情熱の国スペイン バレンシアの火祭りに行こう
写真:有賀正博、伊澤慶一 文:伊澤慶一 取材期間:2008年3月15日〜19日
協力:スペイン政府観光局 Suported by National Tourist Office of Spain
特集内容
地中海に面した太陽の街

バレンシア自治州の州旗(左)とスペインの国旗(右)

玄関口のノルド駅。マドリッドやバルセロナから約3時間

バレンシア市内を歩いていると、通りや公園などいたるところにオレンジの木が。ホテルやカフェなどでは、絞りたてのオレンジジュースを飲ませてくれるところも多い
バレンシアは地中海に面した港とビーチを持つ、スペイン第3の都市。バレンシア自治州の州都で、マドリッドとバルセロナからほぼ等距離に位置しています。バレンシアという名前を聞くと、「オレンジ」を思い浮かべる人も少なくないでしょう。実際、年間を通して高い晴天率を誇るここバレンシアは、スペインのオレンジの約9割を生産しています。
太陽の街。そんなイメージにふさわしく、7キロ以上に及ぶ海岸線は夏場になると大勢のビーチ客でにぎわいます。しかし、実はバレンシアの街が年間を通じてもっとも活気付くシーズンは夏ではなく、3月12日〜19日に行われるサン・ホセの火祭り“ラス・ファリャスLas Fallas”なのです。

空港に着陸する寸前に上空から撮影したバレンシアの街並み。奥に見えるのが地中海
スペイン3大祭りのひとつ

市庁舎広場に置かれた巨大な張り子人形。この広場の人形が、祭りの最後に燃やされる
セビーリャの春祭り、パンプローナの牛追い祭りと並んでスペイン3大祭りのひとつにあげられるバレンシアの火祭り。祭りの主役は張り子で作られた巨大な人形で、街のいたるところで誇らしげに展示されています。それとあわせて、市内ではマスクレタという爆竹を鳴らすスペクタクルや、オフレンダという献花パレードが夜遅くまで行われます。祭りの期間中、バレンシア市内は華やかな民族衣装をまとい、伝統的なスタイルで髪を結った美しい女性たちであふれかえります。

爆竹は早朝から鳴り響き、パレードは夜遅くまで繰り広げられる。祭りの期間中、バレンシアは眠らない

献花パレードには民族衣装の男性も参加


上.光のアーチがお祭りムードを盛り上げる
左.横一列に並んで行進するパレード
炎に包まれる巨大な人形

長い年月をかけて作った人形も、最終日の夜に一瞬で灰となる
このお祭りを、さらに世界的に有名にしているのが、最終日の夜に一斉に人形を燃やすラ・クレマです。火祭りの名にふさわしく、漆黒の夜空に燃え上がる炎は圧巻のひとこと。巨大な人形の場合、火柱は20メートル以上にもなりますが、燃え尽きるまでには10分とかからず、後に残るのは無残な骨組みと灰だけ。バレンシアでは火祭りの終焉がこの地方に春を告げると言い伝えられています。

期間中、市内では連夜花火が打ち上げられる

燃え上がる炎はもちろん熱い! 近づきすぎには注意

導火線に火が付けられ、徐々に炎が人形を包んでいく
火祭りの主なプログラム(2008年)
※3月初頭〜 毎日14時 市庁舎広場にてマスクレタ(爆竹ショー)







- 3月15日
- 8:00 市街各所にて小型のファリャ(張子人形)の設置
- 24:00 市街各所にて大型のファリャ(張子人形)の設置
- 3月16日
- 16:30 市庁舎広場前特設ステージにて小型ファリャの人気投票表彰式
- 22:00 市庁舎広場周辺にてフォルクローレ・パレード
- 25:00 ラ・アラメダ通りにて打ち上げ花火
- 3月17日
- 9:30 市庁舎広場前特設ステージにて大型ファリャの人気投票表彰式
- 16-25:00 ラ・パス通りおよびサン・ビセンテ通りからビルヘン広場までオフレンダ(献花パレード)
- 25:00 ラ・アラメダ通りにて打ち上げ花火
- 3月18日
- 11:00 詩人マキシミリアノ・トウス記念式典
- 12:00 作曲家セラノ記念式典
- 16-25:00 ラ・パス通りおよびサン・ビセンテ通りからビルヘン広場までオフレンダ(献花パレード)
- 25:30 ラ・アラメダ通りにて、祭り中最大規模の打ち上げ花火(ニット・デ・フォック)
- 3月19日
- 11:00 サン・ホセ橋にて火祭りの女王による献花式
- 19:00 コロン通りからポルタ・デ・ラ・マル広場までガバルガタ・デル・フエゴ(ファイヤー・パレード)と花火ショー
- 22:00 市街各所にて小型ファリャのラ・クレマ(点火式)
- 23:00 市庁舎広場の小型ファリャのラ・クレマ(点火式)
- 24:00 市街各所にて大型フャリャのラ・クレマ(点火式)
- 25:00 市庁舎広場で最後の一体となった大型フャリャのラ・クレマ(点火式)
インデックス
- レポート1 (3/15、3/16)
街をつんざく爆竹ショー、マスクレタ - 火祭り期間中、市庁舎広場前は連日大勢の観客でにぎわいます。彼らの目的はマスクレタと呼ばれる爆竹ショー。一度に使用される火薬の量は100キロ以上というから驚き!
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- レポート2 (3/17、3/18)
街を彩る献花パレード、オフレンダ - 両手で大切そうに花を抱えて行進する民族衣装の人々。献花パレードの目的地はカテドラル前の聖母像。カーネーションの花がマントを鮮やかに染めていきます!
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- レポート3 (3/19)
街を包み込む炎のスペクタクル、ラ・クレマ - 最終日サン・ホセの日の夜、ラ・クレマという点火式を一目見ようと、大勢の人々が人形の前に集まってきます。巨大な人形が一瞬で燃え落ちる、厳粛な祭りのクライマックス!
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- レポート4
バレンシアの旧市外と現代建築 - バレンシアはスペインでも有数の観光地。旧市街の世界遺産ラ・ロンハ、そして現代建築が一同に会した芸術・科学都市は必見。また、市内に点在するおすすめバルも紹介します。
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- レポート5
スライドショーでたのしむ火祭り - バレンシアの取材後記、そして火祭りで出会ったバレンシアの人々のいきいきとした表情や、趣ある旧市街の様子をスライドショーにてレポート!
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