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ナイアガラワインの産地へ カナダワインの産地、ナイアガラ・オン・ザ・レイクへ

遠くに見える丘がナイアガラ断層。この地形がワインづくりにいい環境を作っている(トリウス)

遠くに見える丘がナイアガラ断層。この地形がワインづくりにいい環境を作っている(トゥリウス)

世界が注目するナイアガラのワイン

ナイアガラフォールズから20分ほど北上するとブドウ畑が広がるナイアガラ・オン・ザ・レイクに着く。近年、カナダのワイン産業は急成長中で、消費量も上昇。なかでもオンタリオ州はカナダのワインの約8割が生産され、その最大のワイン産地がナイアガラ半島だ。この半島を貫くナイアガラ断層が壁になって、オンタリオ湖からの風を循環させるため、ブドウ作りに適した環境を生み出している。湖から夏には涼しい風が、激寒の冬は地上より高い温度の風がブドウを守る役割を果たす。もともと果樹地域で、ミネラル豊富な石灰質の土壌もブドウづくりに適していた。

カナダのワインが世界に知られるようになったのは、1991年に権威あるワイン見本市ヴィネクスポVinexpoでイニスキンワインズのVidal Icewine 1989がアイスワインのグランプリに輝いたこと。アイスワインは自然に凍ったブドウで作る、糖分が濃縮された極甘口のデザートワインで、冬には零下20度になるというナイアガラ半島はアイスワインづくりに向いていた。通常のワインの8倍以上のブドウを使用するため、大量生産ができない高価なワインでもある。

豊かな甘みのアイスワインはアイスクリームにかけたり、スパークリングワインに入れてもいい

豊かな甘みのアイスワインはアイスクリームにかけたり、スパークリングワインに入れてもいい


ナイアガラ・オン・ザ・レイクのトゥリウスワイナリーで働くワインコンサルタントの飯田貴博さんはこの地方の特徴を次のように話す。「夏は暖かく、冬寒い大陸性の気候でブルゴーニュ地方と近い。控えめで酸味の利いた味わいがあり、ミディアムに近いエレガントなワインができる」。さらに、シャトー・デ・シャルムのコーディネーター松本有奈さんは「フランス系、イタリア系、ドイツ系などさまざまな特徴のあるワイナリーがあること」と説明する。

ワインコンサルタント飯田さん。2階のThe Loftはリーデルのグラスでサーブ

ワインコンサルタント飯田さん

コーディネーターの松本さん

コーディネーターの松本さん


イタリア風ワイナリー、コラネリ

イタリア風ワイナリー、コラネリ

カナダでワイン産業が成長している背景は、「各国から若いワインメーカーが集まり、新しい試みをしていること」(飯田さん)。一方で、地元の教育機関でもワインメーカーも育成に力を入れているという。ただ、冷涼なカナダでは大量生産できるほどのブドウ畑がないため、少量に手をかけた品質重視のワイン作りを行なっている。海外への輸出も限られ、日本ではお目にかかることが少ないため、高品質なカナダワインのワイナリー訪問は価値が高い。テイスティングも日本人の担当者がやってくれるところがあるのもうれしい点だ。

各ワイナリーではツアーとテイスティングを実施

各ワイナリーではツアーとテイスティングを実施

レストラン併設のワイナリーでは食事も楽しみ

レストラン併設のワイナリーでは食事も楽しみ

ワイナリー巡りに絶好の街

ワイナリー巡りの拠点にしたいのが、ナイアガラ・オン・ザ・レイク。米国の独立によって移住してきたロイヤリスト(王党派)のために英国が築いた街。1792年には英国領カナダの中心地、アッパーカナダ(現在のオンタリオ州)の最初の首都が置かれたが、首都はヨーク(現在のトロント)に移転、1812年の米英戦争では激しい戦いの場となった。

ナイアガラ・オン・ザ・レイクのシンボルの時計塔

ナイアガラ・オン・ザ・レイクのシンボルの時計塔


戦後に再建された、19世紀のままの建物が今も残り、タイムスリップしたような雰囲気。花で溢れ、映画のセットのように美しい街並は、実際に『アメリア 永遠の翼』(2009)などの映画のロケ地となっている。

そのままで映画のセットになりそう

そのままで映画のセットになりそう

ビクトリア時代にタイムスリップしたよう

ビクトリア時代にタイムスリップしたよう

メイン通りのクイーンストリートには、英国皇太子も宿泊したという由緒あるホテルがあったり、手作りジャムの店やワインショップのLCBO、ベーカリーなどが並んで人々の暮らしを感じさせる。周辺のワイナリーでこだわりのワインを堪能したあとに、趣のある宿で心からゆっくりしたいと思える場所だ。

