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グランドティトン国立公園(1)

地図

イントロダクション

南北に細長く、イエローストーンと隣り合う

グランドティトン国立公園は、ティトン山脈に沿って南北に長く伸びる国立公園である。面積は、1256平方km。園内北部にはジャクソンレイクが広がる。その南方にはいくつかの小規模な湖がつながっていて、それぞれがティトンの山々を映して美しい景観を作っている。

公園西側に連なるティトン山脈は、この公園の風景の主役を担う役者たちだ。公園のどこへ行っても、その勇姿が見れる。グランドティトン国立公園の楽しみは、この山々とそれらを背景にした草原や動物たち、水面に映した川や湖との風景のハーモニーを見て回ることと言える。

この国立公園の主役である、ティトンの山々

この国立公園の主役である、ティトンの山々

ジャクソンホール・ハイウエイとティトン・パークロード

園内の東側を南北に走っているのが、ジャクソン・ホールハイウエイ。ゲートシティであるジャクソンとグランドティトン国立公園を結び、北に隣接するイエローストーン国立公園とつながるこの公園の背骨ともいえる道路である。シュワバッカーポイントやアンテロープフラット、スネークリバー・オーバールックなど今回訪れた主要なポイントはこの沿線にある。この道路から見るティトンは、スネークリバーと湖群をはさんで距離があり、天気に恵まれれば、大平原の向こうに自然や動物たちの背景となって穏やかに微笑んでくれる。

西側を走る道路がティトン・パークロード。こちらは山脈により近く、山々の足元を走っているので、方向によっては山のどてっ腹に突っ込んでいくような爽快なドライブができる。ここまで近づくと、ティトンの山々も人を寄せつけない若く荒々しい山肌を見せつけ、その存在感に圧倒されるはずだ。この岩塊を実感するのも、またこの国立公園の醍醐味である。道路に沿ってある湖の周囲には、たくさんのトレイルがあり、体力と目的に応じて、トレッキングを楽しむことができる。

これら二つの道路は、北がジャクソンレイク・ジャンクション、南はムースでつながっている。

ジャクソンホールハイウエイからは、大平原の背景となって優しい姿を見せる

ジャクソンホールハイウエイからは、大平原の背景となって優しい姿を見せる

ティトンパークロードは、山の存在感に圧倒されるすばらしいシーニックコースだ

ティトンパークロードは、山の存在感に圧倒されるすばらしいシーニックコースだ

日程作りのポイント

早朝から午前中は、動物観察とティトンの山並みの撮影に使うとよい。天気に恵まれれば、東から昇る太陽が、あたかもスポットライトのように山々を引き立ててくれる。とくに日の出から一時間ほどの山々の色の変化は、息を呑む美しさだ。どこに行ってもベストの撮影ポイントとなるだろう。また、早朝は車が少ないので、動物たちもリラックスした姿を見せてくれる。日が高くなるまで、撮影ポイントを決めてゆっくり過ごそう。

そして、午後には程よいトレイルを見つけて、トレッキングを楽しむといい。山に日が陰って歩きは楽になる。ちょうどいいことに、気持ちのいいトレイルは、山の懐に寄り添った湖沿いに多くある。逆に午後になると山は逆光の位置になり、写真撮影には不向きなのだ。

朝なら動物もリラックスして、思わぬ近さで合えることも

朝なら動物もリラックスして、思わぬ近さで合えることも

美しい風景を追って

シュワバッカーポイントの日の出

日の出前の午前5:00、ジャクソンを出発。外はまだ真っ暗だ。日の出の時間は、午前6:02。日の出前にシュワバッカーポイントに着く。シュワバッカーポイントは、ムースジャンクションから7kmほど先を川の方へ(ジャクソンから北上すると左へ)入ったところにある。日の出のとき、水面に映る「逆さティトン」を撮影できる絶好のポイントだ。すでに多くのカメラマンが集まっていた。水鳥が、水面を揺らし、逆さティトンが波に揺れる。もちろん、誰も水鳥を追い払おうとはしない。太陽が現れるまで、静かな時間が流れる。

水鳥は気を利かせたのか、いつの間にか姿を消していた。日が昇り、絶好のシャッターチャンスが訪れる。太陽が昇ると共に、刻々と表情が変わるティトンの山々を眺めつつ写真を撮りまくった。ティトンに茜がさし頬を染めたような色に変わる。さらに太陽が移動すると、手前にある緑の林もその存在を主張してくる。僕たちは飽きもせず、シャッターを切り続けた。

→刻々と変わる日の出の様子は、スライドショーでも見ることができます。

ほんとにほんのりと茜色に変わるのです

ほんとにほんのりと茜色に変わるのです

アンテロープフラット・ロードに開拓時代の風景を探す

アンテロープフラット・ロードは、少しムース方向に戻った東側にある道路だ。ハイウエイより一段高いところにあるので、見晴らしはさらによい。広大な平原の向こうに見えるティトンの山々がどこから見ても美しい。バッファローが群れている。目の前までやって来て、僕たちは狂喜乱舞した(最初の日だったので)。

ところどころにある古い建物は19世紀に入植した開拓民の住居跡。まさに映画「シェーン」の風景が目の前に展開する。美しいアングルでたくさん撮れる。次のスケジュールも忘れて撮影ポイントを探して歩き回った。

シェーン! カムバーック

シェーン! カムバーック

名写真家の撮影ポイント。スネークリバー・オーバールック

ジャクソンホール・ハイウエイをさらに北上すると、スネークリバー・オーバールックに着く。ムースジャンクションからは13kmほどの距離。ここはアンセル・アダムスの撮影ポイントだ。アンセル・アダムスはそのすばらしいモノクロの写真でヨセミテをはじめとするアメリカの国立公園の雄大さや自然の奥深さを表現し続けた著名な写真家である。

豊かな森林とスネークリバーの蛇行、その先に見えるティトンの山々のアングルは確かにどこかで見たような気がする。彼になったつもりでシャッターを押した。快晴の空に少し雲が現れて、それはそれでまたいい風景が写真に撮れた。

快晴の空に雲がぽっかり現れて・・・

快晴の空に雲がぽっかり現れて・・・

丸太作りの素朴な礼拝堂。トランスフィギュレーション礼拝堂

トランスフィギュレーション礼拝堂は、ムースのゲートからティトン・パークロードを北上してすぐ右手にある。1929年に建てられた丸太作りの質素な教会だ。草原の中にティトンとともにあるとまた美しい。僕たちが訪ねた日は日曜日でミサが行われていた。ここもまた人の生活と自然、ティトンの山々が織りなす素晴らしい風景のハーモニーを実感できるポイントだ。

この小さな教会の窓から見るティトンの山々は人々の心にどう映るのだろう

この小さな教会の窓から見るティトンの山々は人々の心にどう映るのだろう

2006年10月