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コンコルド広場とパレ・ガルニエの間、パリの中心部に位置する教会。正面から見上げると、まるでアテネのパルテノン神殿のようだが、現役のカトリック教会で、大統領もここの教区民ということになる。あまり教会らしくない造りになったのには、歴史的、政治的な理由がある。聖女マドレーヌ(マグダラのマリア)にささげる教会の建設が計画されたのは18世紀のこと。太陽王ルイ14世の曾孫であるルイ15世によって礎石が置かれ、建設が始まった。ところが建築家が相次いで他界するなど、何度も設計が変更されるうちにフランス革命が勃発、工事は中断してしまう。新たな形で建設の再開を指示したのは、皇帝となったナポレオンだった。基礎工事半ばで放置されている状態を見た彼は、「わが陸軍の栄光のシンボル」となる、古代ギリシア風の大殿堂を建設することを命じる。ナポレオン失脚後は、カトリックの教会に戻されたが、神殿スタイルはそのまま残ったというわけだ。幅43m、奥行き108m、高さ30m。堂々とした円柱が並ぶ正面から内部に入ると、外観からはとても想像できない、厳かな教会空間が広がる。3つのクーポール(丸天井)にうがたれた窓から差し込む淡い光は、祭壇奥に配された彫像『聖マグダラのマリアの歓喜』を包み込むかのようだ。入ってすぐ左にあるリュード作『キリストの洗礼』と合わせて見ておきたい。