カタルーニャ美術館

更新日
2023年1月20日
公開日
2022年8月28日
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美術館は、モンジュイックの丘に建つパラウ・ナシオナル内にある。1929年の万国博覧会の際に造られた建物で、1934年に改築されて美術館となった。正面玄関を入ると左側がロマネスク美術、右側がゴシック美術とティッセン・ボルネミッサ・コレクション、そして2階はおもにモダンアートの展示室になっている。まさにカタルーニャの美の殿堂と呼ぶのにふさわしい美術館だ。 なかでもロマネスクの分野では世界でも有数のコレクションを誇り、タウイのサン・クリメン聖堂やサンタ・マリア聖堂をはじめとするピレネー山麓各地の聖堂から移された壁画は、カタルーニャ・ロマネスクの神髄を明らかにするものだ。これらの作品は、もとの聖堂にあった状態のままに再現・展示するように配慮されており、そのため美術館を訪れる人々は、作品の本来の意義をよりよく理解しながらロマネスク美術の魅力に浸ることができる。 また祭壇装飾の板絵では、ラ・セウ・ドゥルジェイの『十二使徒の前飾り』、モソイの『聖母伝の前飾り』、トマの『全能のキリストの天蓋飾り』などが、構想に優れた力強い作品だ。このほか、オロットの『磔刑像』、ヘルの『聖母子像』、ドゥロの『十字架降下群像』中の聖母像などの木彫像、また石彫、金工品にも、カタルーニャに独特な素朴で敬虔な精神が表れている。 開館直前の1934年9月、おりしもバルセロナ滞在中のピカソが、招待を受けてこの美術館を訪れた。このときピカソは、ロマネスク美術の「力強く、烈しく、大胆で確信に満ちた表現」に感嘆し、「ヨーロッパ美術の本源を理解しようとする人々には、極めて本質的で、貴重な教えを説くもの」と、称賛の言葉を惜しまなかった。

写真

  • 館内は広いので、時間に余裕をもって訪れたい
  • タウイのサンタ・マリア聖堂の壁画(12世紀)
  • タウイのサン・クリメン聖堂の壁画『全能のキリスト』(12世紀)
  • ヘルの『聖母子像』(12世紀後半)
  • ドゥロの『聖ユリッタと息子キリクスの前飾り』(12世紀)
  • ラ・セウ・ドゥルジェイの『十二使徒の前飾り』(12世紀)
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