ガイドブック編集部 > 特集 > バーミリオンクリフス・ナショナルモニュメントを歩く > ザ・ウェーブ

20


片道2時間のトレッキング

スタートはワイアーパス・トレイルヘッド(写真21)。出発前に必ず訪問者記録に記帳する(写真22)。コヨーテ・ウォッシュという干上がった川のトレイルを左に入り、10分ほど歩くと右手にノースコヨーテビュートへの案内板(写真23)が現れる。これが最初で最後の標識だ。はじめは砂原の丘を歩く。ときどきブッシュから野ウサギが飛び出してびっくりする。砂地にはかすかに人の踏み跡が残っていてそれを頼りに前進できる。何度かアップダウンを繰り返しながら丘を越えると岩場が現れる。ここからはたどれるような道はまったくない。地図に示された独特な地形を目印に前進する。ティーピーズ、ツインビュート、そして最後の巨大な岩のクレバス(写真24)……地図の写真と同じ地形が現れるたびにほっとする。このザ・ウエーブまでのトレッキングだけでも、まったく別の星に迷い込んだようなエキサイティングな体験だ(写真25-27)。最後にもう一度谷に下り岩山の斜面をよじ登ると、そこにザ・ウェーブが現れる。約2時間の道のりだった。


21

22

23

24

25

©Osamu Hoshino

26

©Osamu Hoshino


27


地球が刻んだ奇跡の景観

あの独特の波立つようにうねった地層はすり鉢のような地形の中にあって、閉じられた空間と言ってよい。そこは思ったよりもずっと狭く、1日たった20人に制限していることにも納得できた。すり鉢の底から見上げると自分がまっすぐに立っているのかわからなくなってくる(写真28)。そして色彩。黄色、赤紫、ピンク、オレンジ、そして地名の由来であるバーミリオン(朱色)が、波打つ地層を染め上げている(写真29-33)。まさに「地上で最も美しい場所」だった。岩のくぼみにできた水たまりで、もうひとつの奇跡を見た。近くに水源はないから雨によってできた小規模な水たまりのはずだ。真夏には干上がってしまうかもしれない。そんなところにも小さなカブトガニのような生物が棲んでいたのだ(写真34,35)。すり鉢の斜面を上って丘の稜線に出る。そこから見下ろす景色もこの世のものとは思えない造形にあふれていた(写真36,37)。


28

29

30

31

32

33

34

35

36

37


安全なトレッキングのために

バーミリオンクリフスNM内のトレッキングは、基本的にBLMから許可を得ている現地のツアーガイド会社が催行するツアーに参加するか、ガイドとして同行してもらうことをお勧めする(公認ガイドなら許可証が必要なサウス&ノースコヨーテビュートでもガイドの分の許可証は不要)。そのほか安全なトレッキングのためのポイントを以下にまとめた。

1. 服装
・「長袖の」服とパンツ(夏の時期でも長袖をベースにレイヤー(重ね着)で天候に合わせて対応する。強い日差しを避ける意味もある。また風が吹いて舞い上がる土ぼこりは粒子が大きくて当たると非常に痛い。暑くても肌を露出しない服装が無難だ) ・レインジャケットとザックカバー(天候の激変に備えて)

2. 装備
・許可証(2枚渡される。1枚は車のフロントガラスに。もう1枚は必ず装備の見えるところに着けなければならない) ・帽子とサングラス(必携。帽子はツバの広い方がいい) ・トレッキングシューズ(砂地と岩盤が交互するトレイルのない荒地をアップダウンするので、靴底のしっかりしたものを用意すること) ・水(BLMは1人最低1ガロン=約4リットルを推奨している。500mlのペットボトルで分けて持つとよい。汗をかくので、スポーツドリンク粉末も用意して適時補給しよう) ・食料(ランチとして一食分とチョコレートやバナナなどの行動食。カロリーメイトのようなかさばらないものがよい。BLMではさらに緊急時一晩過ごすに十分な水と食料の用意も推奨している)  ・カメラ(せっかく世界の絶景まで行くのだから…) ・コンパス、GPS(ガイドを同行しないなら必携。BLMの地図にはGPS用の位置コードが明記されている) ・日焼け止め

3. その他
当日の天気予報は必ず確認すること。現地抽選で当選した場合は、当選後の説明会で翌日の天気予報は詳しく教えてくれる。それだけ気象情報は重要だ。当選しても天気次第でトレッキングができなくなることは当然あり得る。
トイレは駐車場にしかない。出発前に必ず用を済ませておくこと。気になる方は携帯トイレの持参も検討すべき。
トレッキングの時間帯は、朝の早い時間にスタートして昼前にはザ・ウェーブに到着しそこでゆっくり時間を過ごせるスケジュールを組んだ方がいいと思う。何より早朝から歩き出せば比較的涼しいので歩きやすい。朝、太陽が低いとザ・ウェーブは日陰になるが、早目に到着してゆっくりできれば光による変化も楽しめる(写真38-40)。 もちろん、入山時間には制限がない。実際私たちも午後の帰り道で、ザ・ウェーブに向うグループとすれ違った(写真41)。
季節は天気が比較的安定している春か秋が気候的にはベスト。しかし、当然競争率も高くなる。6月下旬〜9月は、酷暑で突然の雷雨も多いので避けたほうがいい。BLMの担当者によると冬季は応募者が減り倍率が下がるらしい。気象状況が多少厳しくてもザ・ウェーブを是非見たいということであれば検討する価値はある。

4. 自然への影響を最小限にする配慮を!
食べ残しやトイレットペーパーなどのゴミはすべて持ち帰る。
砂漠の動植物は、とても希少で微妙なバランスの生態系で生きている。植物を踏みつけたり、水たまりに入ってもいけない。
コヨーテビュートの地層は壊れやすい砂岩でできている。とくに脆くて薄い層状の崖の周辺を歩くときは注意を。岩に這い上がるなどは決してしないように。


38

39

40

41


42




ページ上部に戻る
地球の歩き方ガイドブック 編集部