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ここでしか味わえない!サレルノこだわりの味(2)

漁師町チェターラの魚醤コラトゥーラ・ディ・アリーチ

仕事を終えた海の男たちがバールでのんびり

仕事を終えた海の男たちがバールでのんびり

チェターラはアマルフィ海岸のなかでも華々しいイメージとは対照的なこぢんまりとした漁村だ。船が港に着くと、えぇ漁村ですともといわんばかりに釣り人の姿があちこちに。平日の夕暮れ時に、釣り糸を垂らした老若男女がじっと岸辺で獲物を待つ姿は、きっと昔から変わらない光景に違いない。

チェターラはマグロ漁でも有名で、おいしいマグロ料理を求めて多くの人が訪れる。ただ釣ったマグロのほとんどは日本向けに輸出されているそう!

この町の特産品のひとつに「コラトゥーラ・ディ・アリーチColatura di Alici」という昔ながらの製法で作られる魚醤がある。町の老舗、デルフィーノでコラトゥーラ作りを見せていただくことに。お店に到着して作業場に足を踏み入れた途端、強烈な魚の発酵臭が襲ってきた。

同行したナポリ出身のガイドさんは、その独特な匂いに終始辛そうだったが、日本人にはなんとなく馴染みのある香りで、数分もいれば慣れてくる(はず)。ナンプラーに似たアジアンな香りに懐かしささえ覚える。もちろんできあがったソースは食欲そそる素敵な味わいなのでご心配なく。

地図 チェターラ

チェターラの港。今晩のおかずは釣れたかな?

チェターラの港。今晩のおかずは釣れたかな?

破れた網を手縫いで修理中。チェターラという村の名はラテン語の網(チェタ)からきているとか

破れた網を手縫いで修理中。チェターラという村の名はラテン語の網(チェタ)からきているとか

コラトゥーラの作り方

材料は頭と内臓を取ったイワシと塩のみ。コラトゥーラ用のイワシは釣り上げた当日の新鮮なものを使う。塩はティレニア海で採れた苦みの強い塩が一番合うとか。作り方はいたってシンプル。樽のなかに、イワシ、塩、イワシ、塩……と積み重ね、3〜4ヵ月(気温によって違う)熟成させてゆっくりと漉すだけ。

コラトゥーラのルーツは古く、なんと古代ローマ時代にまで遡る。当時ガルムGarumと呼ばれていた魚醤はイワシだけでなくさまざまな魚を使い、内臓も残したまま発酵・熟成させていたという。さぞかしパンチの効いた味わいだったに違いない。

さて、コラトゥーラの使い方はというと、パスタの調味料として振りかけたり、ブロッコリーやじゃがいもなど茹で野菜のドレッシングとしていただく。ただし、かなり塩味がしっかりしているのでたっぷりかけてしまうと泣きをみることに……。数滴垂らすあたりからはじめてみよう。

敢えて具をほとんど入れずに作ったコラトゥーラソースのパスタ。シンプルなのに旨味が凝縮している。ふわっと立ち上る海の香りもGood!

敢えて具をほとんど入れずに作ったコラトゥーラソースのパスタ。シンプルなのに旨味が凝縮している。ふわっと立ち上る海の香りもGood!

チェターラ産マグロのステーキ。オリーブオイルとコラトゥーラを混ぜたソースでいただく。脂ののったマグロにコラトゥーラの塩味が合わさって何ともいえないおいしさ

チェターラ産マグロのステーキ。オリーブオイルとコラトゥーラを混ぜたソースでいただく。脂ののったマグロにコラトゥーラの塩味が合わさって何ともいえないおいしさ


DATA

デルフィーノ Delfino Battista S.r.l
住所:Corso Umberto T, 58 84010 Cetara
TEL:+39-089-261069
URL:http://www.delfinobattistasrl.it
デルフィーノのみなさん。コラトゥーラ以外にもカラスミの瓶詰めやツナ、アンチョビなど海の食材がたくさんある

デルフィーノのみなさん。コラトゥーラ以外にもカラスミの瓶詰めやツナ、アンチョビなど海の食材がたくさんある


頭と内臓を取ったイワシ。新鮮なうちに漬け込むのがポイント

頭と内臓を取ったイワシ。新鮮なうちに漬け込むのがポイント

重石を載せて熟成中

重石を載せて熟成中

袋状の漉し器。ぽたぽたとイワシのエキスが漉されてゆく

袋状の漉し器。ぽたぽたとイワシ中には琥珀色の艶やかな魚醤がのエキスが漉されてゆく

中には琥珀色の艶やかな魚醤が

地中海ダイエット発祥の地

ヨーロッパで最初の医学校が設立されたサレルノは、その後の地中海ダイエットにつながる、食による健康療法を考案した地としても知られる。まさに医食同源とはこのことで、当時の医者や専門家は地中海周辺の豊富な魚介類と農作物によるバランスのよい食事と健康の関係を探り、研究を重ねたに違いない。ダイエットとはそもそも単に「痩せる」ということではなく、「健康に生きる」という意味

サレルノ滞在中はほぼ毎日お魚料理だった

サレルノ滞在中はほぼ毎日お魚料理だった


があり、明るく元気なサレルノの人々を見ているとその言葉も納得できる。食の国イタリアに来て痩せようというのもなかなか無理な話だが、陽気な人々に囲まれていただくおいしい食事は心身ともに健康にしてくれる気がする。

2007年6月


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地球の歩き方ガイドブック 編集部