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ゴッホの故郷をたどって
ズンデルトからヌエネンへ

ヌエネンにあるゴッホ像。実際のゴッホの身長(164cm)と同じ高さだという

オランダ人画家フィンセント・ファン・ゴッホVincent Willem van Gogh。繊細ながらも燃えるような力強い絵画の数々や、耳切り事件など狂気にも似た激しい気性から、のちに「炎の画家」と呼ばれるゴッホの足跡をたどって、ふるさとの町を訪ねてみた。1853年3月30日、ゴッホはオランダ南部ののどかな田舎町ズンデルトZundertの牧師家庭に生まれた。牧師だった父が務めていた教会は今も残っており、マルクト広場に立つ生家は現在ゴッホ関連の小規模な資料館になっている。

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 1  生家を資料館にした「フィンセント・ファン・ゴッホハウス」    2  ゴッホ広場と名付けられた広場には、ゴッホと、ゴッホを生涯献身的に支えた弟テオが抱き合う兄弟像(ザッキン作/1963年)が。奥に見えるのはゴッホの父親が牧師を務めていた教会    3  「フィンセント・ファン・ゴッホハウス」の外壁にはゴッホがここで生まれたことを示すプレートが    4  ズンデルトの市庁舎

ゴッホが生まれ育った静かで穏やかなズンデルトの町並みに浸ったあとは、西に80kmほどのところにあるヌエネンNuenenへ向かう。ヌエネンは初期の代表作『じゃがいもを食べる人々(The Potato Eaters)』が生まれた町で、ゴッホが画家として本格的に歩み始めた町ともいわれている。ヌエネンにあるミュージアム「フィンセンターVincentre」では、ゴッホが暮らしていた当時の生活やゆかりの人々などについて知ることができる。

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 5  2010年にオープンしたフィンセンター。ゴッホが住んでいた家の斜向かいに立つ    6  しゃべる肖像画。ゴッホゆかりの人々の話が聞けるおもしろい仕掛け    7  日本語のオーディオガイドもある    8  オーディオガイドマークのある機械のそばでボタンを押すと声が聞こえてくる

ロンドンやハーグなどで過ごした20代、失恋に苦しみ、対人関係のもつれから聖職者への道を断たれるなどの紆余曲折を経て、当時ヌエネンに暮らしていた両親のもとに戻ってきたのはゴッホ30歳の頃。27歳で画家を志したゴッホが、37歳で自らの人生に幕を下ろすまで、素描も含めて10年で2000点ほどの絵画を描いたといわれるが、そのうちの約500点がヌエネンで過ごした2年間に描かれたという。ヌエネンの農民や田園風景を数多くスケッチしたなかから生まれたのが名作『じゃがいもを食べる人々(The Potato Eaters)』だった。

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 9  当時のヌエネンで使われていたはた織り機。はた織りと農業で生計を立てていたヌエネンの人々の主食はじゃがいもだった    10  〜  12  つまみのついた白い箱をのぞくと、ゴッホが描いた絵画とモデルになった今も残るヌエネンの教会が交互に見える。ゴッホの写実性の高さがうかがえる

「フィンセンター」にはゴッホの本物の絵画はないが、ゴッホが暮らした1883〜1885年頃のヌエネンの様子やゴッホの人となりを知ることができる充実した展示内容になっている。

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 13  ゴッホの手紙や家族・知人などゆかりの人々の私物を集めたコーナー    14  牧師だった父親が着ていた服    15  ゴッホの肖像画のパネル。3階にはゴッホに影響を受けた作家の作品も展示されている    16  1階にあるカフェでひと休みするのもいい

ヌエネンには当時のアトリエや恋人の家、作品に描かれた教会や水車小屋など、ゴッホゆかりの21のスポットをつないだサイクリングルート「a trail of Van Gogh」がある。ゴッホが見た風景と同じ景色を眺めながら、ゴッホの暮らした町を巡る、ファンにはたまらない散策コースだ。

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 17  ヌエネンの広場に作られた『じゃがいもを食べる人々』の像    18  「a trail of Van Gogh」のひとつ。道路を挟んで奥に見えるのは、ゴッホが『じゃがいもを食べる人々』を描くにあたってデッサンしていた農民一家が暮らしていた家。現在も普通の家として一般の方が住んでいるというから驚く    19   20  「フィンセンター」の白い箱で見たゴッホの絵に描かれたヌエネンの教会。この教会で父親が牧師として働いていた。案内板には説明が書かれているのでわかりやすい

上記写真「19」の教会を描いた絵画『ヌエネンの教会から出る人々』は、実は2002年にアムステルダムのゴッホ美術館から盗難されて行方知れずだったのだが、なんとこのほど(2016年9月末)にイタリアで発見されたという嬉しいニュースが飛び込んできた。教会前に立てられた案内板にはこの絵が盗まれたことが説明されているが、また再びゴッホ美術館で本物が見られる日が待ち遠しい。

「フィンセンター」は観光案内所も兼ねており「a trail of Van Gogh」のルート図を手に入れることもできる。各ゆかりの地には番号のついた案内板が立てられているので目印になる。名作が生まれた町をのんびり散策してみよう。

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 21  ゴッホが描いた水車小屋。水車は今も現役    22  「a trail of Van Gogh」のスポットは離れたものもあるので、より多くまわりたいならレンタサイクルの利用が便利  

アクセス&データ

ズンデルトZundert

アムステルダム中央駅から列車でロッテルダムを経由してブレダBredaへ。ブレダ駅前からバスで約30分。

●フィンセント・ファン・ゴッホハウス Vincent van Gogh House
 住所: Markt 27
 URL: www.vangoghhuis.com

ヌエネンNuenen

アムステルダム中央駅から列車でアイントホーヘンEindhovenへ。アイントホーヘン駅前からバスで約15〜20分。

●フィンセンター Vincentre
 住所: Berg 29
 URL: www.vangoghvillagenuenen.nl

幻想的な『星月夜』ロードに感動!
デザインシティ「アイントホーフェン」へ

ヌエネンへの起点となる町アイントホーヘンEindhovenに、ゴッホ晩年の傑作『星月夜』をイメージした光るサイクリングロードがある。日中の太陽光を貯め、暗くなると光る蓄光塗料が使われていて、夜に訪れるとまるで絵画のなかに入り込んだかのような幻想的な光景を見ることができる。
アイントホーヘンは、オランダが世界に誇る家電メーカー「フィリップス」の本拠地だった工業都市。2001年に本社はアムステルダムに移ったが、フィリップスによって創られた世界的なデザイン学校「アイントホーヘン・デザイン・アカデミー」や、当時の社屋・工場をおしゃれに改装した建物が数多くあり、現在はデザインシティとして知られている。世界初の2輪車専用空中ラウンドアバウト「ホーヘンリング」を作ったことでも話題に。

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 23   24  2014年にオランダ人デザイナー、ダーン・ローズガールデ氏Daan Roosegaardeが造った『星月夜』ロード    25  2012年に完成した吊り下げ型の2輪車専用ロータリー    26  アイントホーヘンの町並み。おしゃれな建築物が多い    27   28  フィリップスの歴史がわかるミュージアム    29   30  白い流線型の建物の地下は巨大な駐輪場になっている  





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地球の歩き方ガイドブック 編集部