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ヨーロッパ、夏列車のたび。この夏、厳選7ライン@イギリス 誇り高きジャコバイト号と美しきスカイ島


世界最古のコンクリート鉄道橋「グレンフィナン高架橋」を走るジャコバイト号。フォート・ウィリアムから約25km地点にある(www.britainonview.com)

蒸気機関車発祥の国・英国の面目躍如たるものが、全国に100カ所以上もある保存鉄道だ。100年前の機関車が今も現役で活躍する姿は頼もしい。中でもダイナミックな景勝ルートを走る「ジャコバイト号」は人気者。実はハリー・ポッターが乗り込んだホグワーツ魔法魔術学校行きの列車もこのルートを走った。もちろん映画の中のことだが、海をかすめ、山に突っ込み、高架橋のカーブを曲がる列車の行き先は、魔法の国であってほしいもの。

写真・文=守 幸子

より北上してフォート・ウィリアムへ

出発前に列車はピカピカに磨き上げられた。ほとんど鉄道ファンのボランティアの人々によって運行されるのが保存鉄道だ

フォート・ウィリアム発10:20分、ジャコバイト号は1949年のグラスゴー製でまだまだ現役バリバリの蒸気機関車

蒸気機関車ジャコバイト号が走るウェストハイランド・ラインは、フォート・ウィリアムからマレイグを結ぶ68km。フォート・ウィリアムはグラスゴーから約200kmも北上したハイランドの町で、1344mの英国最高峰ペン・ネヴィスの麓にあるため、トレッキングやハイキングの基地として賑わいを見せる。グラスゴーから鉄道で3時間45分もかかるし、行きにくいと感じるなら、ロンドン・ユーストン駅から一気に『カレドニアン・スリーパー』で乗り付けるというのはどうだろう。12時間40分のナイトトレインの旅だ。

*本文中の[table:000]は、トーマスクックヨーロッパ鉄道時刻表のテーブルナンバーに対応しています。

美しい曲線を描くジャコバイト号

車内は素朴な椅子が並び、郷愁を感じるたたずまい。このほかにコンパートメントタイプの車両もあった

車内のショップ。鉄道グッズやパンフレットなどを買うことで保存鉄道の維持に貢献できる

出発前、機関士や石炭をくべるファイヤーマンたちが旅行者の質問に答えたり、記念写真をとったりと忙しいが、鉄道員は笑顔を絶やさない。そして、汽笛一声で出発進行!やがてざわざわしてきて、「あと5分だ」「左だ」という声が聞こえてくる。ウェストハイランド・ラインのハイライト、世界最古、100年前のコンクリート鉄道橋『グレンフィナン高架橋』を通過するのだ。長さ380m、高さ30m、21の連続アーチが美しい曲線を描く。右に山、左に湖と背景も申し分ない。にわかに後部の窓に人が群がり撮影タイム!

ジャコバイトの名のもとに

車窓はバラエティーに富んでいる。海や湖をかすめ、山肌が迫ることもある

グレンフィナン駅の博物館で。グレンフィナン駅にはダイナーもあり、お茶も飲める

高架橋を過ぎて「グレンフィナン駅」で20分の休憩。駅舎は1950年代の出札所を再現し、今は博物館として鉄道敷設の歴史などを展示している。グレンフィナンはスコットランドの人々にとって大切な場所。スコットランドがイングランドに併合された後の1745年、元スコットランド王家のボニー・プリンス・チャーリーが、イングランドに反乱ののろしをあげたのだ。反乱軍の名こそが“ジャコバイト”。しかし、戦いに負けたボニーはスカイ島へと逃亡の旅へ。民謡『スカイ・ボート・ソング』はそのときの様子をうたったものだ。

神秘の島、スカイへ

終着駅マレイグの可愛らしい駅舎。マレイグは港町なのでフィッシュ&チップスを食べよう。新鮮なタラだからこそ美味しいのだ

スカイ島の中央辺りにあるパステルカラーの家並みが美しいポートリーの港。ここは島内最大の町で観光の拠点でもある(www.britainonview.com)

12時25分終着駅マレイグに到着。ジャコバイト号は14時10分にフォート・ウィリアムへと引き返すが、ここまで来たらスカイ島へ渡りたい。約30分のフェリーでスカイ島アーマデイル港に降り立てる。氷河によるフィヨルドの海岸線、岩肌が露出する山、垂直に切り立つ断崖絶壁と荒々しい景観の一方で、静かな入り江は紺色の水を湛え、白い雲、白い家をくっきりと映しているのがことのほか美しい。ピート(泥炭)で覆われた大地に水が染み込むので水の色が濃くみえるという。線路のない島で心がずんずんピュアになっていった。

■アクセスについて

ウェストハイランド・ラインを走る列車のうちの一往復が蒸気機関車による運行(6〜10月半ばの月〜金曜、7月末〜8月末は日曜も運行)なので、乗り遅れても普通の列車に乗ればいい。蒸気機関車は片道£19.50(1等£30)。
スカイ島の中はローカルバス、タクシー、レンタカーなど。本土と結ばれた橋を渡ってカイル・オブ・ロハルシュへ出れば鉄道でインヴァネスへ出ることもできる。

2005年07月


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地球の歩き方ガイドブック 編集部