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スコットランドが色濃く残るハイランドへ Highland

ハイランドとはスコットランド北の山側のことで、南の低地帯はローランドという。スコットランドは、ローマやバイキング、イングランドに侵略されてきたが、イングランドとの国境に近いローランドに対し、北方の高地ハイランドは独自のケルト文化を保ってきたため、スコットランドらしさが色濃く残っている。

ハイランドをスポーツカーで疾走すればボンド気分に。写真はロータスエリーゼ、実際に『007 私を愛したスパイ』と『007 ユア・アイズ・オンリー』で登場したのはロータスエスプリ

ハイランドをスポーツカーで疾走すればボンド気分に。写真はロータスエリーゼ、実際に『007 私を愛したスパイ』と『007 ユア・アイズ・オンリー』で登場したのはロータスエスプリ

Natural Beauty

グレンコー

スコットランド・ゲール語で「嘆きの峡谷」という意味グレンコー。険しく美しいハイランドの自然を象徴する景色だ cVisitBritain / Britain on View

スコットランド・ゲール語で「嘆きの峡谷」という意味グレンコー。険しく美しいハイランドの自然を象徴する景色だ cVisitBritain / Britain on View

『007 スカイフォール』の撮影が行われたのがハイランド西のグレンコー。晴れた日はもちろん、霧雨に煙ったときにはさらに神秘的な美しさを見せるグレンコーは、これまでにもハイランドが舞台になった映画の中で象徴的に使われてきた景色でもある。一番高いベンネビス山で1344mほどだが、氷河によって削られた地形はかなり険しく、およそ20の登山ポイントがある。ビクトリア時代には英国の名だたる登山家たちがここで訓練を積んだという。

ここはスコットランドの歴史でも意味深い場所で、1692年、イングランド王ウイリアム3世への忠誠宣誓書を納める期日に数日遅れてしまったためにマクドナルド氏族が皆殺しになった「グレンコーの虐殺」が起きたところ。スコットランドでは誰でも知る話として伝えられている。

ビジターセンターでは歴史や地形のほか、登山家や学者などこの地に関わった人たちの足跡を展示

ビジターセンターでは歴史や地形のほか、登山家や学者などこの地に関わった人たちの足跡を展示

グレンコーに向かうA82号線沿いのランノッホムーアに虹がかかっていた

グレンコーに向かうA82号線沿いのランノッホムーアに虹がかかっていた


グレンコービジターセンター公式サイト(英語)

グレンコー/グレンコー&ロッホリーヴンマーケティング協会(英語)

Castle

アイリーン・ドナン城

カイル・オブ・ロカルシュ近くにあるアイリーン・ドナン城は『ワールド・イズ・ノット・イナフ』でロンドンのMI6が破壊されたためにスコットランド支部として登場した。山に囲まれ、3つの海水湖が交わる入り江の小さな島に建つ城はスコットランドのアイコンでもあり、一帯の景観はハイランドを代表する景色だ。人が居住したのは6世紀ごろ、要塞としての城が建てられたのは13世紀で、以来、何世紀にもわたって、少なくとも4つの城が建築されてきた。1719年にジャコバイト(カトリックのジェームズ2世支持派)台頭でスペイン軍の一部により破壊されたが、1911年にジョン・マクリー・ギルストラップ海軍中佐が島を購入、20年にわたって改装した後、1932年に再オープンしている。

アイリーン・ドナン城 公式サイト(英語)

ヨーロッパの名城。バンケットホールやベッドルームなどほとんどの部屋が見学できる

ヨーロッパの名城。バンケットホールやベッドルームなどほとんどの部屋が見学できる

入口ではキルトを着たハイランダーがお出迎え

入口ではキルトを着たハイランダーがお出迎え


 『ワールド・イズ・ノット・イナフ』(レイモンド・ベンソン著、小林浩子訳)ではMI6のスコットランド支部は“セイン城”となっており、こう記述されている。「前任のMが引退した直後、情報部は城の翼棟の一部を購入すると、観光客を立ち入り禁止にし、厳重に警戒された専用の入り口を設けた。現在のMはスコットランドに親近感を抱いており、政府との交渉も率先して行っている。[中略]Mはロンドンにうんざりしていて、なにかと口実を作っては出かけていた。スコットランドに作戦支部ができてからは、部下を引き連れて、好きなように行き来していた。」

Country House Hotel

大自然の中でアクティビティを満喫し、豪華なホテルでゆったりできるのはハイランドならでは。ショーン・コネリーは射撃をするために訪れ、エリザベス女王も夏の休暇にハイランド北東にある邸宅バルモラル城で釣りや狩猟、乗馬に興じるという。思い切り遊んだ後はシッティングルームでくつろぎ、夜はジャケットとタイでシックに、というのが英国紳士の過ごし方。

