ガイドブック編集部 > 特集 >  自然&リゾート&教会建築 セルビア・モンテネグロの魅力 > モンテネグロ(コトル)

モンテネグロ
(コトル)

アドリア海を船上から楽しむ
コトル湾クルーズ

セルビアからモンテネグロに飛行機で移動し、首都のポドゴリツァ空港に到着。そこから海沿いに沿ってコトルへと向かいます。モンテネグロの海岸線をバスで走っていると、ところどころ長い砂浜があるのに気付きます。同じアドリア海岸の町でも、北に国境を接するクロアチアではほとんど砂浜を見かけなかったので、その違いに驚かされました。モンテネグロの海岸線の全長300kmのうち、実に50kmが砂浜だそうです。いくつかの海岸沿いの町を通り抜け、バスはコトルへと到着しました。

コトルは世界遺産にも登録されている歴史ある町。モンテネグロ観光のハイライトですが、町の観光は後にして、まずはここからボートに乗り込みコトル湾沿いにあるペラストの町へ向かうことになりました。コトル湾はまるで北欧のフィヨルドのような入り組んだ地形。内陸に入り込んでいるのでほとんど波はなく、海面が鏡のように山々を映し出します。コトル湾は「世界でも最も美しい25の湾」に、地中海で唯一選ばれたとはガイド氏の弁。もちろん充分納得できる美しさでした。

湾内から眺めるペラストの町は、町全体が海面に映り込みとても絵になります。オーストリアのザルツカンマーグートにある湖沿いの町ハルシュタットを思い出しました。乗客が一斉にボートの片方によって写真を撮り始めるものですから、一時ボートが大きく傾くほどでした。

モンテネグロの海岸線では、多くのビーチを見かける

モンテネグロの海岸線では、多くのビーチを見かける

上から見たコトル湾の様子、右下にあるのがコトルの町

上から見たコトル湾の様子、右下にあるのがコトルの町

水面に映える、ペラストの町

水面に映える、ペラストの町

古い町並みが残る世界遺産
コトル

コトル湾のクルーズを終え、再びコトルの町に戻ってきました。コトルは、9世紀から19世紀にかけの建物が数多く残り、古い町並みが保存された町です。1979年の地震で大きな被害を受け、一時ユネスコの危機遺産リストにも載りましたが、現在は修復も終え再び往事の姿を取り戻しています。コトルはローマ帝国が東西に分裂した際のちょうど境界線上に位置しており、東西ローマ、ひいては東西ヨーロッパ両方の文化が混じり合った町でもあります。たとえば町の守護聖人聖トリプンは、西のカトリック、東の正教ともに尊敬されている聖人で、町に建つ聖トリプン教会は、カトリックの教会でありながらも教会内にはフレスコ画が残っています。このフレスコ画はギリシアのテッサロニキやマケドニアのオフリドなど、正教の教会で多数のフレスコが描いた宗教画家の作品で、このようなことからも東西の教会文化の融合を感じます。

町はそれほど広くなく、1時間くらいでまわることができました。道が細く、複雑なわりには要所要所で広場に出るので迷うことはありません。入口に精緻な彫刻が施された建物などを見学しながらのんびりと町を散策するのは楽しいものです。時折見かける翼の生えたライオンのレリーフは、ヴェネツィアの守護聖人である聖マルコの象徴。この町がかつてヴェネツィア共和国の影響下であったことを物語っています。

また、コトルは城壁でぐるりと取り囲まれています。城壁は山肌と同じ色をしているため目立たないものの、山の中腹まで達する技術は大変優れたもので、城壁建築の傑作とたたえられているほどです。

聖トレプン教会の内部。わずかにフレスコ画が残されている

聖トレプン教会の内部。わずかにフレスコ画が残されている

ベズクーチャの宮殿入口に施されたレリーフ

ベズクーチャの宮殿入口に施されたレリーフ

コトルの町は城壁に囲まれている

コトルの町は城壁に囲まれている

セルビア・モンテネグロの料理

セルビア・モンテネグロでは、ヒツジをはじめとする肉料理が好まれています。グリルが一般的ですが、ほかにもトマトソースで煮込んだムツカリツァ、セルビア風ハンバーグのプレスカヴィツァ、細長い肉団子のチェヴァブ・チチなど、調理法は多彩。とくにヒツジ肉とジャガイモとを煮込んだヤグニェティニャ・イスポド・チャサは、セルビア・モンテネグロを代表する伝統料理として知られています。野菜料理では、ピーマンをはじめとする各種野菜の中に米を詰めた料理、キャベツに肉とご飯を巻いたサルメ、肉とタマゴ、ジャガイモをオーブンで焼いたムサカなどがあります。かつてオスマン帝国の支配下にあったということで、近隣のバルカン半島の国々やトルコの料理との共通点が多く、これらの国を旅したことのある人には、おなじみの料理を多く見つけられるのではないでしょうか。

このほか、ベオグラードやノヴィ・サドといったドナウ川沿いの町では、ドナウ川で獲れた魚のフライやグリルなどを食べることができます。モンテネグロのアドリア海沿岸部では、ヴェネツィアの植民都市であったことからイタリア料理の影響が強く、魚介サラダやイカスミのリゾットなど、シーフード料理が楽しめます。

ちょっと高級な郷土料理レストランのなかには、民族音楽の楽団がテーブルのすぐそばで演奏するようなところがあり、雰囲気を盛り上げてくれるでしょう。このようなレストランは、ベオグラードのスカダルリヤ通り沿いに多いものです。石畳が続き、カフェも多いスカダルリヤは、別名ベオグラードのモンマルトルとも呼ばれるおしゃれな通りです。

セルビア・モンテネグロの伝統料理、ヤグニェティニャ・イスポド・チャサ

セルビア・モンテネグロの伝統料理、ヤグニェティニャ・イスポド・チャサ

モンテネグロではイタリア風のシーフードが楽しめる

モンテネグロではイタリア風のシーフードが楽しめる


2005年11月


ページ上部に戻る
地球の歩き方ガイドブック 編集部