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セルビア
(ベオグラード、オプレナツ、フルシュカ・ゴーラ)

ドナウ川とともに歩む首都ベオグラード

セルビア共和国のベオグラードは、ドナウ川とサヴァ川が交わる交通の要衝にあります。ベオグラードとは、セルビア語で白い町を意味しており、ドナウ川沿いに建てられた白く輝く要塞が由来といわれています。広大な要塞と、その前に広がるカレメグダン公園は、ベオグラード屈指の観光名所。城塞からドナウ川を眺めるカップル、その目の前を走り抜けるリスと、自然豊かな市民の憩いの場として、おだやかな時間が流れています。
ベオグラードの中心部から3kmほど南に行った丘には王宮が残っており、敷地内には旧王宮と白亜宮のふたつの宮殿があります。20世紀だけで5度の爆撃にあったベオグラードには、残念ながら古い建物は数えるほどしか残っていません。ここも20世紀の前半に建てられたものでそれほど歴史があるとはいえませんが、内部の装飾にさまざまな時代様式が用いられており、非常に凝った造りで見応えがあります。柱頭に注目してみましょう。セルビア南部にある世界遺産の修道院、デチャニやソポチャニの柱頭にそっくりなのがわかるでしょうか。
セルビア・モンテネグロの前身であるユーゴスラヴィアは、第2次世界大戦まで王政でした。戦後共産党が政権を握ると、王政は廃止され王は国外追放になりました。しかし、2001年にユーゴスラヴィア最後の王の息子、アレキサンダーが帰国を許され、家族とともに旧王宮に住むようになりました。王宮の見学は、現在旧王家の人が生活していることもあり、4〜10月に行われるツアー(要予約)でのみ可能です。

▼ベオグラード観光局のURL
http://www.tob.rs/en/

ベオグラード要塞から眺めるドナウ川

ベオグラード要塞から眺めるドナウ川

旧宮殿の庭園。宮殿の柱頭には、中世セルビアの修道院で使われているモチーフが描かれている

旧宮殿の庭園。宮殿の柱頭には、中世セルビアの修道院で使われているモチーフが描かれている

カラジョルジェヴィッチ王家の人が現在も暮らしている旧宮殿内部

カラジョルジェヴィッチ王家の人が現在も暮らしている旧宮殿内部

セルビア蜂起の歴史を語るオプレナツ

ベオグラードから70kmほど南にあるオプレナツに向かいます。バスが着くなり早々に民族衣装を着た女性が歓迎してくれました。彼女が手に持っているお盆には、パンと塩が乗っています。ガイドさんによると、この国では、歓迎のしるしとしてパンと塩を振る舞う習慣があるとのこと。早速パンをちぎり、塩を付けて食べてみました。 オプレナツは、1804年、オスマン帝国に対してセルビアが蜂起した場所として、セルビア人にとって重要な町。ベオグラードの王宮に住んでいるカラジョルジェヴィッチ王家の出身地でもあり、ここにある聖ジョルジェ教会は王家歴代の霊廟にもなっています。
聖堂に入るとヴェネツィア製のムラーノガラスを使ったモザイク画が壁を覆い尽くし、まばゆいばかり。大理石でできたイコノスタス(正教会の至聖所の前に置かれる衝立で、聖障ともいわれる)も非常に高い完成度を誇っています。また、教会内につるしてあるシャンデリアは、派手さはありませんが、よく見ると王冠が逆さになった形をしています。逆さまの王冠は、1389年にコソボの戦いでセルビア諸侯軍がオスマン朝軍に破れたという歴史的事件を象徴したもの。オスマン朝の支配とそこからの独立は、セルビアの歴史でも最も重要なところ。多弁なガイドさんがいつにもまして熱弁をふるっていたのが印象的でした。

▼オプレナツ観光局のURL
http://www.topolaoplenac.org.rs

パンと塩を振る舞うのがセルビア流の歓迎

パンと塩を振る舞うのがセルビア流の歓迎

地下はジョルジェヴィッチ王家歴代の霊廟になっている

地下はジョルジェヴィッチ王家歴代の霊廟になっている

セルビアきっての聖地 フルシュカ・ゴーラ

ドナウ川を越えて北の地域は、ヴォイヴォディナと呼ばれ、セルビア共和国内で自治区を形成しています。この地に広がるパンノニア平原は、肥沃なことで知られており、ヨーロッパでも有数の穀倉地に数えられています。ベオグラードからバスを走らせると、起伏のない平原がひたすら続きます。あまりに平坦なことから、土地の人は「カボチャに乗れば、すべてを見渡せる」と言っているそうです。
フルシュカ・ゴーラは、このパンノニア平原にふたつしかない丘のひとつで、周囲には17もの修道院があります。これらの修道院は、15〜16世紀のオスマン帝国支配時代に建てられたもので、当時のセルビア文化の中心を担う役割を果たしていました。
今回訪れたのは、数ある修道院のなかでも、最も重要とされるクルシェドル修道院。もともと16世紀の初めに建てられた修道院ですが、現在残るほとんどの部分は18世紀以降のもの。外観を見る限りではバロック様式ですが、入口には、最後の審判を描いた17世紀中頃のフレスコがかろうじて残っていました。内部は小さいながらも厳粛な雰囲気が漂い、さまざまな時代にわたるフレスコが壁にびっしりと描かれていました。
見学を終えバスに乗り込むと、ちょうど入れ違いに2台のバスが入ってきました。フルシュカ・ゴーラはセルビアにとってのアトス山(ギシリア正教の聖山)といわれ、巡礼者がひっきりなしに訪れる場所だそうです。

▼フルシュカ・ゴーラ国立公園のURL
http://www.npfruskagora.co.rs

修道院内の教会入口に描かれた最後の審判のフレスコ画

修道院内の教会入口に描かれた最後の審判のフレスコ画

教会の中は、フレスコ画で覆い尽くされている

教会の中は、フレスコ画で覆い尽くされている

2005年11月


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地球の歩き方ガイドブック 編集部