バルデモサ

更新日
2023年1月25日
公開日
2022年9月11日
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パルマから北へ約18km、くねくねとした山道を上って行くと、小高い丘に広がるバルデモサの村が見えてくる。この村は、ショパンと女流作家ジョルジュ・サンドの愛の逃避行で知られている。不倫のうわさが広まりパリに居づらくなったふたりが、肺を病んでいたショパンの転地療養を兼ねて、マヨルカにやってきたのは1838年のこと。そして彼らがひとめを避けるようにしてひと冬を過ごしたのが、バルデモサにあるカルトゥハ修道院 Real Cartujaだった。 この修道院は1399年にアラゴン王によって創設され、1835年には貸別荘として僧房が貸し出された。ショパンたちが借りていたとされる2部屋には、ピアノ、楽譜、書簡など、ふたりにまつわる品々が置かれている。この部屋でショパンは名曲『雨だれ』を作曲し、ジョルジュ・サンドは後に『マヨルカの冬』という作品を書き残した。修道院ではほかに、『マヨルカの冬』にも出てくる17世紀の薬局、院長の部屋、博物館などが見学できる。 広場を挟んで修道院の向かいには、サンチョ王の宮殿 Palaudel Rey Sanchoがある。14世紀前半、初代マヨルカ王のハイメ2世が息子サンチョ(ハイメ3世)のために、アラブ人の古城の廃墟跡に建てた宮殿だ。その後も歴代のマヨルカ王がこの宮殿を別荘として利用しており、内部には彼らが使用していた家具などが展示してある。また、ホールでは地元のピアニストによる演奏が毎日開催されているほか、月曜と木曜の午前中には民俗舞踊の公演が行われている。 修道院を見終わったら、バルデモサの村を歩いてみよう。家々の戸口には、この村が生んだ聖女カタリナの生涯を描いた絵タイルが飾られていて、それを一つひとつ見て歩くだけでも楽しい。

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