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思い出を美味しいケーキに託して

エレガントなマロリー・コート・ホテルのアフタヌーン・ティー

エレガントなマロリー・コート・ホテルのアフタヌーン・ティー


スコーンの次は? 伝統的なベイクド・ケーキを探して・・・・

英国に興味のある人、あるいは紅茶が好きな人には、「アフタヌーン・ティー」や「クリーム・ティー」はすでにお馴染み。要は午後3時頃からいただくお茶とお菓子のセットのことで、それをいただく優雅な雰囲気が極めて英国的なので人気を博している。シンプルながら奥が深いスコーン(外はカリッと中はホクホクの小さな焼き菓子)に、クロテッド・クリーム(牛乳の脂肪分だけを集めた淡黄色の濃厚なクリーム)とストロベリージャムを付けて食べる。忘れていけないのはミルクティー。サクサクのお菓子と芳醇なミルクティーを一緒にいただくと本当に美味。

昨今では、日本でも“アフタヌーン・ティー”という言葉は浸透し、スコーンも一人歩きしてパン屋さんでも売るようになってきた。しかし、日本のホテルの“アフタヌーン・ティー”がゴージャスになればなるほど、売っているスコーンの種類が多くなるほど、英国の田舎のティールームで食べた、紅茶と素朴なキャロット・ケーキが思い出されて仕方がなかった。

窓と花とソファと……完璧なるアフタヌーン・ティー

窓と花とソファと・・・・・・完璧なるアフタヌーン・ティー


ハサウェイのキャロット・ケーキ

ハサウェイのキャロット・ケーキ

ウェジウッド・ビジター・センターのキャロット・ケーキ

ウェジウッド・ビジター・センターのキャロット・ケーキ


それぞれの店の味が楽しい焼き菓子

英国のお菓子は、紅茶に合うお菓子、つまり生クリームを使うのではなく、ドライなベイクド・ケーキ(焼き菓子)が発達し、各地方名産のお菓子があるほど。日本でもよく見かけるようになったスコットランド生まれの“ショートブレッド”はその代表格だろう。バターたっぷりのリッチ感とさくっとした食感はお茶によく合う。

そこで、今回は伝統的なベイクド・ケーキを探してみた。先ずは、“ウェッジウッド・ビジター・センター”のレストランへ。ここは軽食からお菓子まで楽しめるブッフェ・スタイルで、パティシエとして有名なキャロラインさんが毎日幾種類ものケーキを出している。彼女も広報のリズさんも、ベイクド・ケーキと言ってまず思い出すのは“ヴィクトリア・スポンジ”(ヴィクトリア女王が好んだと伝えられている)という。スポンジの間にジャムとクリームを挟んだ素朴なケーキだ。早速、試食。程よい甘さで、スポンジ自体がちょっとしっとり。英国在住のコーディネーター由美子さんによれば、ちょっとはまってしまう味とか。ここはグループ向けにティースタンドを使った様々なアフタヌーン・ティーを提供しており(個人の場合は、まずレストランに直行してアフタヌーン・ティーが注文出来るかどうか確認のこと)、そのメニューの中に何とキャロット・ケーキの名が堂々と書かれている。ちょっと味見。あっさりした甘みに、くるみの食感とシナモンの香り。ポスト・スコーンの候補はこの2つかなと勝手に納得・・・・・・。

