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アイルランド文学紳士録

アイルランドは三百数十万という人口の国ながら、才能――とくに文学においては――とほうもない大国である。 (司馬遼太郎 「愛蘭土紀行」)

ジョナサン・スウィフト

(Jonathan Swift 1667-1745年 イングランド系アイルランド人) 諷刺作家、随筆家で司祭。英政界で活動、暗転しアイルランドで文筆、再度政界、文学界を繰り返す。 イングランド社会を痛烈に批判した「ガリヴァー旅行記」が有名であるが、「アイルランドの貧民の子供たちが両親及び国の負担となることを防ぎ、国家社会の有益なる存在たらしめるための穏健なる提案」(穏健なる提案)は、アイルランドの窮状に関する諷刺文書。穏健とは反語表現で、彼の最も強烈な傑作と評価されている。

代表作

  • 上記のほか
  • 書物合戦
  • 桶物語 など

オスカー・ワイルド

(Oscar Fingal O'Flahertie Wills Wilde 1854- 1900年 アイルランド出身) 詩人、作家、劇作家。耽美的・退廃的・懐疑的作風で、世紀末の旗手としてもてはやされる。 オックスフォード大学在学中より機知と才気を発揮した詩作を発表、卒業後はロンドン社交界の人気者となり、芸術至上主義を実践する才人として、あこがれの的となる。同性愛が理由で収監、釈放後はフランスに移り、不遇な生活に失意のままパリにて没する。

代表作

  • ドリアン・グレイの肖像
  • サロメ
  • 幸福な王子

プラム・ストーカー

(Abraham Bram Stoker 1847-1912年 アイルランド人) 小説家。 彼の恋人だった女優と結婚するほどオスカー・ワイルドと親交が深かく影響を与えあった。『ワラキア公国とモルダヴィア公国の物語』の「串刺し公」を知り、『ドラキュラ』を出版。ただちに演劇化されたこともあり、この小説は商業的にも成功する。彼らが活動の場とした劇場が焼失するも、その処分費用が印税で賄われたほどだという。 アメリカでその年にもっとも大きな業績を残したホラー小説に与えられる賞が、彼の名を冠したブラム・ストーカー賞である。

代表作

  • ドラキュラ

小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)

(こいずみ やくも 1850-1904年 アイルランド人の父を持ち、ダブリンで幼少時代を過ごす) 新聞記者(探訪)、作家、随筆家。 本名パトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)。ラフカディオを用いパトリックを名乗らなかったのは、キリスト教に懐疑的であったためといわれる。 アメリカの出版社通信員として来日。のち英語教師に転じて、松江の士族小泉家の節子と結婚。日本各地で英語教育に尽力する一方、欧米に日本文化を紹介する。帝大英文学講師に就職。帰化したのちは小泉八雲を名乗る。なじみ深い松江(旧出雲国)の枕詞「八雲立つ」に因む。「雨月物語」「今昔物語」などを題材とした再話文学で知られる。

代表作

  • 骨董
  • 怪談

バーナード・ショー

(George Bernard Shaw 1856-1950年 アイルランド出身) 劇作家、劇評家、音楽評論家。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの創設者。 英近代演劇を確立する。94歳で没するまで50を超える戯曲を残す。進取の精神で知られ、ソ連邦や共産主義に関する好意的な姿勢はイギリスの社会主義運動に影響を与えた。 1925年、ノーベル文学賞を受賞 「銀行の預金通帳だよ」(「最も影響を受けた本は何?」との質問に答えて)、 「青春は若いやつらにはもったいない」、「米英は共通の言語で隔てられている」などの皮肉を込めた語録でも有名。

代表作

  • ピグマリオン
  • 聖女ジョウン

J・M・シング

(John Millington Synge 1871-1909年 アイルランド人) 劇作家、詩人、小説家、民俗文化研究者)。アイルランド文学復興運動とアベイ劇場設立者の一人。 英国国教会(アイルランド国教会)の視点から、現実を厳しく見て、アイロニーにみちた簡潔な表現して、アイルランドを理想化する文学運動のなかで、強い風刺の精神を貫く。通俗性と芸術性を兼ね備え、典型的なアングロ・アイリッシュの旗手となった。

代表作

  • 谷間の影
  • 海に騎り行く人々
  • アラン諸島 ほか

ジェイムズ・ジョイス

(James Augustine Aloysius Joyce 1882-1941年 アイルランド人) 青年期以降、大半を国外で費やしているが、すべての小説の舞台や主題をアイルランドに置いた。コスモポリタン的であり最もローカルな作家という特異な位置を得た。 「ジョイスの創作技法論である、『意識の流れ』が、昭和初年の日本の作家たちに影響をあたえたことはよく知られている」(前掲 司馬遼太郎)

  • 小説 ユリシーズ
  • 短編集 ダブリン市民 ほか

W・B・イェイツ

(William Butler Yeats 1865-1939年 アイルランド人) 劇作家。神秘主義的思想をテーマにした作品を描き、アイルランド文芸復興を促した。 1892年、アイルランド文芸協会設立。99年、アイルランド国民劇場協会設立。 1923年、ノーベル文学賞を受賞 「ケルト的な霊性から出た妖精好きであったこともよく知られている」(前掲 司馬遼太郎)

代表作

  • アシーンの放浪
  • ケルトの薄明 ほか

サミュエル・ベケット

(Samuel Beckett 1906-1989年 アイルランド出身のフランス人) 小説家、劇作家。 パリに出て教師として過ごした際、ジェイムズ・ジョイスの知己を得て、彼の口述筆記や複写なども手伝う。 第二次大戦ではフランスのレジスタンスグループに加入。ナチスに抵抗し、ゲシュタポから逃れ長期潜伏した。戦後はパリに戻り、執筆を再開。50年代に小説「モロイ」で小説の革新をしながら、52年には、現代演劇に多大な影響を及ぼす戯曲「ゴドーを待ちながら」を発表。 1969年、ノーベル文学賞を受賞

代表作

  • 戯曲 エレウテリア(自由) 、ゴドーを待ちながら、勝負の終わり ほか
  • 小説 並には勝る女たちの夢、マーフィー 三部作 モロイ ほか

シェイマス・ヒーニー

(Seamus Heaney 1939年- 北アイルランド出身) 詩人・作家。 カトリック系の St. Columb's College で学び、クイーンズ大学でも学んだ。その後、教職に就く。 1966年に初めての詩集「ナチュラリストの死」を出版。66年、クイーンズ大学ベルファスト講師、85年、ハーバード大学教授を務める。 1995年、ノーベル文学賞を受賞

代表作

  • ナチュラリストの死
2012年02月


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地球の歩き方ガイドブック 編集部