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アニヴィエの谷へ

2004年6月11日午前

シャモニへの小旅行

●モンブラン急行に乗車

今日はモントルーからグリメンツまでの移動の日。ストレートに動けば2時間くらいでグリメンツに到着してしまうので、シャモニへ向かう登山列車、モンブラン急行に乗車することにする。

マルティニの駅で降りモンブラン急行が発車するホームに向かうと、列車はすでにお客さんでいっぱいだ。空いている車両を探して前のほうに行くと、そちらは予約車両。うろうろしていたら、赤いシャツの係員から声をかけられた。「シャモニに行くのかい? だったらこの車両に乗っていいよ。何、ひとりくらいなら大丈夫」という。

赤と白の車体ペイントがスタイリッシュなモンブラン急行

予約車両はドイツ語を話す中高年でいっぱいになった。みんな大声でしゃべり、誰かのジョークに車内のみんなが笑っている。ここにビールでも持ち込んだらどうなることか……。

モンブラン急行はまずマルティニの町をごろごろと走り、ほんの数分で谷へ入る上りにさしかかる。進行方向に向かって右側の席から谷を見下ろすことができるが、旅の中盤以降は進行方向左側のほうが景色がいいので、あえて右側に座ることはおすすめしない。

谷間の町の景色には残念ながらあまり風情がない

●車窓の風景に大喜び

団体客のおしゃべりはやむことを知らない。列車が谷に入り、左側に景色が広がるようになると、カメラをもったおじさんたちは小さな子供のように窓に張り付いて車窓の景色を眺めている。

乗車してすぐは「うるさいし、身動き取れないし、これは参ったなあ」と思っていたが、乗客の反応を見ていると、さまざまなポイントでいろいろなリアクションをしているので、どんなことが彼らを楽しませているかがわかる。ガイドブックを作る身としてはなかなか勉強になるシーンだった。

身を乗り出して写真撮影。ちょうど雪をかぶった山頂が見えていた

●折り返し点に到着

本当はシャモニまで行って町の様子を見たかったのだが、今日は天気が崩れそうとの天気予報を見ていたので、2時間ほど早くグリメンツに到着することができるよう、途中で折り返すことにした。折り返しの駅は「Montroc-le-Planet」だ。

この折り返し点となる駅のことは事前情報なしに決めたのだが、シャモニの方向にはすでに針のように見える山々が見えていて眺めがいい。列車を待っているうちにこの駅での乗客は数人になった。マルティニ行きの列車はがらがらだったので、行きに見ることができなかった方向の景色を満喫しながらマルティニに戻った。

モンブランはもう間近だ。左側の山々が針峰群

2004年6月11日午後

花の村 グリメンツに到着

●言語の境界点から谷の奥へ

グリメンツ村に行くためにはシエールで下りてヴィソワ経由のポストバスを使う必要がある。この列車の降車駅シエールSierreは、ドイツ語でジダースSidersという名前ももつ。ここは言語の境界点となる場所なのだ。

谷の奥の村グリメンツはフランス語を使う村だが、麓のシエールは両言語の表記を採用している。スイスの特殊性を紹介するのにいい例なので、ポストバス出発の時間まで、駅の看板を撮影した。

フランス語とドイツ語の表記が入った駅名看板。ホーム表示の言語も実は両国語が使われている

シエールを出たポストバスは右に左にと向きを変えながら崖っぷちの道を疾走する。ガードレールもところどころにしかない道なのにすごいスピードだ。進行方向右側に座ると、切り立った崖の下まで見えてしまうので、高い場所が苦手な方は行きは進行方向左側の席に座ることをおすすめする。

中継点のヴィソワまで来ると谷は少し緩やかになる。谷を下り間もなく上り始めると、目的地のグリメンツはもうすぐだ。ここでも斜面には花々が咲き乱れている。

こんな崖にきられた道をバスはすいすいと走っていく

●早過ぎた訪問

グリメンツ村は家々が花を飾りつけることで有名な場所だ。きっとこぼれんばかりのゼラニウムやほかの花々が飾られているのだろうと、村の散策に出てみると、聞いていたような花々の飾りつけは見当たらない。

注意して見てみると、花は咲いていないが鉢がある家や、鉢を置く場所があるのにまだ何も入っていない家がある。まだ季節的に早いようだ。あとで気付いたことだが、宿泊した宿も客は私ひとりだけだった。

花の飾りつけが比較的きれいだった家。色使いがうまい

■今日の花の風景■

村中の家々を飾る花を見ることができなかったこと、また到着して間もなく雨模様になってしまって、状態のいい写真を撮ることができなかったのは非常に残念だが、おかげでこれまでのスケジュールのうちで最もゆったりと過ごすことができた。

今日の花の写真は、グリメンツ村の境界裏の墓地のお花畑。とても眺めのいい場所にあり、ひとつひとつのお墓もきれいに花で飾られている。まるで花壇のようなにぎやかさだった。

お墓は村の絶景ポイントにある

2004年06月


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地球の歩き方ガイドブック 編集部