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ヨーロッパ、夏列車の旅。この夏、厳選7ラインCオーストリアから中欧世界一美しい街を訪ねて

チェスキー・クルムロフ城から眺めた街の景観

チェスキー・クルムロフ城から眺めた街の景観

ヨーロッパの大地を流れる川は、いくつも街を育んできた。ヴルタヴァ川のほとりにたたずむチェコの首都プラハもそのひとつだ。そして、同じ川に包まれるようにたたずむのが、チェスキー・クルムロフである。「世界で最も美しい街」のひとつともいわれ、ユネスコの世界遺産にも登録されている。中央ヨーロッパへの入口ともいえる古都ウィーンからプラハに行き、チェコの旅を楽しみつつ、この街を訪ねるプランを紹介しよう。

写真=伊藤智郎
文=坂井彰代

ウィーンからチェスキー・クルムロフへ

チェスキー・クルムロフはチェコ南部、オーストリアとの国境近くに位置している。地理的にみれば、ウィーンからまずここに寄って、プラハに行くのが近いように思える。しかし鉄道で訪ねる場合、ウィーン〜チェスキー・クルムロフ間を結ぶ直通列車はないので、ウィーン〜プラハ間をまず結び、プラハから訪ねるほうが効率的だ。たとえば、ウィーン〜プラハ間は直通の EC で約 4 時間。「アントナン・ドヴォルザーク」号なら午前中にプラハに到着する。ウィーンは南駅発だが、列車によってプラハの到着駅は本駅またはホレショヴィッツェ駅のいずれかになるので時刻表で確認しておきたい。プラハからチェスキー・クルムロフへは、まず本駅からチェスケー・ブディェヨヴィツェに行き(所要約 2 時間 30 分)、乗り換えて約 1 時間。朝早い便で行けば日帰りで訪ねることも可能だ。駅から街までは徒歩 30 分ほど。市バスも利用できる。

気高き芸術の都、ウィーン

旅の出発点となるウィーンは、「雅」という言葉がしっくりとくる街。 13 世紀後半からじつに 650 年もの間、この地で栄華を極めたハプスブルク家の残り香を、今も街の各所で感じ取ることができるからだ。旧市街をぐるりと一周する環状道路「リンク」を路面電車に乗ってまわると、国立オペラ座や王宮をはじめ、王朝時代の優雅な建築物が次々と現れる。7 、 8 月はオペラのシーズンオフになるが、休演期間を利用して、オペラ座の舞台裏が公開されることもある。 現在オーストリア絵画のギャラリーとして使われている夏の離宮、ベルヴェデーレ宮殿。ウィーン中心部の眺望を楽しめる場所でもある

現在オーストリア絵画のギャラリーとして使われている夏の離宮、ベルヴェデーレ宮殿。ウィーン中心部の眺望を楽しめる場所でもある

また、夏でも市内の各所やシェーンブルン宮殿では、趣向を凝らしたコンサートやイベントが予定されているので、観光局などで情報を集めたい。

中欧の宝石、プラハ

アール・ヌーヴォー様式の優雅なカフェがあるプラハ本駅はウィーンやチェスキー・ブディェヨヴィツェと結ぶ列車が発着する

アール・ヌーヴォー様式の優雅なカフェがあるプラハ本駅はウィーンやチェスキー・ブディェヨヴィツェと結ぶ列車が発着する

プラハ城をバックにヴルタヴァ川にかかる橋を渡るトラム

プラハ城をバックにヴルタヴァ川にかかる橋を渡るトラム

ウィーンよりも 18 世紀の町並みがよく保存されているのがチェコの首都プラハだ。 18 世紀といえば、モーツァルトが生きた時代。ウィーン以上にプラハの市民に愛された天才作曲家は、今も残るエステート劇場で、オペラ『ドン・ジョヴァンニ』を初演した。夏の間はオフシーズンだが、観光客のためにこの演目を上演することがある。映画『アマデウス』のオペラシーンでも実際に使われたモーツァルトゆかりの劇場で、夏の一夜、音楽に浸ってみるのも悪くない。

正午には衛兵交替が行われるプラハ城や、パリでブレイクしたアール・ヌーヴォー画家ムハ(ミュシャ)の美術館など、見どころの多いプラハだが、歩きつかれたらぜひ寄りたいのがビヤホール。長テーブルで自家醸造のビールを飲み干せば、気分は爽快! ノンストップで営業している店がほとんどなので、昼下がりの少しすいた時間をねらうといい。

お酒の飲めない方は、街角の秘密めいたカフェで午後のひとときを。

美しき街、チェスキー・クルムロフ

13 世紀より、貴族による支配のもとに発展していった街チェスキー・クルムロフ。その最大の魅力は、なんといっても美しい景観であり、街のたたずまいそのものだ。ルネッサンス時代の優美な姿を見せる城館、赤い屋根の民家が並ぶ街並み、そして、街を囲むように大きく蛇行して流れるヴルタヴァ川。こうした要素が見事な調和を見せながら、ひとつの小宇宙を形成している。

ルネッサンス時代の街並みが残るチェスキー・クルムロフは、いろんな場所から眺めを楽しみたい

ルネッサンス時代の街並みが残るチェスキー・クルムロフは、いろんな場所から眺めを楽しみたい

その美景を堪能できるのが、高台に建つチェスキー・クルムロフ城。この城の塔や橋の上から、ヴルタヴァ川の水辺にたたずむ街の全景を楽しむことができる。

この街はまた、 28 歳で夭折した画家エゴン・シーレゆかりの地でもある。画家自身はウィーン近郊で生まれたが、母親の故郷であり、幾度か滞在し作品を制作した。街にはエゴン・シーレ文化センターがあり、作品のほか、手紙などが展示されている。鋭い視線で「愛と性」や「生と死」を見つめてきたシーレが描いた街は、重く暗い色調で、画家の心情が投影されているかのようだ。

DATA
ウィーン→プラハ→チェスキー・クルムロフ間のルーティングについては、上記参照。ウィーン〜プラハ間を結ぶ直通のECは1日約5便。4時間ほどで着く。プラハ〜チェスケー・ブディェヨヴィツェ間は、1〜2時間に1便、1日約12便。ここからチェスキー・クルムロフへは、1〜1時間30分に1便。1日8便ほどある。
2005年07月


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地球の歩き方ガイドブック 編集部