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イタリア語圏の旅

2004年6月18日

パーム急行 サンモリッツ〜ルガーノ

●風情のある村を通りながら峠越え

今日はポストバスの旅の日。「パーム急行」と名付けられた、サンモリッツ〜ルガーノ間を結ぶバスに乗車する。バスは予約が望ましく、私も鉄道駅の窓口で予約を済ませておいた。そのときはスイスパスを持っていた(この区間に有効な乗車券を持っていた)ためか、特に何もバウチャーをもらわなかったが、バスに乗り込むときに予約料として10フランを徴収された。

サンモリッツを出発したバスは数分から10分おきに停車ポイントを過ぎていく。湖沿いの道を走っていると、あちことでお花畑を目にすることができ、もっとこのあたりを巡っておけばよかったと思ったほど。

バスの出発点はサンモリッツ鉄道駅。いつもながらぴかぴかに磨かれたバスが到着した

バスは谷へ入り高度を上げ始めた。さすがに各停留所からの乗客はいないが、それでも「こんなところに滞在している人がいたんだ」と思うような場所から、旅行客が荷物とともに乗車してくる。谷の村はスイスのほかの地方では見られない、石造りの特徴的なものが多く、見ていて飽きない

また左側の山々はサンモリッツからは見られない荒々しい山肌を見せてくれ、山の景色も乗客を飽きさせない。こんなに景色がすごいところを通るバスだとは思っていなかった。次々とカメラのシャッターを切った。

バスはときどき独特の三連音(ホーン)を鳴らしながら狭い道を行く

●気持ちがいい湖畔のドライブ

深い谷を通り抜け国境も越えると、道路は狭くなってきた。特に村のなかや湖沿いの道は、バスと乗用車がカーブですれ違うことが難しいようなポイントも多く、お互いに停車してわずかな隙間をぬって、車体を進めている。

コモ湖畔までやってくると、道は相変わらずカーブしているが、いかにもイタリアという景色が見えてくるので、のろのろ運転も楽しい。気温もだいぶ上がり、湖畔を歩く人々はみんな半袖だ。標高が高く寒いサンモリッツとはまったく違う場所に来ていることを実感する。
再びスイスに入ると、バスはほどなくルガーノ鉄道駅に到着。こちらも人々はみんな真夏の格好で歩いており、暑さだけでなく町の雰囲気も開放的だ。フニクラを使って下の町に下り、宿に入った。

コモ湖畔を通過中。ああ、もうここで降りてもいい! と思うほどのいい景色

■今日の花の風景■

ベルニナ急行の路線ではそれほどお花畑を目撃しなかったのだが、シルスマリアやマローヤを通過していく間に、多くの場所で黄色の花の絨毯を目にすることができた。

紹介した1枚はマローヤを過ぎて、山のほうへ入りかけたあたりでの撮影。このあたりは両側にお花畑が広がり、わずか1〜2分間に10カット近くを撮影していた。

今の時期は峠に上る手前で黄色のお花畑を目撃することができた


2004年6月19日

チェントバリー鉄道

●「百の谷」への旅

チェントバリー鉄道の「チェントバリー」とは「百の谷」を意味している。ロカルノからイタリアのドモドッソラを結ぶ路線がチェントバリー鉄道と呼ばれており、渓谷を見ながら旅ができる路線として有名だ。

この路線の名前からしても、いかにも絶景のルートを通りそうだが、出発駅のロカルノのホームはなんと地下。しかも5分近くも地下を走ってから地上に出て行くのだ。しかし、この鉄道の旅は期待を裏切らないすばらしいものだった。

最初の大きな見どころとなる鉄橋に差しかかるところ

チェントバリー鉄道の車窓の景色は、イタリア方向に向かう列車に乗車している場合は左側のほうがいい。新型車両だと低床式ボディとなるが、できるだけ高い位置にあるシートに座ることをおすすめする。窓を開けて景色を見るような場合、低い床の座席では自分の背丈よりも窓が高い位置にきてしまうためだ。

列車は最初の見どころとなるIntragna手前の鉄橋を通ると、ずっと左手に渓谷を見ながら進んでいく。区間によっては日本の風景を見るように錯覚する景色もあり、私は黒部渓谷鉄道に乗っていたときのことを思い出した。

単線なので駅で列車のすれ違い待ちがある。イタリア側から列車が到着

●ハイライトはこの区間

列車はイタリア側に入ってしばらくすると平坦な場所を通り、再びちょっと高度を下げてからドモドッソラに向けて下りていく。全線乗車の時間がなければ、スイス側だけでの乗車でもけっこう満足することができるだろう。

特に鉄橋を渡ってすぐにある駅Intragnaと国境駅のCamedoの間の景色が絶景だ。ドモドッソラから帰るときは車両がほぼ満員となっていたが、この列車の景色がすごいものであることを知らない乗客もいたようで、この区間の谷のあたりでは立ちっぱなしで車窓の景色を見ていた人もいた。

深い渓谷を左手に見ながらイタリア側へ向かう

●途中下車をするならば

この路線のどこかで途中下車をするなら、何度も紹介しているIntragnaという駅がいいだろう。ここで下車すれば景色のいいレストランで食事をとることができるし、有名な鉄橋を通る列車の走行写真も撮ることができるからだ。

鉄橋を通る列車を撮るなら駅から右手に進み、すぐに線路を渡って下りていく道にしたがって歩いていくといい。車道が通る橋のほうが少し低い位置にあるので、鉄橋を見上げる形で写真を撮ることができる。

