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沿岸急行船徹底紹介

快適なクルーズ

バルト海を航行するシリヤラインやヴァイキングラインに使われている船舶ほど大きくはないが、沿岸急行船にも乗客定員が1000人近くを数える豪華船が導入されている。今回は定員1000名のフィンマルケンFinnmarken号と定員737名のポラリスPolarlys号に乗船することができた。写真をメインに紹介しよう。写真キャプションの後ろに付けたアルファベットは船の種類を示す。


●フィンマルケン号(FM)
2002年造船の大型船。乗客定員は1000名。キャビン数は283でベッド数は639。車は47台収容できる。デッキ7にはアウトドアプールがあり、デッキ8には外を見ることができるサウナもある。船の規模も設備も最上級クラスだ。


●ポラリス号(P)
建造は1996年。乗客定員は737名で、キャビン数が225、ベッド数が479と充実の設備。車の収容台数は45台。フィンマルケンを一回り小さくしたような規模だが、デッキ7後部のサン・デッキが広いのでオーロラ・ウオッチングにはいい条件の船だ。内装が個性的で船内散歩も楽しい。デッキ7にある雰囲気のいい図書室も利用したい。
トロムソ港に停泊中のフィンマルケン号。港の建物が小さく見えるほど大きい
フィンマルケン号より小さいポラリス号でもこの大きさ!

機能的なキャビン

船の大きさによって上級グレードの客室数に差が生じるが、いずれの船舶もインサイドとアウトサイドの2ベッドの部屋を有している。1993年以降に就航した船には本格的なスイートルームもあり、船上とは思えないゆったりした部屋での滞在が可能だ。


同じ船舶の場合、居住性の大きな違いは外の景色の見え方とフロア(デッキ)の位置。部屋の造りは基本的に一緒で、部屋の大きさに多少の違いがある程度。スイートルームになると、ベッドルームとリビングルームが分かれていたり、プライベートのバルコニーがついていたりと、ぐんとグレードアップする。


バスルームはコンパクトにまとめられているが、きつきつという印象を受けることはない。リネン類もシティホテル並みに用意されているので快適だ。


部屋は狭いスペースを無駄なく利用しており、案外収納スペースも多い。スーツケースを持ち込んでも大丈夫だが、1〜2泊程度の滞在だったらクルーズ中に使いそうな荷物だけをすぐに取り出せるような準備をしておくといい。


部屋でのインターネット接続は期待できないが、航行中は気付いた限りほとんどの区間で携帯電話の電波をキャッチしていた。携帯電話によるメール・チェックは可能なので、どうしてもネット接続の必要があるならデータ通信のできる携帯電話を持っていけばいい。
収納も多く圧迫感を覚えることもない海側の船室。この部屋は6階にある649号室(FM)
洗面所にはシャワー施設もついている。お湯の量も充分(FM)
部屋の鍵はオートロックになっているので締め出されないように注意しよう。部屋の電気を付けるためにはカードキーを入り口右のスイッチに差し込む必要がある(FM)   テレビと冷蔵庫が収められたキャビネの下にはスーツケースも楽々入る(FM)   予備の毛布とセーフティボックスもしつらえられた棚(FM)
   
作業机として充分な広さのデスク(FM)   デスクにはコンセントも備えつけてある(FM)   電話も各部屋に備えてある。また海上の移動時にもほとんどの区間で携帯電話が通じる(FM)

充実の船内施設

ベルゲンからヒルケネスまで乗船すると5泊6日の旅になるが、船内にはさまざまな施設があるので、快適なクルーズライフを送ることができる。どの船にどんな施設があるかは、個別の情報を確認してほしいが、自由に滞在できる眺めのいいラウンジやカフェ、バー、レストランなどが中層階と上層階にある。万が一部屋がとれなかったとしても、冬であれば横になるのに充分なスペースを確保できる(実際にラウンジのソファで休む旅行者もいた)。


建造年度が最近の船や大きな規模の船は、設備もより充実してくる。大きな違いはサウナやフィットネスルームの充実とプール、ジャクージなどの追加だ。クルーズ生活に必須という施設については、いずれの船もそれなりの規模のものを備えているので、特にクルーズ日数が短いなら特定の船に乗船することにこだわる必要はないといえる。


