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●シャガールも住んでいた芸術家たちのアトリエ「ラ・リュシュ」
モンパルナスの外れに、十二角形のユニークな形をしたアパルトマンがある。その形状から「ラ・リュシュLa Ruche(蜂の巣)」と呼ばれるこの建物は、彫刻家ブッシェが私財を投げ打って、貧しい芸術家たちのために造ったものだ。住人となったのは、おもに「エコール・ド・パリ」と呼ばれる一派の人々。なかにはシャガール、モディリアニといった未来の巨匠たちもいた。また、キュビスムの画家レジェ、彫刻家ブランクーシとザッキン、マックス・ジャコブ、アポリネールといった作家たちも、ここに住んでいた。互いのエネルギーを糧として啓発し合った彼らは、やがて、独自のスタイルを確立していった。
●今でもひっそりと昔の雰囲気が残る場所
TGVアトランティック線が開通して以来、再開発が進められてきたモンパルナスに、20世紀初頭の名残を探すのは難しい。ただ、ひとつだけ、そんな時代の趣を残す場所がある。「シュマン・デュ・モンパルナスChemin du
Montparnasse」(け 別冊P.18-2B)という名の小道だ。ここにあるギャラリー「ラ・ヴィラ・ヴァシリエフLa Villa Vassilieff」は、かつてピカソやマティスが足しげく通った、ロシアの画家マリー・ワシリエフのアトリエ跡を利用したものだ。今も芸術家たちのアトリエが並ぶこの小道を散歩すれば、20世紀初頭のモンパルナスの空気を感じとることができるだろう。