ガイドブック編集部 > 特集 >  ベルギー珠玉の都市めぐり GEM City of Belgium > 鬼才アンソールの故郷、オステンド。 Oostende

鬼才アンソールの故郷、オステンド。 Oostende

シュルレアリスムの先駆者、画家ジェームズ・アンソール。
彼が暮らした東の果て(オステンド)の町へ向かう。
リゾートの陽光とは対照的な不思議な世界を描き続けた
画家の思いに触れるために、彼の暮らした家を訪ねた。

画家ジェームズ・アンソール アヴァンギャルドな空間 北海リゾートでエビコロッケを食す。

James Ensor(1860-1949)

ジェームズ・アンソールは、英国人の父とベルギー人の母との間に生まれた。オステンドに生まれ、生涯のほとんどをこの地で過ごしている。王立絵画アカデミーで絵を学び、19世紀の前衛的な画家として、20世紀初頭においては、主観を極度に強調する表現主義の先駆者として、後のアーティストに影響を与えた。仮面や髑髏をモチーフにした風刺画的な作風は長い間異端児扱いされ、作品が評価されるようになったのは晩年になってからのことである。


奇才アンソールのアヴァンギャルドな空間

ジェームズ・ アンソールは、89年の生涯のほとんどをオステンドで過ごしている。このアンソールの家は、アンソールが1917年に叔父から譲り受けた家で、晩年を過ごした場所。画家が描いた絵や仮面や不思議な人形、陶器などの収集品を展示することで彼の独特な世界観を表現している。アトリエの壁面を覆うのは、アンソールの代表作『キリストのブリュッセル入城』(写真:左上)の複製である。ここにあるアンソール作品はほとんどがレプリカだが、「花飾りの帽子をかぶった自画像Self-Portrait with a Flowered Hat 」は実物である。


アンソールの家 James Ensorhuis

Vlaanderenstraat 27, Oostende Tel. 059 805335


1階はアンソールの叔父が営んでいた土産物屋の様子が再現されている。人魚の剥製(?)など気味の悪い展示もある。天井にはなぜかたくさんのふぐ提灯がぶら下がっている(写真:左)。アンソールのアトリエは2階の明るい外光の入る部屋。日本の面や陶器なども飾られており、ジャポニズムの影響も見られる(写真:中、右)。


北海で名物のエビコロッケを食す。

オステンドは北海に面したリゾートである。オランダとフランスに挟まれた約65kmの海岸線のほぼ中央に位置している。当日はあいにくの小雨模様で海岸にいるのは一組の家族だけ。海の色も曇り空を映し出して、水平線も曖昧、海と空が緩やかに混ざり合っていた。海岸にはふた組の家族の他は見当たらない。ベージ色の砂浜に白い波がレーシのように広がっていた。季節外れのビーチとは対照的にマルクト広場で開かれるマーケットには多くの人手があった。生花から日用雑貨までさまざまなものが並ぶ。そぞろ歩く観光客は年配者が多い。
オステンドの名物は小さなエビを使ったコロッケを海岸の見えるレストランで食べる。美味。一風変わった内装を見るとムール貝の黒い貝殻をびっしりと貼り詰めた壁面だった。それがモダンで明るい店内とギャップがあり、ちょっとグロテスクに感じて、アンソールの家の1階に展示してあった不気味な人魚を思い出してしまった。アンソールが笑った気がした。


2011年04月


ページ上部に戻る
地球の歩き方ガイドブック 編集部