パブリックスペースでの滞在だが、荷物の管理は自己責任でということになる。荷物室があり荷物をチェーン錠などで柱に結びつけておくことも可能だが、大事なものは常に身の回りに置いておいたほうがよい。ちなみに、荷物をおきっぱなしにしての場所取りは認められていないそうだ。スタッフがまめに見回って、置きっぱなしの荷物は片付けてしまうとのことなので、気に入った場所を見つけても荷物を置いたままにしないこと。
レセプションは深夜でもスタッフがいる(P)
ポラリス号の最上階の前方デッキ。窓が大きいので窓際でなくても眺めがいい(P)
ツアーデスクがあるので、停泊時のアクティビティはここで相談しよう(P) ポラリス号には吹き抜けのスペースがある(P)   図書室前の廊下はシックな造り(P)
階段室にも凝った装飾が。フィンマルケン号はユーモラスな絵で飾られている(FM) 温水プールがあるのでその気になればプールにつかりながらのオーロラ観察も可能(FM)   子供用のプレイルームもあり子連れ旅行でも安心(P)
洗濯室もあるので、長期滞在でも心配ない。アイロンがけの機材とスペースもある(FM) 乗船口のすぐそばには荷物室もある。鍵はかからないので荷物管理は自己責任で(P)   数は少ないがコインロッカーもある(P)

豪華な食事

旅の楽しみというと食事は重要な要素だが、クルーズ中の食事も充実しているので困ることはない。基本的には朝・昼食がビュッフェ・メニューで夕食は3コースメニューとなっている。食事の申し込みは日本での事前申し込みも、現地での乗船後の申し込みも可能だ。


食事で困ることがあるとすれば、コストが高いこと。北欧の旅行では物価高から逃げることはできないが、乗船中の食事をすべてレストランで食べるとすると1人あたりNOK755(日本円で1万6000円くらい)必要となる。予算的に厳しい、または毎日の重い食事はたいへんだという方は、バーで軽食をとるといい。こちらなら1000円から3000円弱程度の予算で食べることができる。
こちらは昼食のビュッフェ。コールドミールのほうが品数が多い(P)
夕食のビュッフェは食材も豪華。こちらはゆでた手長エビ。隣にはロブスターの半身があった(FM)
朝食もビュッフェで料理の品数も多い(FM) ヒルケネス到着の朝の食事。ハムだけでも数種類に及ぶ(P)   夕食のコールドミールの一部だけでもこの充実ぶり(FM)
ビュッフェには北欧名物のニシン料理(手前のボウルの料理)も並ぶ。ぜひ食べ比べを!(FM) デザートの種類もたくさんある。甘いものが好きならデザート分を考えておこう(FM)   フィンマルケン号のレストラン。予約席が設けられていることもあるので、テーブルの札に注意(FM)

冬のスケジュールの組み立て方

フライト遅延やキャンセルの可能性があるので、当日の乗り継ぎができない危険性もある。沿岸急行船乗船日の前日には停泊地に宿泊しておくと安心だ。時間に余裕があれば、全ルートを乗船したいが、1週間強のスケジュールで巡るならボードーやトロムソを起点とするのがちょうどいい。


時間に余裕があればベルゲンから乗船するといいが、ぎりぎりのスケジュールで巡るならトロムソに1泊してヒルケネスまで乗船。その後滞在したい都市へ移動するというスケジュールを組めば、1週間程度の日程で巡ることができる。


各停泊地でのアクティビティに参加するなら、北上するルートをとること。南下するルートでは、停泊地への到着時刻が深夜になったり停泊時間が短かくなったりすることが多く、アクティビティを体験することができない。


モデルコースは以下のとおりとなる。


1日目 日本からコペンハーゲン、オスロ経由で深夜にトロムソ着
2日目 夕方まで自由行動。18:30発の船に乗船
3日目 お昼前にホニングスヴォーグ着。ノールカップ訪問のバスツアーに参加。船に戻りさらに移動を続ける
4日目 午前10:00に終点のヒルケネス到着
5日目 飛行機で最終目的地へ移動
6日目 最終目的地で終日観光
7日目 コペンハーゲン経由で日本へ
8日目 午前に日本着
ヒルケネスに停泊中のフィンマルケン号。ツアーに参加すると町歩きの時間がほとんどないのが残念(FM)
沿岸急行船は生活路線でもあるので、さまざまな物資の揚げ下ろしも行われる(FM)
船のツアーデスクのそばには、参加できるアクティビティ内容がわかるボードが設置されている(P)

予約について

沿岸急行船は個人での予約も可能だが、乗船料とキャビン(客室)使用料、食事代が別々になっており、かつ客室使用料の計算が毎日、正午を基準に0.5日単位で起算されるという計算になっているので、料金計算が複雑だ。冬の予約であれば、比較的希望がとおりやすいとは思うが、日本の予約代理店を通すことをおすすめする。


上位カテゴリーの客室に滞在する場合、短いスケジュールの乗客よりも、通しで利用する(12日間利用する)乗客を優先する傾向にあるとのことなので、どうしてもスイートルームでの滞在をと考えるなら旅程も充分にみたほうがいい。それでも冬は予約をとりやすい季節とのことなので、ある程度スケジュールの自由がきくスケジュールを立てておけば希望どおりのキャビンを押さえることができるかもしれない。


▼日本の沿岸急行船予約代理店
ツムラーレコーポレーション ネットトラベルサービス
www.nettravel-jp.com
夏場の予約は難しいスイートルームも冬なら予約できるかも(P)
2007年5月号