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「スペインのヴァチカン」とも呼ばれる、聖母マリア信仰の中心地。14世紀初め、ひとりの羊飼いがグアダルーペ川のほとりで聖母マリアのお告げを受けその場所を掘ってみると、聖ルカが彫ったとされる木彫りの聖母像が見つかった。1340年、聖母像に加護を祈願した直後にサラードの戦いでイスラム軍を撃破したアルフォンソ11世は、聖母マリアに感謝し修道院の建設を開始した。 その後修道院は聖母マリア崇拝の中心地となり、コロンブスがカリブ海の島をグアダルーペの聖母に奉納してからは新大陸のキリスト教化の象徴とし、先住民たちを連れてきて最初のキリスト教徒に改宗させた。毎年10月12日の「イスパニアの日」には、聖母像をいただいた行列が町を練り歩く。 修道院見学は、参事会室Sala Capitularから始まる。ここでは修道士たちが制作した写本が見もの。参事会室の奥には14〜15世紀に造られたムデハル式回廊Claustro Mudéjarがあり、中庭にムデハル・ゴシック様式の聖堂が建つ。また回廊の周りにあるふたつの展示室では、見事な刺繍を施したマントや祭壇飾り、エル・グレコやゴヤの絵画、ミケランジェロの作とされる彫刻などを観ることができる。聖母像が祀られている教会Iglesiaを抜けると、バロック様式の装飾が美しい聖具室Sacristíaに出る。壁一面を覆う、ヒエロニムス会修道士たちの姿や聖ヒエロニムスの生涯を描いた一連の絵画は、スルバランによるものだ。さらに聖母像のマントや冠を展示する聖遺物室Relicarioに続いて、カマリンCamarínと呼ばれる小聖堂へ。豪華な装飾が施されたこの部屋は、玉座の控えの間に当たり、聖母像を間近に拝することができる。巡礼者たちはここで、聖母像のマントに付いた円形の浮き彫りに接吻をささげる。