ガイドブック編集部 > 特集 >  2010年ワールドカップ・イヤー 今こそ南部アフリカへ > 南部アフリカおすすめの旅その3 大航海時代のロマン 喜望峰に立つ旅

南部アフリカおすすめの旅その3 大航海時代のロマン 喜望峰に立つ旅

左と上)ケープポイントに立つ世界各地までの距離と方角を示す表示板が、最果てにいることを実感させる 右)観光名所テーブル・マウンテンから望むケープタウン市街

左と上)ケープポイントに立つ世界各地までの距離と方角を示す表示板が、最果てにいることを実感させる

右)観光名所テーブル・マウンテンから望むケープタウン市街

喜望峰は歴史的発見の地であると共に、
植物の宝庫でもあった

15世紀、大航海時代の最大の事件のひとつが、1488年バーソロミュー・ディアスによる喜望峰の発見だ。これに続く1497年、ヴァスコ・ダ・ガマは喜望峰を経由してインドに到達した。大西洋とインド洋が交わるこの地に立ってみれば、「あぁ、世界の果てまで来たんだな」というロマンチックな感慨に浸ることができるだろう。
喜望峰は世界遺産に登録されている。理由は歴史的に重要な土地だからではない。ここが世界でも類を見ない野生植物の繁殖地だからだ。世界の植物分布は6つに分けられる。「全北植物界」(ユーラシア大陸、北アメリカ)、「新熱帯植物界」(東南アジア、アフリカ、南アメリカ)、「オーストラリア植物界」、「南極植物界」、そして「ケープ植物界」である。ケープ半島は、冬以外ほとんど雨が降らず、南極からの強風が吹き込み、乾燥し痩せた荒地でありながら、インド洋から流れ込む暖流の影響をも受けている。この特殊で厳しい環境の中で、植物たちは独自の発達を遂げた。

「CAPE OF GOOD HOPE」の看板。人気の記念撮影スポット

「CAPE OF GOOD HOPE」の看板。人気の記念撮影スポット

喜望峰沖の海は荒れやすい。発見当初は「Cape of Storm(=嵐の岬)」と呼ばれていたという

喜望峰沖の海は荒れやすい。発見当初は「Cape of Storm(=嵐の岬)」と呼ばれていたという

ケープに自生する植物の中でも特に知られているのが、南アフリカの国花ともなっているキング・プロテアを含むフィンボスと呼ばれる野生草花群だ。ある種は火事が起こると種子を飛ばし、ある種は昆虫によって種子を運んでもらい地中で休眠し火事が起こるとその熱で発芽するという。

自生するフィンボス群。フィンボスとは「fine bush(=よい潅木)」の意味

自生するフィンボス群。フィンボスとは「fine bush(=よい潅木)」の意味


ヨーロッパの植民地になった後、ケープの植物は園芸家たちの羨望の的となり、本国に持ち帰られ人気を博した。現在私たちの身の回りでも花を咲かせているゼラニウムやストレリチア(極楽鳥花)、グラジオラスなども、もともとはケープの野生種だったのだ。

恐竜時代にまでさかのぼれるという古い花プロテア。200以上の種類があるという
おなじみのストレリチア(極楽鳥花)もケープ出身

左)恐竜時代にまでさかのぼれるという古い花プロテア。200以上の種類があるという

上)おなじみのストレリチア(極楽鳥花)もケープ出身

“コロニアルシティ”ケープタウンの穴場おすすめエリア

ケープタウンの歴史は、1952年オランダのヤン・ファン・リーベックがケープ居留地をつくったことに始まる。白人による植民がここからはじまったためか、ほかの町に比べて、白人の比率が高い。また、今でも比較的治安が良く、ヨハネスブルグに比べたら天国みたいな町だ(それでも夜のひとり歩きや、人通りの少ないところは絶対に避けてください!)。

ウオーターフロント・エリア。このあたりはかなり安全

ウオーターフロント・エリア。このあたりはかなり安全


ここでは、ツアーガイドさんは案内してくれないであろう、穴場のおすすめのエリアをふたつ紹介しておこう。 ひとつは国立博物館の近辺。ここはかつてユダヤ人居住区のあったところで、ケープタウンの中でも最も古い街並みが残るエリアのひとつ。これといった目玉がないので、観光的にはほとんど注目されていないが、クラシックでカラフルな美しい街並みは歩くだけでも楽しい。 もうひとつは、旧市街の目抜き通りロング・ストリートからさらに南西に下った細い路地、クルーフ・ストリートだ。この周辺には映画館や学校などがあり、若い人たちが集まるエリア。東京で言えば下北沢のような感じだろうか。古着屋や中古レコード屋、セレクトショップなどが並んでいる。カフェも多く、おしゃれな若者たちでにぎわっている。

コロニアル時代の面影を残すケープタウンの市庁舎

コロニアル時代の面影を残すケープタウンの市庁舎

クルーフ・ストリートの雑貨屋さん。かわいいビンテージ品も並んでいる

クルーフ・ストリートの雑貨屋さん。かわいいビンテージ品も並んでいる

海の動物たちにも出合える

不思議な植物については喜望峰のところで触れたが、ケープタウンのまわりでは海で暮らす動物たちにも出合える。まずはオットセイ。ケープタウンの南西、ハウト湾から船に乗って向かうドイカー島へ行ってみよう。ここは通称Seal Islandと呼ばれる、オットセイの繁殖地。ちなみにここにいるのは「ミナミアフリカ・オットセイ」という種だ。ここでマメ知識。オットセイとアザラシの違いって知っていますか?

ドイカー島へは40分〜1時間程度の船旅となる。運がよければイルカやクジラにも出合える

ドイカー島へは40分〜1時間程度の船旅となる。運がよければイルカやクジラにも出合える


ケープ・ペンギンは日本でもおなじみのペンギン。サンシャイン水族館など各地の水族館で飼育されている

ケープ・ペンギンは日本でもおなじみのペンギン。サンシャイン水族館など各地の水族館で飼育されている

その簡単な見分け方は陸上での姿。オットセイは自分の四肢で体を支えることができるが、アザラシは丸太のようにころがっている。ちょっと前に多摩川に出没して人気を集めたタマちゃんは丸太のようにころがっているからアザラシ。ドイカー島にいるのは四肢でピョコピョコ歩いているのでオットセイ、というわけだ。
次はペンギン。南アフリカに生息しているのは「ケープ・ペンギン」と呼ばれる種。英語名をAfrican Penguinといい、鳴き声がロバに似ていることからJackass(雄ロバの意) Penguinとも呼ばれる。かつては100万羽以上が生息していたそうだが、わずか100年で絶滅の危機に瀕してしまった。


現在ケープ・ペンギンに合えるのは、ケープタウンから車で南へ1時間ほど下ったボルダーズ・ビーチにある繁殖保護区。通路になった柵が設けられており、かなり近くまで寄って観察することができる。毛並みがふかふかの茶灰色のペンギンは子ペンギンだ。繁殖期に訪れれば、夫婦で子育てをする光景も目にすることができる。

第1版 2006年9月 改版 2010年2月


ページ上部に戻る
地球の歩き方ガイドブック 編集部