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ボヤナ教会のフレスコ画

夕暮れのソフィア近郊。世界遺産だというのに、あたりには観光客の姿はもうない。このレンガ造りの小さな教会の内部では、13世紀に描かれた人類の宝ともいうべき生命感にあふれたフレスコ画が待っていた。

ヴィトシャ山の麓の林の中にひっそりと建つ、ボヤナ教会はブルガリア正教会に属する。1階建ての教会の東棟(写真右部分)は、10世紀後半〜11世紀初頭の創建。2階建ての中央棟が加えられたのは、第2次ブルガリア帝国時代の13世紀のことだった。さらに19世紀半ばには西棟(写真左部分)が増築された。今見る形は異なる時代の増築の結果の集合体ではあるが、そうと聞かされなければ一時に建てられたと言われても違和感はない。しかしよくよく目を凝らして見ると、確かに建築様式は違う。この教会を有名にしたフレスコ画は、中央棟増築時に描かれたものである。教会内部は撮影禁止であるが、今回は特別な許可の下に撮影している。

最初に建てられた東棟の内陣の最奥部のくぼみには祭壇のスペースがある。くぼみの上には「王座に聖母マリアとキリスト」、その上の東壁には「キリストの変容」が描かれている。写真右下に描かれた聖人像は、この教会の守護聖人である聖ニコラオス

「キリストの変容」(1259年)。キリストが、高い山で弟子たちを伴い白く光り輝く姿を示したという出来事が聖書に記されている。その様子を描いたもの

「最後の晩餐」(1259年)。レオナルド・ダヴィンチの作品(1498年)が有名だが、キリストが処刑される前夜、十二使徒と共に取った夕食の様子が描かれている。東棟の北側壁面の上部にある

「全能のキリスト」(1259年)。左手に福音書を持ち、右手は祝福の動作の形で描かれる。東棟のドーム天井にある

「聖母マリアとキリスト 聖アンナ、聖ヨアキムと恩恵の手」(1259年)。中央棟の東面、東棟への出入り口の上部にある。母子像を囲むようにマリアの母アンナ(右)、父ヨアキム(左)が描かれている

「法律学者とキリスト」(1259年)。キリストと法律学者との論争(?)の様子だろうか。13世紀に増築された中央棟の南側壁面上部にある



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地球の歩き方ガイドブック 編集部