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ダービシャー

ロンドンからチェスターフィールドへ

ダービシャーあるいはピーク・ディストリクトへの玄関口といえば、シェフィールド、マンチェスターといった都市が一般的。でも今回あえてお勧めするのはチェスターフィールドChesterfield。ロンドンのセント・パンクラス駅から列車で約2時間ほどで行かれる、落ち着いた雰囲気の小さな町だ。ここの最大の名物は、セント・メアリ&オール・セインツ教会St. Mary and All Saints Churchの、何とも不思議なクルックト・スパイア(ねじ曲がった尖塔)。完成当時はもちろんごく普通の教会だったが、建築時にミスがいくつか重なったせいで、年を重ねるにつれクネクネとねじ曲がってしまったという。高さ約69メートルの尖塔は町のどこへ行ってもとにかく目立ち、今では町のシンボルとなっている。

▼チェスターフィールドを紹介するサイト(英語)
www.visitchesterfield.info

教会のねじ曲がった尖塔は、チェスターフィールドの人たちの誇り?

教会のねじ曲がった尖塔は、チェスターフィールドの人たちの誇り?


チャッツワースの豪華さにウットリ?

チェスターフィールドからピーク・ディストリクトへ向けて30分ほどドライブすると、デヴォンシャー公爵の館であるチャッツワースChatsworthに到着。J・オースティンはここをモデルにダーシーの邸宅ペンバリーを描いたのではと言われ、映画でもペンバリーとして使われている壮麗なマナーハウスだ。

チャッツワース見学は映画同様、ペインテッド・ホールPainted Hallからスタート。ジュリアス・シーザーの生涯を描いた天井画、大理石のフロア、赤絨毯の敷かれた大階段に囲まれた瞬間、その豪華さに唖然……。映画には登場しないが、荘厳な空気漂うライブラリーLibrary、きらびやかなグレート・ダイニングルームGreat Dining Roomなどを経た後、見学コースの最後に現れるのが、エリザベスがダーシーの彫像と対面するシーンが撮影されたスカルプチャー・ギャラリーSculpture Galleryだ。

実はこのシーン、本来はダーシーの肖像画と対面するはずだったが、彫刻コレクションがあまりにも素晴らしいということで、急遽彫像に変更されたという。また、同じシーンに登場するヴェイルド・ヴェスタル・ヴァージン(ベールをまとい不断の聖火を守るヴァージン)と呼ばれる彫刻は、映画の公開後、ベールに触れたがる人が増えたため、周りに特別な囲いが作られたなんていうエピソードもある。

チャッツワースを見学していると、エリザベスならずともついウットリ。ふと「私のダーシー様が目の前に現れたりして……」なんて錯覚に陥りかけても不思議じゃない。でも、スカルプチャー・ギャラリーを出た途端、あっという間に現実に引き戻されるのでご用心。隣はお約束のギフトショップで、チャッツワースとデヴォンシャー一族にまつわるものを中心に、とにかく充実の品揃えなのだ。さらに、厩舎を改造したレストラン、100エーカー以上ある敷地にフォーマルガーデン、温室、噴水、迷路、人工滝などが点在するガーデンなど、館見学を終えた後も見どころは盛りだくさん。少なくとも半日はかけたい観光スポットだ。

スカルプチャー・ギャラリーで撮影されたシーン c2005 UNIVERSAL STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED

スカルプチャー・ギャラリーで撮影されたシーン
©2005 UNIVERSAL STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED

チャッツワース Chatsworth

アクセス:チェスターフィールドからバクストンBuxton行きのバスでバスロウBaslowへ行き、マットロックMatlock行きに乗り換えてチャッツワース前下車など(バスの経由ルートは時間帯によって異なる)。所要時間は1時間〜1時間30分程度。具体的なバスのスケジュールはwww.derbyshire.gov.uk/busesで調べられる。

住所:Bakewell, Derbyshire DE45 1PP
電話:(01246)582204
URL :www.chatsworth.org
開館時間:11:00〜17:30
休館日:12月中旬〜3月中旬
料金:££9.50(11月初旬〜12月中旬は£10.50) 学生£7.50(同£8.50)

駐車場側付近からチャッツワースを臨む

駐車場側付近からチャッツワースを臨む

見学コースはペインテッド・ホールから始まる

見学コースはペインテッド・ホールから始まる

スカルプチャー・ギャラリーの彫刻は、第6代デヴォンシャー公のコレクション

スカルプチャー・ギャラリーの彫刻は、第6代デヴォンシャー公のコレクション

ヴェイルド・ヴェスタル・ヴァージンは19世紀半ばに制作された

ヴェイルド・ヴェスタル・ヴァージンは19世紀半ばに制作された

レストランになっている建物は、厩舎だったとは思えないほど立派

レストランになっている建物は、厩舎だったとは思えないほど立派


中世のマナーハウス、ハドン・ホール

チャッツワースから車で5分ほどのところにあるハドン・ホールHaddon Hallは、主に12世紀末〜14世紀に建てられ、初代当主の血を引くマナーズ卿が今なお現役の邸宅として使用している。これほど保存状態がいい中世のマナーハウスは、イングランドではかなり貴重な存在。そのため映画『エリザベス』(ケイト・ブランシェット主演)をはじめ、数多くの映画やテレビドラマのロケ地として活用されている。

『プライドと偏見』の撮影で使用されたのは、14世紀初頭に作られたバンケット・ホールBanqueting Hallとダイニング・ルームDining Room。前者は、エリザベスとガーディナー夫妻が滞在するラムトンの宿の食堂として登場した。ガーディナー夫妻が食事をしていた長テーブルは、15世紀初頭に作られたもの。ヘンリー8世から贈られたタペストリーとともに、このホールの貴重な展示品だ。一方後者は広い部屋を半分に仕切り、ベネット家の自宅ロングボーンにあるエリザベスのベッドルームとして使用。ただ映画のシーンからは、この部屋が使われたことがほとんど全く分からないのが残念なところ。

ハドン・ホールの必見ポイントはほかにもある。たとえばチューダー様式のキッチン、内部の壁一面に15世紀初頭のフレスコ画が残るチャペル、33メートル以上の長さがあるロング・ギャラリー(運動不足解消のため、ウォーキングをする目的で作られたという説もあるとか)、そして、初夏には数百種類ものバラが咲き乱れるガーデンなどだ。

ハドン・ホール Haddon Hall

アクセス:チェスターフィールドからベイクウェルBakewell行きのバスに乗り、終点でノッティンガムNottingham行きのバスに乗り換えてハドン・ホール前下車。所要時間は約1時間。

住所: Bakewell, Derbyshire DE45 1LA
電話: (01629)812855
URL: www.haddonhall.co.uk
開館時間: 10:30〜16:30(10月10:30〜16:00)
休館日: 10月の月〜水曜、11月〜3月下旬
料金: £7.25

ロング・ギャラリーは、フィットネスセンターの元祖と言えるかも?

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ガーデン側からハドン・ホールを眺める

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チャペルを飾るステンドグラスの一部は、15世紀製作という古いもの

チャペルを飾るステンドグラスの一部は、15世紀製作という古いもの


2005年11月


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地球の歩き方ガイドブック 編集部