ガイドブック編集部 > 特集 >  ヨーロッパ、夏列車の旅。 > この夏、厳選7ライン > 夏のラップランドへ(北欧)

白夜の北極圏を走る世界最北の旅客鉄道


深夜24:00頃のラップランドの風景

深夜24:00頃のラップランドの風景

スウェーデンのストックホルムからノルウェーのナルヴィークまで続く国際路線は、ナルヴィーク周辺の地域名「オフォーテン」から取って、オーフォート鉄道と呼ばている。列車は途中、北極圏を越えてラップランドと呼ばれるエリアへと入っていく。ラップランドとは、ロシアのコラ半島からスカンジナビア半島にかけて、特に北極圏以北のエリアを指し、その雄大な自然は、ユネスコの自然文化遺産に登録されている。夏のラップランドは、太陽の沈まない白夜の時期。山も、森も、湖も、絶えることのない陽光を浴び、いっそう輝きだす。

写真・文=田中健作(グルーポ ピコ)

ストックホルムとナルヴィークを結ぶ国際寝台列車

ルートのハイライトであるアビスコ周辺を走る

ルートのハイライトであるアビスコ周辺を走る

寝台のコンパートメントは、ひと部屋に3つのベッドがある

寝台のコンパートメントは、ひと部屋に3つのベッドがある

オーフォート鉄道は、キールナで採掘された鉄鉱石を、その積出港であるナルヴィークへ運ぶことを目的として1902年に開通した。現在はコネックス社という私鉄により運営されており、特にストックホルム〜ナルヴィーク間をノンストップで結ぶ寝台列車は、世界中の旅行者の憧れだ。スタートは、北緯約59度に位置するスウェーデンの首都ストックホルム。目指すは、北緯68度27分にあるノルウェーの町ナルヴィーク。日本の最北端が稚内の宗谷岬で北緯45度31分14秒と言うことを考えると、まさに想像を絶する世界である。

北緯66度43分以北、北極圏へ突入

看板と、北極圏のライン状に等間隔に置かれた白い石がラップランド突入を知らせてくれる

看板と、北極圏のライン状に等間隔に置かれた白い石がラップランド突入を知らせてくれる

レンガ造りのかわいらしいキールナ駅。駅舎の横には鉱山の男のモニュメントがある

レンガ造りのかわいらしいキールナ駅。駅舎の横には鉱山の男のモニュメントがある

北極圏に入るのは、出発翌日の早朝。簡単な車内アナウンスがあった後、列車はスピードを落とし、やがて「北極圏」とスウェーデン語、ノルウェー語、英語の3カ国語で書かれた看板を通過する。ここからが、いよいよ北極圏のラップランドである。看板は両側の車窓に現れるので、見逃さないように。そのまま3時間ほど北上を続けた列車は、キールナ駅へと到着する。キールナは、今もスウェーデンの鉄工業の中心として栄える町。右手の車窓から外に目を向けると、巨大な鉄鉱山がそびえているのが見える。

車窓を占める青と緑の世界

陽光を受けて輝く青い湖と緩やかな山渓の景色が美しい

陽光を受けて輝く青い湖と緩やかな山渓の景色が美しい

ラップランドに住む先住民族、サーメ人の言葉で「ラップランドへの入口」という意味を持つ山、ラップポルテン

ラップランドに住む先住民族、サーメ人の言葉で「ラップランドへの入口」という意味を持つ山、ラップポルテン

キールナからアビスコまでは、いくつもの国立公園がひしめき合っている。青い水をたたえる巨大な湖と柔らかなスロープを描く山稜が連続する光景は、この路線のハイライトだ。アビスコは、それらの国立公園の山脈を縦断する合計450kmのトレッキングコース「王様の散歩道」の拠点としても知られており、多くのハイカーがこの駅を利用する。このあたりの山は、木が植えておらず岩肌をむき出しにしているが、これは緯度が高いことにより、少しでも高度が上がるとすぐに森林限界線を越えてしまうためだ。

フィヨルドの出迎えをうけてノルウェー到着

右手に大きく口を開けた、ダイナミックなフィヨルド

右手に大きく口を開けた、ダイナミックなフィヨルド

ナルヴィーク駅の先にはまだ線路が続いているが、それは鉄鉱石を港へ運ぶ貨物列車専用のものだ

ナルヴィーク駅の先にはまだ線路が続いているが、それは鉄鉱石を港へ運ぶ貨物列車専用のものだ

アビスコから国境の町リクスグレンセンまでは、およそ1時間ほど。途中、岩石と湖が織りなす荒々しい景観のビヨルクリーデンを通過する。国境はトンネルのなか。はじめはスウェーデン国旗(青、黄)の色でペイントされたトンネルを、次にノルウェー国旗(赤、紺、白)の色がペイントされたトンネルを通過すれば、国境越えは終了。トンネルを過ぎたら、右側の車窓に注目しよう。訪れる旅人を歓迎するかのように、雄大なフィヨルドが姿を現す。これこそがノルウェー到着を実感する瞬間だ。そして列車は1時間もたたないうちに、終着地点であるナルヴィーク駅に到着。

DATA
ストックホルム〜ナルヴィーク間は、コネックス社 Connex によって運営されている。原則 1 日1往復運行。所要時間は約 20 時間。クラスは 1 名部屋、 2 名部屋、 3 名部屋、 6 名部屋(クシェット)、座席からの編成。全席指定制の列車のため予約が必要となる。
2005年07月


ページ上部に戻る
地球の歩き方ガイドブック 編集部