旅を終えて~光の画家の系譜~

ふたりのオールド・マスターを繋ぐひとりの画家

今回は、オランダの黄金時代に生きた人気画家、レンブラントとフェルメールをメインテーマに据えた旅だったが、その途中で気になった画家がいた。同じ17世紀を生きた寡作の画家カレル・ファブリティウス(1622-1654)。レンブラント工房に籍を置き、だまし絵の技法を得意とした画家とされるが、デルフトの街の広域を消失させた火薬庫の火事により、32歳の若さでこの世を去っている。現在確認できる彼の作品は10点にも満たない。帰国後、いくつかの書物を繙いてみると、彼がフェルメールの師であるという説を展開しているものもあった。副業で画商を営んでいたフェルメールが彼の作品を少なくとも2作品を所有していたということも分かった。たとえ師弟の繋がりがなくても、同業の画家として影響を受けた可能性は十分にある。
ふたりの「光の画家」を繋ぐのがカレル・ファブリティウスであれば、まさにドラマティックである。ついでにいえば、レンブラントの師のひとりピーター・ラストマンは、イタリアで過ごし、カラヴァッジョの影響を受けたカラヴァジェスキである。光の画家の系譜は、フェルメールからレンブラントを経てガラヴァッジョまでたどれることになる。
こんな空想もアートをテーマにした旅ならではの楽しみである。


Carel Fabritius(1622-1654)
(c)Mauritshuis
HOME   アートに出合う旅   旅を終えて~光の画家の系譜~