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ポルトガルの世界遺産その2 〜ポルト歴史地区・ドウロ渓谷のブドウ畑〜

ポルト歴史地区[1996年文化遺産(4)]華麗なる栄華を今に残すポルトガル建国の地

ワイナリーが立ち並ぶヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアからポルトの街並みとドン・ルイス1世橋を望む

ワイナリーが立ち並ぶヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアからポルトの街並みとドン・ルイス1世橋を望む

リスボンは楽しみ、ポルトは働き、コインブラは学び、ブラガは祈る。働き者の多いポルトは商工業の中心であり、リスボンに次ぐポルトガル第2の都市である。ポートワインの産地として、その繁栄の歴史を今に残している。

港湾都市ポルトの歴史地区

ポルトの起源は紀元前4000〜3000年までさかのぼる。ローマ帝国の属州だった頃には、カーレcaleと呼ばれていた。そして、ドウロ川の河口の街が港(ポルトゥスportus)の役割を持っていたことから、ポルトゥス・カーレという呼称が一般化した。これがポルトガルの語源となる。

世界遺産に登録されたポルトの歴史地区には、ポートワインの生産と輸出がもたらした繁栄を象徴する建造物が数多く残っている。ポルトガル一高い(76m)塔のあるグレゴリオス教会、17世紀に造られた銀細工の祭壇のあるカテドラル、ターリャ・ドウラーダ(金泥細工)と呼ばれるバロック装飾の神々しい光に圧倒されるサン・フランシスコ教会、アラベスク模様のタイルで埋め尽くされたアラブの間があるボルサ宮、ジョルジェ・コラコ作のアズレージョ(装飾タイル)が壁面を飾るサン・ベント駅などである。

ポルトガル大航海時代幕開けの功労者といわれるエンリケ航海王子もポルトの出身。リベイラ地区のサン・フランシスコ教会の近くにエンリケ航海王子の生家とされる建物も残っている。

丘の上に建つカテドラルが見られる

丘の上に建つカテドラルが見られる

ドン・ルイス1世橋の造りは2階建て。上をメトロが走る

ドン・ルイス1世橋の造りは2階建て。上をメトロが走る

ヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアでワイナリー見学

ポルトの街はドウロ川の左岸から眺めるのがいい。旧市街観光の後はドン・ルイス1世橋(下の橋)を渡ってヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアへ。古い街並みが密集する対岸のカイス・ダ・リベイラの景観は、日本人がイメージするポルトガルそのものであり、いつまで眺めていても飽きることがない。お洒落なカフェやレストランもあるので、ドウロ川に浮かんだ帆船ラベーロを眺めたりしてゆっくり過ごしたい。

ポートワインになるブドウは、ドウロ川上流のアルト・ドウロという地域で収穫される。秋に摘み取られたブドウは機械で絞られ、樽に詰められ冬を越す。その後、ヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアに運ばれ、本格的な熟成に入る。鉄道やトラックでの輸送が行われる以前は、ラベーロによってワイン樽が運ばれていた。

ヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアにはたくさんのワイナリーが立ち並んでいる。有名なカレムCALEMやサンデマンSANDEMANなど多くのワイナリーで見学ツアーを行っている。ポルトワインの歴史などのパネル展示を見学したり、工場内を案内してもらった後、試飲・即売となる。お好みのポートワインを見つけよう。

ワイナリーの歴史を伝える展示

ワイナリーの歴史を伝える展示

ワインが醸造されている樽

ワインが醸造されている樽

かつてのワイナリーの様子

かつてのワイナリーの様子

左からルビー、ホワイト、トゥニー

左からルビー、ホワイト、トゥニー

ヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアの河岸にある洒落たレストラン

ヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアの河岸にある洒落たレストラン

ワイナリーCALEMの入り口

ワイナリーCALEMの入り口

いにしえのポルトを感じた後は最新のポルトガルを召し上がれ

アルヴァロ・シザがデザインした白い箱と呼ばれる近代美術館

アルヴァロ・シザがデザインした白い箱と呼ばれる近代美術館

柔らかい光の中でゆったりした空間を活かした展示がなされている

柔らかい光の中でゆったりした空間を活かした展示がなされている

ポルトで注目してほしいのが、建築デザイン。ひとつはセラヴェス財団が運営する広い庭園の敷地内に建つ、建築家アルヴァロ・シザ・ヴェイラがデザインした近代美術館。アルヴァロ・シザは、ポルトを拠点に50年以上も活動を続ける世界的な建築家であり、リスボン万博(1998)、ハノーファー万博(2000)では、ポルトガル館を担当している。近代美術館では現代アートの企画展などが開催される。

