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レポート3 街を包みこむ炎のスペクタクル ラ・クレマ

街を包みこむ炎のスペクタクル ラ・クレマ


最終日の夜、バレンシアの夜空が燃え上がる

3月19日、サン・ホセの日。この日は少しくらい朝寝坊して体力を蓄えておくことをおすすめします。なぜなら、主要なイベントは夜遅くに集中しているからです。

まずは、ちょうど日が沈みきる19:00頃、「ガバルガタ・デル・フエゴ」というファイヤー・パレードが始まります。悪魔をイメージした黒や赤の衣装の人々が、コロン通りからポルタ・デル・マル広場までの道のりを、花火やたいまつを持って行進。いたずらな悪魔たちが、時々観客席に向かって火花を撒き散らすため、見ているほうはハラハラドキドキ!

ポルタ・デル・マル広場までの行進が終わると、中央の門を包み込むように花火のスペクタクルが始まります。この花火も見事なので、ファイヤー・パレードを見るなら、門の付近に陣取るのがいいでしょう。あと数時間で火祭りはいよいよクライマックスへ。メインイベントであるラ・クレマに集中するためにも、このタイミングで夕飯は済ませておきましょう。

花火に包まれるポルタ・デル・マル広場 花火に包まれるポルタ・デル・マル広場


妖艶な舞いも繰り広げられる 妖艶な舞いも繰り広げられる

日没直後の夕闇にたいまつの炎が映える 日没直後の夕闇にたいまつの炎が映える


赤と黒の衣装は悪魔をイメージ 赤と黒の衣装は悪魔をイメージ

予想以上に楽しめたファイヤー・パレード。是非おすすめ! 予想以上に楽しめたファイヤー・パレード。是非おすすめ!

市内にある人形へ次々と火が付けられる

もともとサン・ホセ(スペイン語で聖ヨセフ。キリストの父親で職業が大工だったことから大工職人の守護聖人としてあがめられてきた)の日には、大工たちが仕事納めとして材木を燃やす習慣があり、ある日張り子の人形を炎の中に入れたところこれはおもしろいと評判だったことが火祭りの起源だといいます。

今では人形作りにも精が込められ、大小様々な種類が作られていますが、最後は燃やしてしまうという伝統的な儀式は現在でも脈々と受け継がれ、22:00になると、いよいよ人形への点火、ラ・クレマの瞬間を迎えます。まず、ファリャ・インファンティレス(子供の人形)に火が付けられます。その2時間後、24:00がファリャ・アドゥルトス(大人の人形)のラ・クレマです。人形の制作にあたった各自治体の人々も、もの惜しそうに人形が炎に包まれる様子を見つめています。 人形に点火されるには若干の時差があります。もし、次にどの地区でラ・クレマが行われるかを知りたければ花火が打ちあがった方角を目指しましょう。人形の横で打ち上げ花火があがると、それがラ・クレマの合図だからです。

花火を合図にラ・クレマが始まる 花火を合図にラ・クレマが始まる


シャッターチャンスも一瞬 シャッターチャンスも一瞬

近づきすぎると熱いので注意 近づきすぎると熱いので注意

町のいたるところに人垣ができる 街のいたるところに人垣ができる

そして最後の1体も炎に包まれ・・・・・・

日付が変わり、午前1:00になると、遂に市庁舎広場前にある人形のラ・クレマです。最後の1体ということもあり、マスクレタの爆竹を吊るしていた公園が花火会場となって、盛大にその瞬間を祝います。囲い込むように置かれた花火が、じわじわと人形に迫る様子はまるで公開処刑。そして、人形に引かれた導火線に火が付けられると、炎は襲い掛かるように張り子、木材、塗装を飲み込んでいきます。人形が足元からてっぺんまで炎に包まれるまで、その間わずか数秒の出来事でした。

1年間かけて作られた人形が、一瞬で黒煙と灰に変わる様子は痛快です。しかし、やはり作り手の思いは複雑なのでしょう。ラ・クレマを終えた人形の脇には、目に涙を浮かべ、灰を記念に持ち帰ろうとする人々の姿がありました。様々な人々の思いを飲み込んだラ・クレマの炎は、30メートルの高さまで達した後、気が付けばもとの人形よりも小さく萎んでいました。

火祭りの終わりは春の到来。そして、翌年の火祭りへの準備スタートでもあります。来年はどんな人形が街を飾るのか、今から楽しみでなりません。

深夜0:00を過ぎて、観客の興奮はさらに高まる 深夜0:00を過ぎて、観客の興奮はさらに高まる

巨大な人形よりもさらに高く上がる花火 巨大な人形よりもさらに高く上がる花火


まず周囲が花火に囲まれ、 まず周囲が花火に囲まれ、

そして導火線に火がつけられる そして導火線に火が付けられる

あっという間に人形は炎に包まれた あっという間に人形は炎に包まれた


儚さを残して火祭りは幕を閉じた。来年への準備はもう始まっている 儚さを残して火祭りは幕を閉じた。来年への準備はもう始まっている

2008年05月


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地球の歩き方ガイドブック 編集部