最初の見どころと紹介した鉄橋はこれ。もうひとつのアングルの走行写真のほうが有名だ


2004年6月20日

ルガーノ近郊の訪問

●アウトレットセンター「FOX TOWN」を訪問

イタリアとの国境に近い町メンドリージオには、FOX TOWNというアウトレットセンターがある。今日は、早朝は雷雨で朝になっても雨が止まない天気だったので、ここを最初に訪れることにした。FOX TOWNに行くには、国境駅のキアッソまで電車で行き、そこからポストバスを使うのが便利だ。バスは平日で1時間に1本の割合で運行しており、鉄道駅からは十数分のドライブで着くことができる。

FOX TOWNの売り場は、地上2階と3階、4階をメインに、100軒近くの店舗が入っている。レストランやカフェもあるので、買い物の合間に食事や休憩をすることもできる。グッチやプラダ、バリーなどの有名ブランドも入っており、割引価格で購入することができる。今日は日曜日ということもあってか、あいにくの天気にもかかわらず大勢の客が入っていた。

FOX TOWNは吹き抜けの建物がふたつくっついたような形。MAPを見ながら目的の店を探すといい

●世界遺産「サン・ジョルジョ山」

スイスの世界遺産はそれほど多くないが、2003年に世界遺産に指定されたばかりの山がある。ルガーノからちょっと南に下ったところにあるサン・ジョルジョ山という山だ。ここは重要な化石がとれる山として世界遺産に指定されたという。この山の情報もなければ写真もないという状況だったので現地を見てみることにした。

サン・ジョルジョ山の麓の村は、リーヴァ・サン・ヴィターレという場所。鉄道駅のカポラーゴ・リーヴァ・サン・ヴィターレ駅から徒歩15分くらいで行くことができる。事前情報ではここには特に何もないと聞いていたが、実際に足を運んだところ、やはり特別なものは発見できず、雨足が強くなった道をとぼとぼと引き返した。
しかし、この村を挟んで向かい側にそびえる山は標高が1704mあり、登山鉄道も走っている様子だ。明日は天気が回復しそうなので、今度はこちらを訪れてみようと思う。

残念、雨降りの天気で山の景色も今ひとつ

●ルガーノの町について

スイス最南端のイタリア語圏の州のメインとなる町がこのルガーノだ。寒いといういう印象があるスイスでも温暖な気候に恵まれており、実際、この時期でもサンモリッツの気温が10度台だというのにこちらは20度後半にもなっている。町の雰囲気も非常に南欧的だ。

ルガーノの町の特徴は、町が斜面に広がっているという点にもある。町がこぢんまりとしていて歩きやすく、かつ湖に面しているという点ではルツェルンとも比較してみたくなるが、ルガーノのほうが坂がある分、町の景色にいっそうの変化を与えてくれているようだ。今回は週末の滞在で町歩きが今ひとつ楽しめなかったが、次回は町そのものを楽しむために滞在してみたいと感じた。

鉄道駅方向から町を撮影


2004年6月21日

ジェネローソ山へ

●登山列車の短い旅

今朝の天気は薄曇り。今ひとつすっきりと晴れないが、昨日気になったサン・ジョルジョ山の向かい側の山「ジェネローソ山」へ上ってみようと、カポラーゴ・リーヴァ・サン・ヴィターレ駅に向かった。カポラーゴに到着する頃、天気は次第に回復してきたので、駅から昨日と同じポイントに向かいサン・ジョルジョ山を撮影する。

カポラーゴ駅に戻ると、今朝の一番列車が入線していた。頂上駅までは約40分。山をひと回りして山頂へとたどり着く。列車は2両編成だが、今朝の乗客はちょうど1両がいっぱいになるほどの人数。定刻を2分ほど過ぎ、列車はごとごとと上り始めた。

カラフルな登山列車が山頂まで案内してくれる

●チザルピーノ乗車は断念

地図からは進行方向右側の景色がいいと想像していたが、実際のところは路線のすぐ脇に木が茂っていて、頂上近くまではそれほど眺めはよくなかった。列車は途中で2カ所の駅に停車してほどなく終点に到着。終点近くでは右に左にとパノラマが広がった。

この山に上ったのは、サン・ジョルジョ山を見下ろす形で写真を撮ることができるのではないかと思ったからなのだが、山頂駅に着いて展望台から見てみると、なんとサン・ジョルジョ山方向が尾根に隠れている。駅前でさっと撮影して折り返しの列車に乗ればチザルピーノ乗車が可能かもしれないタイミングだったが、あきらめてその尾根のほうに向かうことにした。

山頂駅左手から見たメリデおよびルガーノ方向のパノラマ

●サン・ジョルジョ山を再び撮影

尾根のほうに向かう道は起伏があるがそれほど歩きづらくはない。展望台直前の上り口のところで突然視界が広がり、サン・ジョルジョ山を一望に見渡せるポイントに来たことに気付いた。標高1000m程度の特徴のない山だが、昨日はよく見られなかっただけに、待望の対面はうれしい。

サン・ジョルジョ山が見られる展望ポイントまで来ると、ルガーノ方向の景色もよりいっそう見えるようになった。またリーヴァ・サン・ヴィターレの村もはっきりと見ることができるので、村の様子がよくわかる。チザルピーノに乗車できなくなってしまったのは残念だが、思わぬことから知らなかった展望台に来るチャンスができ幸いだった。

湖にまるで半島のように突き出ているサン・ジョルジョ山

2004年06月


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地球の歩き方ガイドブック 編集部