インバロッヒーキャッスルではロールスロイスでゲストを送迎。『007 ゴールドフィンガー』ではゴールドフィンガーがロールスロイス・ファントムIIIに乗っていた

インバロッヒーキャッスルではロールスロイスでゲストを送迎。『007 ゴールドフィンガー』ではゴールドフィンガーがロールスロイス・ファントムIIIに乗っていた


インバロッヒーキャッスル

『007スカイフォール』の撮影時にダニエル・クレイグも泊まったホテル。ベンネビス山を望むトーランディの湖のほとりに建つ元貴族の邸宅で、1873年にはビクトリア女王が訪れたのをはじめ、エリザベス女王にヨルダン国王、さらにはチャーリー・チャップリン、ショーン・コネリー、エルトン・ジョン、アンソニー・ホプキンス、メル・ギブソンと宿泊リストには本物のセレブリティがズラリ。1869年に泊まったジェファーソン・デイビス米連合国大統領は手紙に「スコットランド最高の景色が見られる」と記している。部屋は内装の異なる17室で、クレイグが泊まった部屋は16号室。広大な敷地にはガーデン、牧場もあり、ゴルフ、ラフティング、マウンテンバイク、射撃などさまざまなアクティビティを用意。レストランはミシュラン1つ星。

インバロッヒーキャッスル 公式サイト(英語)

広大な敷地にはキッチンガーデンも備わる

広大な敷地にはキッチンガーデンも備わる

アフタヌンティーも楽しめる優雅なグランドホール

アフタヌンティーも楽しめる優雅なグランドホール

ダイニングルーム。男性はジャケットとタイのドレスコードがある

ダイニングルーム。男性はジャケットとタイのドレスコードがある

ビクトリア朝インテリアの14号室Isle of Skyeの部屋。スーペリアダブルのカテゴリー

ビクトリア朝インテリアの14号室Isle of Skyeの部屋。スーペリアダブルのカテゴリー


キャメロンハウス

ローモンド湖畔に建つモダンなカントリーハウスホテル。レストランの壁にハイランダーの絵が描かれていたり、著名スコットランド人の写真が飾られている「グレートスコッツバー」など、スタイリッシュな中にもスコットランドのエッセンスが溢れている。このバーに写真が飾られているひとり、F1レーサーのジャッキー・スチュワートはラグナセカグランプリで初代ボンドカーのアストンマーチンDB5をペースカーとして運転している。ゴルフ、湖上クルーズ、アーチェリー、クレー射撃、ゴムボート、マウンテンバイク、バギー、セイリング、フィッシング、鷹匠経験、水上飛行機、などアクティビティも豊富。家族連れからシニアまで幅広い客層がそれぞれ贅沢な時間を楽しんでいる。

ローモンド湖畔、100エーカーの敷地に建つ元男爵邸。グラスゴーから30分とアクセスも良い

ローモンド湖畔、100エーカーの敷地に建つ元男爵邸。グラスゴーから30分とアクセスも良い

キャメロンハウス 公式サイト(英語)


レセプション前。思い切りおしゃれをしても浮かない雰囲気

レセプション前。思い切りおしゃれをしても浮かない雰囲気

グレートスコッツバー。知っている人物を見つけるのが楽しい

グレートスコッツバー。知っている人物を見つけるのが楽しい


ウォッカマティーニなどのカクテルはステアだけでなく、もちろんシェイクもしてくれる(グレートスコッツバー)

ウォッカマティーニなどのカクテルはステアだけでなく、もちろんシェイクもしてくれる(グレートスコッツバー)

タータンでまとめられたスタイリッシュな客室は129室ある

タータンでまとめられたスタイリッシュな客室は129室ある


レストランの壁にはユーモラスなハイランダーの絵が

レストランの壁にはユーモラスなハイランダーの絵が

プールも大きく、家族で訪れるのもいい

プールも大きく、家族で訪れるのもいい


Activities

ボンドはずばぬけた身体能力の持ち主。敵との格闘や射撃のほか、『サンダーボール作戦』で披露したダイビング、 『ゴールドフィンガー』でのゴルフ、『女王陛下の007』のスキーなどスポーツも万能。カントリーハウスホテルではさまざまなアクティビティを用意しているので、ボンド流にスポーツやレジャーを楽しんでみたい。キャメロンハウスでのアクティビティの一部を紹介。

キャメロンハウス 公式サイト(英語)

