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冬のオーロラ・クルーズ

沿岸急行船で極北をクルーズ

冬のクルーズと聞くと寒風吹きすさぶ荒々しい海を航海するようなイメージを抱かれる方が少なくないと思うが、ノルウェー沿岸は暖流のメキシコ湾流が通っているため、冬でも沿岸部の航行が可能で、実際に気温もそれほど低くはならない。そのため、ノルウェーのベルゲンとヒルケネスを結ぶ沿岸急行船に乗船すれば、北極圏で船上からのオーロラ観測の可能性が高い。沿岸急行船の停泊地には観光地としての見どころも多いので、昼間も飽きることなく冬の北欧を楽しむことができる。


冬のクルーズはほかにもメリットがある。沿岸急行船は夏場は多くの観光客でにぎわうため、希望どおりのスケジュールと船室を確保するのが難しいのだが、冬は夏ほどには込み合わないため、料金も安く船室の予約も入れやすい。いくつかの停泊地はオスロからのフライトもあるので、スケジュールを作るのも簡単だ。

操舵室から進行方向を眺める。クルーズ中最高のお天気だった
誰もが利用できるスペースにゆったりとした眺めのいい席が設けられている

出発地はトロムソ

今回の出発地は「北欧のパリ」と称される港町「トロムソ」。日本からはコペンハーゲン、オスロと乗り継いで同日の到着が可能だ。沿岸急行船はベルゲンを出発地とするとヒルケネスまで6泊7日の旅となる。トロムソからなら2泊3日で終点のヒルケネスまでたどりつくのでスケジュールにも組み込みやすい。出発地としてちょうどいい町だ。


トロムソ到着の当日はあいにくの雪模様。日本で家を出てからすでに24時間近くが経過しているが、なんとかオーロラを見ることができないかと粘ってみる。しかし、雪はますます強く降ってくるので、この日のオーロラ観測はあきらめた。

北極圏の町ながらにぎわっているトロムソ
沿岸急行船ターミナルから北極教会方面を眺める。夜景も美しい

クルーズ初日からオーロラに遭遇

ノルウェー滞在2日目はいよいよ沿岸急行船への乗船日。今日はまずまずのお天気だ。トロムソ市内の主な見どころを見たあと自由行動となったが、15:30を過ぎた頃から急に薄暗くなってきた。集合時刻の17:00頃はすっかり夜。出発までにオーロラが現れないかと待つが、残念ながら見ることはできなかった。


船は予定どおりの時刻に出発。夕食を終えコーヒーを飲んでいたらオーロラが現れたとのアナウンスが流れる。大急ぎで上着を着てデッキに出た。それほど明るくはなっていないが、確かにオーロラのうっすらとした光の帯が確認できる。夕食後は船内を案内してもらう予定があったので、オーロラ観測はいったん切り上げる。


クルーズ初日、2度目のオーロラとの出合いはすばらしいものだった。部屋で防寒着を引っ張りだして本格的なオーロラ観測準備を行っていたところ、今回の旅のリーダーSさんが、「オーロラが出てますよ」と教えてくれた。キャビンからオーロラが見られるデッキまではわずかの距離。ちょうど準備していた服を着込み飛び出す。


後部デッキに出てみると、先ほどとは比べ物にならないほど強く発光し、しなやかに動くオーロラの姿が……。久しぶりの大規模なオーロラとの遭遇に思わず声をあげる。さっそくカメラもセットし、シャッターを切った。このときのオーロラの出現時間は約30分だったが、これまで見たオーロラのうちでもベストのひとつに数えられるくらいダイナミックなものだった。

真夜中のブレイクに遭遇。雲があったが力強い動きを見ることができた
真夜中の光のショーは30分ほどで収束した。オーロラの光が急速に拡散していく

船上から見るオーロラ

今回の旅では初日から船上のオーロラと遭遇したが、非常に運のいいことにこのあとも4日連続でオーロラを見ることができた。船の上のオーロラ観測について簡単にまとめてみたい。

まず観測の条件だが、航海中は人口の光が近くにないため、オーロラを見る環境としてはとてもいいと言える。ただし、船の造りによっては、デッキ近くの光がまぶしいこともある。オーロラはどの方向に出現するかわからないので、乗船したらあちこち歩き回って、自分の船室からアクセスしやすい暗い場所を探しておくといいだろう。


次に写真撮影。地上(海上)には光が少ないので、撮影のコンディションもいいと言いたいが、船が動いているためどうしても被写体ブレが生じてしまう。小さなサイズで見るなら問題ないが、ある程度の大きさで見ることを考えると、星の光がブレてしまうので作品として鑑賞するには不満足なできとなってしまう。シャッター速度を早くするのにも限度があるので、船上での撮影は星やオーロラがブレてしまうことを覚悟するしかない。

船上からとらえたオーロラのベストショット。星のブレもわずか。シャッター速度は3.25秒
上記のカットを撮影した直前に、シャッター速度8秒で撮影。星が大きく流れている

昼の景色もすばらしい

クルーズ2日目はノールカップ訪問の日。朝食を終えた頃、ちょうど太陽が昇ってきたので外に出てみたらすでに何人かの乗客が景色を眺めていた。寒気が身にしみるが、我慢できないほどではない。雪に覆われた島々の景色は、低温で凍りついたかのようにたたずんでいる。船の機関音以外聞こえない世界は、この景色と気温もあって別世界のように感じられた。


この日はお昼近くになって快晴に近い天気となった。食事をとったりアクティビティに参加したりと、時間はあっという間に過ぎることと思うが、昼間も船上に出て景色を楽しむことをおすすめする。北極圏の冬の景色がただ寒々しいだけでなく、普段は見ることができない厳しくも美しい姿を見せてくれることに気付くはずだ。

フィヨルド地形の冬景色は美しい。まさに「山がそのまま海に沈んだような」風景だ
甲板に出るとさすがに寒い。充分に防寒着を着込んで外に出よう
2007年5月号