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上海発! 旧正月事情

上海でお正月気分を味わうなら、豫園は外せない!

現地在住の日本人から届いた旧正月情報をお届けします。 上海の年越しとはいったいどんなものなのでしょう。 また、上海のどこへ行けば春節気分を満喫できるのでしょうか。 旧正月に上海を旅する予定のある方は必読です。

市野瑞穂(いちの・みづほ)
上海在住のエディター&ライター。大学在学中に北京大学に留学。日本に帰国後、貿易商社勤務を経て、ふたたび中国へ。上海の日系ファッション誌編集などを経験。現在、在住4年目。

旧正月は豫園に行こう!

豫園は上海の浅草だ!

上海の魅力といえば、古いものと新しいものがミックスしたところだろう。一般に上海の古いものと言えば、外灘(バンド)など植民地時代に欧米が残した洋館の数々だが、中国独自の古いものといえば江南地方の古典庭園「豫園」である。上海の人達には「城隍廟」という名で親しまれており、上海におけるそのポジションはズバリ、東京における浅草である。庭園の周囲は、仲見世通りのような下町情緒あふれ、活気に満ち、国内外からの観光客で1年中、常ににぎわっている。

上海で旧正月の雰囲気を満喫したいなら豫園が最適。豫園の建物群のツンと上を向いた屋根の下に赤いちょうちんがたくさん飾られ、華やいだ旧正月気分を堪能できる。見渡す限り人の海。その流れにのって歩く。どこからともなく、日本のお囃子のような音楽も聞こえてくる。頭上には、新年の干支にちなんだカラフルな紙ちょうちんが飾られている。さらに進むと、正月用に設置された葉っぱが金色に彩られた大木が見えてくる。赤い短冊がついたお賽銭に願い事を書いてその大木に投げ、無事に木の枝の上 に乗っかればその願い事が叶うということで、多くの人が夢中で投げている。

広場の中央には紙でできた大きな干支の飾りがいくつも置かれていて、人々はそれを楽しげに眺めながらさらに進んでいく。突然、頭上から大きな笑い声がした。びっくりして見上げると、建物の壁には5mもあろうかという大きな人形が!! 頭上に冠、ピンクの服に身を包み、手には金塊を持っている。どうやらお金の神様らしい。その顔の部分には人が喋っている画像を上からかぶせてあり、しゃべると同時に目と口が動くのがなんともシュール。歩行者はみな上を見上げ、口をあんぐりと開けて見入っている。

「城隍廟」という名のとおり、豫園の中には道教のお寺があり、ここを参拝することが旧正月に豫園を訪れる本来の目的。モクモクと白い煙が立ち込めていて、新年を迎える気分がしてくる。1年中、いつでも縁日気分が味わえる豫園だが、旧正月はもっとも華やかな気分が味わえる。

赤い短冊に金色のお賽銭がおめでたい
干支にちなんだ大きな紙ちょうちん
頭上でホホホ〜ッと笑う財神にびっくり!

左上)赤い短冊に金色のお賽銭がおめでたい
左下)干支にちなんだ大きな紙ちょうちん
右)頭上でホホホ〜ッと笑う財神にびっくり!

爆竹なしでは語れない上海の春節

無邪気な中国の大人たち

中国原体験のすべてが北京である私にとって、長らく中国の旧正月も日本のお正月と同じように静かなイメージをもっていた(北京では爆竹が禁止されている)。上海に来たばかりの頃、上海はどうなのかと上海人の知人に聞いてみると、「みんなで爆竹をやる! 危ないけど楽しいよー!」と興奮しながら言う。

昨年の大晦日。仕事がたてこんでしまい、結局、上海人の友人の家で過ごす機会も逃してしまった。同じような境遇の日本人の友人とレストランで晩餐。気がつくと、もう午前0時近い。お店のスタッフも外に出て様子をうかがったりしてソワソワしている。すぐに精算を済ませて外に出れば、ピュ〜〜〜〜という高い音が。数秒後、パアンと大きな花火が上がった。その後は、ババババババババという音の大洪水。思わず耳を手でふさぐ。爆竹に点火するや真剣な顔で一目散に逃げ 去る軍服を着たおじさんが何人も、各自いろんな方向を目指してダッシュで走り去っていく……。

こんなに無邪気な大人の男たちを見たのは初めてだ!! もともと中国の人達は、遊ぶ時は子どものように無邪気だと感じていたが、旧正月のカウントダウンにはその無邪気さが大爆発する。

真っ赤に染まる夜空

モクモクと上がる火薬の白い煙の向こうに見える空は真っ赤に染まり、時々ピカピカッと明るい光がさし、まるでテレビで中継される戦争の時の空のようだ。音の大洪水のなかで圧倒され、夢中になっていたが、気がつくとあっという間に1時間ほどが経過していた。すっかり冷えた身体でタクシーに乗りこむ。走り出すと車の傍でもバンバンと音がして、フロントガラスが白い煙に包まれる。その煙の中をクルマが進んでいく。映画で出てくる戦場ジャーナリストの気分だ。

やっとアパートに到着すれば、アパートの中庭は爆竹の残骸である真っ赤な紙くずでいっぱい。不発弾を踏んだりしないだろうかとびくびくしながら、その赤い紙のじゅうたんの上を歩いてようやく家にたどり着いた。

爆竹の残骸。旧正月は爆竹の音で賑やか
爆竹の飾りは縁起物として人気

左)爆竹の残骸。旧正月は爆竹の音で賑やか

右)爆竹の飾りは縁起物として人気


旧正月でも上海の店は営業、でも例外もあり

行列ができる人気店、旧正月は長期休暇

上海は、旧正月でも、1日だけ休業する店もあるが、多くの店は営業する。だが、私の住むアパート近くにあるおいしい肉まん屋さんは例外のひとつ。年末は旧暦28日くらいに店をクローズしてしまう。そして新年10日過ぎても店は開かない。お正月に終わりを告げる元宵節の頃になっても、店を開ける気配が全くない。
「もしかして、閉店したか?」店の入れ替わりが激しい上海では店をたたんでしまうことも日常茶飯事なので、「閑静な住宅地であるこの辺では、人気店とはいえ、1つ6角(約9円)の肉まんではやっていけなかったのかも」などと思い、その後、すっかり肉まん店のことを忘れてしまっていた。そして、街からお正月気分がすっかり抜けたある日、気が付くとお店は開いていて、旧正月以前同様、長蛇の列ができていた。結局、1カ月くらい休業したように思う。

しかし、考えてみるとこの肉まん屋、5月のメーデー連休、10月の国慶節連休などの連休期間も1日くらいしか休まず、毎日肉まんを作りつづけている。旧正月くらいは故郷に戻って、家族とともにゆっくり休みたいことだろう。1年に1ヵ月の長期休暇も仕方ないことだと実感した。

2005年12月


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地球の歩き方ガイドブック 編集部