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マグリットの夢想、ブリュッセル。 Bruxelles

栄華の名残を色濃く留める街並みには、
新しいものを紡ぎだすしなやかな精神が宿っている。
シュールレアリストたちの夢が刻み込まれた街角のカフェで
マグリットの思い描いた家族を夢想する。

ルネ・マグリット 旧市街の隠れ家ホテル優美なパサージュ マグリットの家 マグリット的レストラン マグリット美術館 街歩き 華麗なるグランプラス

マグリットが通ったカフェ、ラ・フルール・アン・パピエ・ドレ

ラ・フルール・アン・パピエ・ドレはマグリットが良く足を運んだアールヌーヴォーのビアカフェ。かつてベルギーのシュルレアリストたちの溜まり場だった頃から、店内は時間が止まったような雰囲気である。壁には彼らの詩句が書かれていたり、当時の写真も飾られている。コーヒーカップが置かれたテーブルについた傷の数々、それらはこの店で流れた長い時間を物語っている(写真:中)。店の奥の壁にはマグリット(右から2番目の男性がマグリット)と友人たちが写った写真を大きく引き延ばしたものが貼られている。


街の散策の合間に、そしてマグリット美術館の訪問後にぜひ足を向けてほしいカフェである。シュルレアリストの仲間たちが夢を紡いでいた当時のままの雰囲気に浸りながら、ゆったりとくつろぎたい。 ベルギー・ビールでのどを潤して…。

La Fleur en Papier Doré

マグリットが24年住んだジェットの家(ルネ・マグリット・ミュージアム)

ジェットの家は、パリで活動したマグリットが、画家としての成功を収められずにブリュッセルに戻り、何度かの転居の後、落ち着いた家である。マグリット夫妻が住んでいた当時が再現されている。ブルー、イエロー、ピンクそしてホワイト、それぞれの部屋は明るく色彩にあふれている。


この家で画家は24年間暮らし、彼の作品の半分を制作した。暖炉や窓、ガラス戸、階段などが作品の中に描かれている。彼の制作意欲に反してこの家で暮らした時期はシュールレアリスムの絵は売れず、生活のために広告の仕事もしなくてはならなかった。マグリットが絵画で成功を収めるのは1950年代に入ってのことである。

画家はダイニングルーム(写真:左)にイーゼルを持ち込みアトリエとして使っていた。友人たちと仮装をして午後のひとときを楽しんだ 庭(写真:中)。家の前には「光の帝国」で描かれた街灯が立っている(写真:右)。画家は1954年この家からミモザ通りの家に転居し、1967年8月15日に68年の生涯を閉じている。

Musée René Magritte

◎マグリット的な空間が広がるレストラン、ラ・ルー・ドール

山高帽や猿、そして宙を舞う黒服の紳士などマグリットを思わせるペイントが天井や壁面いっぱいに施されているレストラン。店のある「帽子屋通り Rue des Chapeliers」の名前にちなんでの絵柄である。内装だけでなくベルギー料理の評判も高い。


La Roue d'Or

マグリット美術館

マグリット美術館はブリュッセル王立美術館の隣に2009年6月に開館した。元アンテンロー邸のネオクラシック様式の4階建ての建物が美術館として利用されている。ベルギー王立美術館とマグリット財団そして個人収集家のコレクションが貸し出され、代表作の「光の帝国」をはじめ約200点に及ぶコレクションが3フロアにわたって展示されている。

MAGRITTE MUSEUM

  • Place Royale 1, 1000 Brussel / Bruxelles[チケットあり]
  • Rue de la Régence 3, 1000 Brussel / Bruxelles[チケットなし]
  • Place Royale 2, 1000 Brussel / Bruxelles[車イス]
  • http://www.musee-magritte-museum.be

街歩き

ブリュッセルは刺激に満ちた街。今回はマグリットをテーマに歩いたが、建築が好きならアールヌーボーやアールデコの建築は見逃せない。建築で有名なミュージアムやカフェだけでなく、小さな書店の看板やペイントがいい味を出していたりして、写真好きにはたまらない。ついシャッターを切ってしまう。古い建物だけでなく、新しいビルとも調和しているところも…。

中世の繁栄を今に伝える華麗なるグランプラス


文豪ヴィクトル・ユーゴーが「世界で最も美しい広場」と賞賛し、ジャン・コクトーが「絢爛たる 劇場」と讃えた場所。グランプラスは、市庁舎(写真:右下)、王の家(左上)、ブラバン公爵 の館(右上)を始めとして手工業組合の集会場(ギルドハウス)など壮麗な建物がマルクト広場の四方 を囲んでいる。それらは15世紀から17世紀の歴史的建造物であり、ゴシックからバロック様式への 変遷を見ることができる。まさに豪華絢爛という言葉がぴったりな空間である。商業都市としての 繁栄の歴史を刻む象徴であり、1998年にユネスコの世界遺産に登録された。
世界的に有名な<ブリュッセルの最長老市民>である小便小僧は、グランプラスからほど近い場所 にあり、現在、市立博物館となっている王の家の3階にその衣装のコレクションの一部が展示され ている。市庁舎の1階には、ブリュッセル市の観光案内所がある。

優美なパサージュ、ギャルリー・サン・チュベール

ギャルリー・サン・チュベールは、1847年に完成した、ヨーロッパ最 古のショッピングアーケードのひとつである。各種高級ブティックやアンティーク・ショップのほかにレストラン、カフェ、劇場、映画館などが軒を連ねている。天井からは柔らかな光が降り注ぎ、優雅な装飾のある空間は、通り過ぎるだけでも満ち足りた気分にさせてくれる。


René François Ghislain Magritte(1898-1967)

目に見える世界はそれ自体が、“神秘”を呼び起こす詩的言語を形成するのに十分に豊かであるから、諸々の事物を描くにはもはやそれらの外観上の細部にしかこだわらない。-ルネ・マグリット

  • ※マックス=ポル・フーシェによるマグリットとの対話、ORTF、1967年6月5日
  • 出典:「身体と表現 1920−1980 ポンビドゥーセンター所蔵作品から」
  • 編集:東京国立近代美術館、市川政憲、千葉成夫、中村和雄
  • 発行:NHK、NHKプロモーション 1996
2011年04月


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地球の歩き方ガイドブック 編集部