もうひとつは、カーザ・ダ・ムジカ。坂本龍一さんが演奏したこともあるという、1223人の収容力を持つ最新の音楽ホール。ボアヴィスタ通り西側にあるロータリーに面して建っている。オランダの建築家レム・コールハースによる前衛的なデザインは印象的だ。こうした新しいものを受け入れられるところがポルト人気質のひとつなのだろう。それから、音楽堂内にあるレストランはおすすめ。

直方体から鋭いナイフで削り取ったような印象の音楽堂

直方体から鋭いナイフで削り取ったような印象の音楽堂

レストランへと通じる通路

レストランへと通じる通路

白い建物と緑の芝生のコントラストが美しい

白い建物と緑の芝生のコントラストが美しい

レストランにあった空き瓶を使ったモニュメント

レストランにあった空き瓶を使ったモニュメント

カーザ・ダ・ムジカの
レストラン「KOOL」

住所:
Av. da Boavista 604-610 Porto Casa da Musica (Piso 7)
電話
+351 226 092 876

ドウロ川上流ワイン生産地域[2001年文化遺産(3)(4)(5)] ポートワインのふるさとドウロ渓谷に広がるぶどうの段々畑

ドウロが刻んだ急峻な斜面に広がるブドウ畑

ドウロが刻んだ急峻な斜面に広がるブドウ畑

ドウロ川の緩やかな流れ

ドウロ川の緩やかな流れ

豊穣なドウロ川の流れ

ドウロ川は、9万8000平方キロメートルのイベリア半島最大の流域面積を有し、スペイン北部のウルビオン山に源を発して蛇行しながらイベリア半島を西に向け横断、925kmの旅の果てに大西洋に注いでいる。スペインではドゥエロ川と呼ばれる。ドウロ川が刻む渓谷はアルト・ドウロと呼ばれる上流地域以外にも、スペインのアランダ・デ・ドゥエロを中心とする地域で、高級スペインワインのリベラ・デル・ドゥエロを育むなど、非常に豊穣な河川である。降雨量が少なく、寒暖の差が激しいアルト・ドウロでは、強く濃厚なブドウを育んでいる。

渓谷の斜面に広がるブドウを栽培する見事な段々畑は、まさに人の手によって創造された美しい景観であり、キャメロンハイランド(マレーシア)の茶畑や雲南省元陽県(中国)の棚田を思い起こさせる。

さまざまなアクセスが楽しめるドウロ川上流

今回のドウロ川上流へのアクセスは車での移動であったが、ポルトからクルーズ船で遡上したり、列車で向かうこともできる。鉄道は19世紀にポートワインの運搬用に敷設された線路である。ポルトを出て1時間30分程度でタメガ川を渡り、車窓が山あいの風景に変わる頃から線路はドウロ川に沿って走るようになる。夏のシーズン中は、ポルトから東へ100kmの場所にあるレグアからクルーズ船や蒸気機関車が運行する。

昔のワイン造りを伝える写真

昔のワイン造りを伝える写真

レグアから出発するクルーズもある

レグアから出発するクルーズもある


ピニャオン駅のアズレージョにはブドウ畑の景色やブドウの収穫などが描かれているv

ピニャオン駅のアズレージョにはブドウ畑の景色やブドウの収穫などが描かれているv

川の上から見上げるブドウ畑の景色もいい

川の上から見上げるブドウ畑の景色もいい

ワイナリー見学やファームステイの楽しみ

ドウロ渓谷が生み出しているのはポートワインだけではない。実はドウロには2つの原産地管理呼称があり、酒精強化したポート以外にスティルワインの生産も行っている。かつて、アルト・ドウロのブドウ生産地ではポルトにある大手のシッパー(ブレンドして自社ブランドを付けて売る業者)に売り、生産者自身がボトリングして販売することはほとんどなかったが、現在、ブドウの栽培を行うキンタQuinta(荘園)で、生産者が元詰めするキンタ・ワインが高い評価を得てからは、数多くのワイナリーが個性あるキンタ・ワインを製造・販売するようになっている。そんなキンタの中にはワイナリー見学や試飲、さらにファームステイを行っているところもある。

ポートワイン協会ホームページ

キンタ・ド・コット Quinta do Cotto

  • 住所: Cidadelhe,5040-154 Mesao Frio
  • 電話:+ 351 254 899 269

キンタ・ド・バラード Quinta do Vallado※宿泊施設あり

  • 住所:Vilharinho de Freires,5050-364 Peso da Regua
  • 電話:+ 351 254 323 147
ワイナリー見学が行えるキンタがある

ワイナリー見学が行えるキンタがある

意識の高い生産者は最新設備を揃え、個性的で質の高いワインを生産する

意識の高い生産者は最新設備を揃え、個性的で質の高いワインを生産する

2007年9月


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地球の歩き方ガイドブック 編集部