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20世紀初頭に開館した歴史ある美術館。ルーヴル宮の一角に居を構え、装飾芸術全般にわたる作品を所蔵、展示している。約10年間にも及んだ大工事を経て、展示スペースはさらに拡張され、常設展だけでも6000m2を確保する。膨大な所蔵品のなかから厳選された約6000点のコレクションが、常時公開されている。展示室は、吹き抜けになったホールを取り囲むギャラリー沿いに並ぶ。中世、ルネッサンス期から、ルイ14世、マリー・アントワネットの生きた17〜18世紀、アールヌーヴォーとアールデコ、そして現代にいたるまでに区分され、時代を追って装飾芸術の歴史をたどることができる。展示品は、装身具、香水瓶といった小物から、ベッドや椅子といった家具まで、生活装飾に関するあらゆる品が揃う。また、宝石ギャラリーでは贅を尽くした宝飾品の数々が展示され、圧巻だ。時代ごとに調度品を使って再現した部屋では、当時の生活空間や流行を知ることができ、デザインに興味のある人なら見逃せない。特筆すべきは、これらの作品の大部分が、家具製造業や金銀細工業など、実在した製造業者からの寄贈や遺贈によるということだ。フランスに根づいた生活装飾文化の豊かさと、懐の深さを実感することができるだろう。このほか、モードやテキスタイルに関する所蔵品だけでも15万点を数える。3世紀から現代にわたる服飾品や織物が揃うほか、ラクロワ、ディオール、サンローランといった、フランスを代表するクチュリエの作品も所有している。また、広告ポスターについては、フランスに初めてポスターが登場した18世紀中頃から現在にいたるまでの作品が約10万点。これらのコレクションは、テーマに応じ、期間を限定して企画展として一般公開される。興味のある人は、それぞれ会期を確認してから出かけるといいだろう。