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世界遺産サッシSassiの歩き方

「サッシSassi」とは?

家々が重なり合うように密集して建つ

家々が重なり合うように密集して建つ
サッシの町並み

そもそもサッシSassiとは「岩山」を意味するイタリア語サッソSassoの複数形。マテーラのなかでも最も古いエリアで、中心に建つドゥオーモを挟んで北側のサッソ・バリサーノSasso Barisanoと南側のサッソ・カヴェオーソSasso Caveosoの2つの地区に分けられている。サッシは石灰岩でできており、よく目を凝らしてその岩肌を観察すると、かつて海の底に沈んでいた事実を示すかのように浮き出た貝殻の化石を見つけることができる。

サッシ内にある洞窟の正確な数はわかっていない。発掘するたびに新たな洞窟が見つかるため、その数は数百とも数千ともいわれているが、その起源は先史時代にまで遡る。最初は自然の洞穴を住処とし、必要に応じて増改築されてきた。洞窟は住居とは限らない。ひとつの洞窟がときには家として、ときには教会として、あるいは貯蔵庫やお墓としても使われてきたのだ。時代ごとに用途を変えながら現在にまでその姿をとどめているのはほとんど奇跡といってもいいかもしれない。


洞窟を改装するとよく出てくるという貝殻の化石

洞窟を改装するとよく出てくるという貝殻の化石

洞窟群を背にして建つサン・ピエトロ・カヴェオーソ教会。右上は洞窟教会のサンタ・マリア・デ・イドリス

洞窟群を背にして建つサン・ピエトロ・カヴェオーソ教会。右上は洞窟教会のサンタ・マリア・デ・イドリス


苦難の歴史と再生の物語

映画『パッション』のなかでイエスが十字架を背負って歩いた道はここで撮影された

映画『パッション』のなかでイエスが十字架を背負って歩いた道はここで撮影された

この町の歴史はローマ帝国の崩壊後、他民族から支配されることの繰り返しだった。イタリアのなかでも特に貧困に苦しめられた土地でもある。そうして1952年、衛生面や経済的な理由からサッシエリアの住民は一斉退去を余儀なくされた。無人となったサッシは寂しい歴史を背負った廃墟群と化したのだ。

しかし1993年、ユネスコ世界遺産に登録されると、その類い希な景観から世界的な観光地としても注目され始め、映画のロケ地としても多く使われるようになった。代表的な作品は2004年に公開されたメル・ギブソン監督の『パッション』だろう。キリストが十字架を背負って歩いた坂や磔刑に処せられた丘など多くの場面がここマテーラで撮影されている。サッシ内には洞窟住居を改装したホテルやレストランもでき、現在は官民協力のもとサッシに一般住民が戻りつつあるという。


退去以前の洞窟住居を再現したスポット。

退去以前の洞窟住居を再現したスポット。
当時の洞窟住居は換気や採光を入口に頼るしかなく、
家畜との同居も不衛生な状況に拍車をかけたという

最新のマシンを完備したオシャレなスポーツジムとして生まれ変わった洞窟もある

最新のマシンを完備したオシャレなスポーツジムとして生まれ変わった洞窟もある


サッシを探検してみよう

町に灯りがともり出す夕暮れどき。昼間見た乾いた町並みがしっとりと幻想的な顔に変わる

町に灯りがともり出す夕暮れどき。昼間見た乾いた町並みがしっとりと幻想的な顔に変わる

エリア内の主要な見どころは徒歩でまわることができる。というより車が入れるのはサッシの外周までなのでエリア内は歩くしかない。岩窟教会など見どころの詳細は 『地球の歩き方(A13) 南イタリアとマルタ 08-09』をご覧頂きたいが、注意すべきは階段が多く道が入り組んでいるので地図があまり役立たないこと。

目印はサッシの中央にそびえるドゥオーモだ。迷う心配はさほどない。気の向くまま、足の赴くまま、歩きやすい靴と水をお供にサッシ探検へ出かけよう。14〜17時まではしっかりシエスタをとるマテーラ。旅行者にとっては閑散とした町並みに映るかもしれないが、サッシの歴史に思いを馳せながらのんびり散策を楽しみたい。

町を遠くから眺めたいならサッソ・カヴェオーソ地区のサン・ピエトロ・カヴェオーソ教会周辺がおすすめ。グラヴィーナ渓谷の岩壁につくられたたくさんの洞窟とその上に広がるサッシの町並みがよくわかる。


サン・ピエトロ・カヴェオーソ教会からさらに南へと上ったあたりからの眺め

サン・ピエトロ・カヴェオーソ教会からさらに南へと上ったあたりからの眺め

観光スポットの近くには案内表示板も

観光スポットの近くには案内表示板も


COLUMN 足をのばして洞窟のシスティーナ礼拝堂へ

マテーラから14km、車で15分ほどのところにあるピッチャーノ渓谷の岩壁にある聖堂。雨風を避け、また身を隠すのに最適なこの洞穴は迫害を受けたロンゴバルト時代の僧侶によって使用されていた。この聖堂が発見されて以降、マテーラのZETEMA財団とICRによる修復作業によって、洞窟内部にあった8〜9世紀頃の見事なフレスコ画が姿を現し、2005年から一般公開されている。3つの後陣は中央にマリア、向かって左に聖ペテロ、右に大天使ミカエルが描かれている。さらに岩壁にアダムとイヴの天地創造の場面が描かれていたことから、別名「バジリカータのシスティーナ礼拝堂」とも呼ばれている。見学は要予約。

Tel:(+39) 3205350910
ホームページはこちら
料金:個人の場合は送迎付きで10ユーロ。当日予約でも可

岩壁のくぼみにあるペッカート・オリジナーレ地下聖堂入口

内部の鮮やかなフレスコ画に目を奪われる


内部見学時には聖歌が流れる。荘厳なひととき

内部見学時には聖歌が流れる。荘厳なひととき

内部の鮮やかなフレスコ画に目を奪われる

岩壁のくぼみにあるペッカート・オリジナーレ地下聖堂入口


2008年5月


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地球の歩き方ガイドブック 編集部