150m上空を飛ぶシープレーンでの遊覧飛行も迫力満点

150m上空を飛ぶシープレーンでの遊覧飛行も迫力満点


ローモンド湖をヨットでクルージング

ハイランドの山に囲まれたローモンド湖でシャンペンを片手にヨット「ケルティックウォリアー」でクルージング。マリーナから出発し、キャプテンやスタッフが季節ごとに異なる姿を見せてくれる湖を案内してくれる。湖畔には、会員制高級ゴルフクラブでスコティッシュオープンの開催コース、ロッホ・ローモンド・ゴルフクラブなども見える。90分1人50ポンド。

シャンペン片手に優雅にクルージング

シャンペン片手に優雅にクルージング


湖畔には高級会員制クラブのロッホ・ローモンド・ゴルフクラブもある

湖畔には高級会員制クラブのロッホ・ローモンド・ゴルフクラブもある

船内にあるローモンド湖の地図。その地形の複雑さがわかる

船内にあるローモンド湖の地図。その地形の複雑さがわかる


アジア人が得意な?アーチェリー

ロンドンオリンピックでも注目されたアーチェリー。正確に標的を狙う能力は、諜報員には必要不可欠に違いない。初めてでもインストラクターの指示にしたがって、矢を射れば5.5m先の的に当てられるようになる。ちなみにオリンピック選手の的までの距離は70m。一般的に日本、韓国、中国などのアジア人はうまいのだとか(例外はある)。1時間 30ポンド。

インストラクターが1から指導してくれる

インストラクターが1から指導してくれる


利き目を使って的を見る。集中力も大事

利き目を使って的を見る。集中力も大事

最後は参加者で点数を競う

最後は参加者で点数を競う


Distillery

ドン・ペリニオンの1953年物、シェリー酒のソラレなどボンドはお酒にも博識だ。『007 ゴールドフィンガー』ではMとスミザース大佐と食後酒を飲んで、30年物のブランデーについて「ブレンドに難がある。ボンボアBons Boisが多すぎる」と原酒について鋭い嗅覚と知識を披露した。ウイスキーの本場、スコットランドではボンドに倣うべく、「ブレンディング」を学んでみたい。

水をハイランドから引いていることからハイランドウイスキーに分類されるグレンゴイン蒸溜所

水をハイランドから引いていることからハイランドウイスキーに分類されるグレンゴイン蒸溜所


グレンゴイン蒸溜所

グラスゴーから車で北に40分、ダムゴインヒルにあるシングルモルトの蒸溜所。スコットランドでは麦芽を乾燥させる際にピート(泥炭)を焚いて香り付けをするのが特徴だが、グレンゴインではピート処理をせず、蒸溜と樽での熟成に長い時間をかけることで、スモーキーさのないすっきりした味わいを生み出している。シングルモルトはワインのようにアロマで生産地が特定できるため、アロマを消さないよう氷を入れずに飲むのがお約束だが、『女王陛下の007』でボンドはアルプスにあるブロフェルドの研究所でモルトウイスキーの水割りを注文している。

グレンゴイン蒸溜所ではウイスキーのブレンド体験ができる。手順は、まずベースとなるグレーンウイスキー2種(ノースブリティッシュ、インバーゴードン)を合わせ、50mlになるようビーカーに入れる。次に、香りの異なるシングルモルト6種類から、それぞれの香りを確かめながら何をどのくらい入れたか記録しながら合計で100mlになるように足していく。ブレンド具合でスモーキーにもピュアにも仕上げられることが実感できる。

MEMO

モルトウイスキー

=麦芽だけを原料にしたウイスキー。豊かな香りで個性的

グレーンウイスキー

=トウモロコシなどの穀物を原料にしたウイスキー。すっきりした味わい

シングルモルト

=大麦麦芽のみを使用し単一蒸溜所で作られたウイスキー

ブレンデッドウイスキー

=モルトウイスキーとグレーンウイスキーを組み合わせたウイスキー


Glengoyne 公式サイト(英語)

ブレンド体験は蒸溜所ツアーとセットになった1時間45分のセッション。まずはシングルモルトの作り方から説明を受ける

ブレンド体験は蒸溜所ツアーとセットになった1時間45分のセッション。まずはシングルモルトの作り方から説明を受ける

何をどのくらい入れたか記録しながらスポイトでビーカーに少しずつ足して行く
何をどのくらい入れたか記録しながらスポイトでビーカーに少しずつ足して行く

何をどのくらい入れたか記録しながらスポイトでビーカーに少しずつ足して行く


グレンゴイン、ローランド、ハイランド、スペイサイド、アイランド、アイラのシングルモルトをグレーンウイスキーに足していく。ピュアな味わいにしたいと言ったら、それぞれ15、6、19、6、2、2mlにしてくれた

グレンゴイン、ローランド、ハイランド、スペイサイド、アイランド、アイラのシングルモルトをグレーンウイスキーに足していく。ピュアな味わいにしたいと言ったら、それぞれ15、6、19、6、2、2mlにしてくれた

2012年12月