ウェッジウッド・ビジター・センターのランチ・ティースタンド

ウェッジウッド・ビジター・センターの
ランチ・ティースタンド

ボリウムたっぷりだが意外に軽いヴィクトリア・スポンジ

ボリウムたっぷりだが意外に軽いヴィクトリア・スポンジ


歴史ある町で健在の伝統的焼き菓子

ストラットフォード・アポン・エイボンでは、ハイストリートに面した木骨造りの老舗ティールーム“ハサウェイ”へ。田舎町でよく見かけるお菓子屋さんの佇まいで、2階のティールームでは伝統的な雰囲気を楽しめる。ケーキは見た目も素朴なものばかりで、50種類ほどあるが、毎日幾つかを選んで朝4時から作っているとか。建物は1500年代の建築で、ティールームとしては1972年に開業。ここではキャロット・ケーキと紅茶(両方で£3.2)を注文。上に乗っているアイシング(砂糖)とケーキが調和し、見た目より軽い感じで優しい味だった。そして、町を散策して偶然見つけたのは“ベンソンズ”。モダンな雰囲気の店だけに、有名なフランス人シェフによるお菓子を並べているが、一方で伝統的な英国の焼き菓子も欠かせないそうで、地元の人に焼いてもらっている。メニューにキャロット・ケーキ、ヴィクトリア・スポンジ、チョコレート・ケーキ等が明記されていた。ちなみに一切れ£3.25〜3.50、かなりの自信作とみた。

ティールーム“ハサウェイ”

ティールーム“ハサウェイ”

トレイには伝統的なお菓子が並ぶ

ケーキ・トレイには伝統的なお菓子が並ぶ


ヴィクトリア・スポンジとモカ・ケーキ

ヴィクトリア・スポンジとコーヒー・ケーキ

路地の奥にあるベンソンズ

路地の奥にあるベンソンズ

行き先々でお茶とケーキとの出会いを楽しむ

ストラットフォード・アポン・エイボン郊外のウォーリック城の城下町では、木骨造りの外観も美しい“トーマス・オーケン・ティールーム”に行き当たった。建物は16世紀のもので、今までメンテナンスが繰り返されてきたという。ティールームは2年前にオープン。人気は大きなスコーンとお茶のウォーリック・クリーム・ティーだが、ケーキ・トレイには、大きなコーヒー・ケーキが飾られ、ヴィクトリア・スポンジは品切れだった。

木骨造りも美しい“トーマス・オーケン・ティールーム”

木骨造りも美しい“トーマス・オーケン・ティールーム”

トレイにはおおきなホール・ケーキが並ぶ

トレイにはホール・ケーキが並ぶ


レミントン・スパ郊外のカントリーハウス・ホテル“マロリー・コート”でアフタヌーン・ティー(一人分£15)の撮影をお願いした。エレガントなラウンジに、素敵なテーブル・ウェアとこれぞ正統派。お菓子は、大ぶりのスコーンの他に、なんとレモンケーキ、フルーツケーキ、チェリーケーキなど、多彩な焼き菓子が並んだ。またイースター近くだったので、特別に干しブドウが詰ったエクルズ・ケーキも登場。シェフが焼き菓子が好きなので、こういう組み合わせになったという。

スコーンと焼き菓子中心のアフタヌーン・ティー

スコーンと焼き菓子中心のアフタヌーン・ティー

マロリー・コートは6年連続でミシュランの星を獲得しているグルメ・ホテル

マロリー・コートは6年連続ミシュランの星を獲得しているグルメ・ホテル


最後はコッツウォルズのバイブリー村へ。風景としても欠かせない蔦のからまる“スワン・ホテル”のアフタヌーン・ティー。サンドイッチが3切れ、大きなスコーンとひと切れが大きい焼き菓子は、今日はレモンケーキかチョコレートケーキのチョイス。期待を裏切らない素朴なアフタヌーン・ティーにひと安心。

数少ないティールーム探検だったが、スコーンは別格として、やっぱり伝統的なお菓子はティータイムに欠かせない。ベイクド・ケーキを行く先々で食せば、地方による違い、パティシエによるオリジナリティーなどが楽しめる。アフタヌーン・ティーにこだわらず、気軽にいただけるベイクド・ケーキ&ティーの組み合わせで、より美味しいティータイムを過ごしてはいかがだろうか。

スワン・ホテルの素朴なアフタヌーン・ティー

スワン・ホテルの素朴なアフタヌーン・ティー

バイブリーの美しい景観のひとつでもあるスワン・ホテル

バイブリーの美しい景観のひとつでもあるスワン・ホテル


2008年7月


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地球の歩き方ガイドブック 編集部