豊かに水をたたえるオンタリオ湖。遠くにトロントも見渡せる

豊かに水をたたえるオンタリオ湖。遠くにトロントも見渡せる

VQAのワインは100%オンタリオ産

オンタリオ州のワインはVQA(Vintners Quality Alliance=ワイン品質管理同盟)により厳しく管理されている。例えばVQAの規準では、100%オンタリオ産のブドウ種から作る、畑の名前を使う場合100%その畑から獲れたブドウである、アイスワインは自然に凍ったブドウで氷点下8度以下の日が3日以上続いてから収穫するなど、細かく基準を定めている。買う方からみると、VQAが付いているワインはブドウから醸造まで100%オンタリオ産で、安心といえる。
ちなみにオンタリオ州ではワイナリー以外は、ワインはオンタリオ州直営の酒店であるLCBO(Liquor Control Board of Ontario=オンタリオ州酒類管理委員会)でのみ販売。ワイナリーでのテイスティングも1回4杯が原則だ。

VQAは信頼の印

VQAは信頼の印

ナイアガラ・オン・ザ・レイクのLCBO

ナイアガラ・オン・ザ・レイクのLCBO

Winery

シャトー・デ・シャルム
Chateau des Charmes Winery

http://www.chateaudescharmes.com/

自社農園のブドウを使いフランスの伝統的なワイン造りを行なう。オーナーのポール・ボスク氏が丹精込めたSt. David’s Bench、PAUL BOSCの単一畑で作ったワインのほか、敷地内4種類の畑でできるブドウをブレンドしたエステートブレンド、オリジナルの苗から作るガメイ・ノワールなどこだわりのワインを多種製造。

お城のような建物

お城のような建物


赤ワインのフラッグシップは出来のいい年しか作らないボルドースタイルのエキュリアスEQUULEUS。リースリング、ヴィダルのアイスワインも美味。大量生産はせず、輸出はしていないので、ここで飲む価値は充分にある。
ワイナリーツアーは各国語で行なわれ、日本語ツアーは11:15から実施。

St. David’s Benchの畑

St. David’s Benchの畑

シャトー・デ・シャルムの自信作シャルドネとEQUULEUS

シャトー・デ・シャルムの自信作シャルドネとEQUULEUS

トゥリウスワイナリー
Trius Winery at Hillebrand

http://www.triuswines.com/

創業は1979年。1994年からカナダ最大のワイン製造業者アンドリューペラーの傘下となり、2012年からブランドTriusがワイナリー名に。ワインメーカーはオンタリオ州のワインメーカー・オブ・ザ・イヤーに選ばれたことのあるクレイグ・マクドナルド氏で、幅広いタイプのワインを生産。

通常のテイスティングのほか、2階のThe Loftでは自社農園のブドウから作られたプレミアムワインを試せる。手摘みブドウを自然発酵させたシャルドネShowcase Wild Ferment、ワインメーカー渾身のTrius Grandはトリウス自慢のボルドースタイルワイン。レストランではGold Medal Plates受賞シェフによる地元食材を使った創作料理が味わえる。

2階のThe Loftで試せるこだわりワイン

2階のThe Loftで試せるこだわりワイン

雰囲気のいいセラーは貸し切りもできる

雰囲気のいいセラーは貸し切りもできる

樽やステンレスのほかコンクリートタンクも利用

樽やステンレスのほかコンクリートタンクも利用

ピラーアンドポスト
Pillar and Post

19世紀後半の桃の缶詰工場を改造したカントリースタイルのホテル。レンガ作りの佇まいに花が溢れ、本物の暖炉があるロビー、レンガが趣のあるダイニングルーム、広いのに落ち着ける部屋など全てがアットホーム。パティオを囲むように客室が並び、 ガーデンも整えられている。ロビーをきれいに花で飾っているほか、ベッドにバラが一輪置かれるなど、ロマンチックな演出も。100ファウンテンスパはさまざまな賞を受賞する人気スパ。

温かみがあるロビー

温かみがあるロビー

妙に落ち着くダイニングルーム

妙に落ち着くダイニングルーム

数々の受賞歴のある100ファウンテンスパ

数々の受賞歴のある100ファウンテンスパ

222号室の部屋

222号室の部屋

室内プールでエクササイズ

室内プールでエクササイズ

2013年07月