関しても、ここをとおさないと予約ができない。ルイス・バラガン邸は、メトロ7号線のConstituyentes駅から徒歩5分、Ramirez通り沿いにある。

住所:General Francisco Ramirez 14, Colonia Tacubaya,Mexico D.F

2004年9月


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地球の歩き方ガイドブック 編集部