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ピカデリーの通りの南側、トラファルガー広場の西側あたりがセント・ジェームズと呼ばれるエリア。トラファルガー広場の南側にある立派な門が、アドミラルティ・アーチAdmiralty Arch(直訳すれば「海軍省門」)で、名前を見ればわかるとおり、海軍省の建物の一部なのだが、1910 年にヴィクトリア女王の追悼記念事業の一環として造られたもの。この門をくぐって、はるかかなたに目をやると、正面に上品な白い建物が見える。これが、女王陛下のお住まいバッキンガム宮殿だ。セント・ジェームズ・パークとグリーン・パークGreen Park、そしてバッキンガム・パレス・ガーデンズBuckingham Palace Gardens の3つの公園に囲まれており、あまり大きくないので意外に思うかもしれない。あの有名な衛兵交替の時間になると、宮殿の前は黒山の人だかり。観光客にとっては見逃すことのできないスポットとなっている。
アドミラルティ・アーチから、バッキンガム宮殿へと続く道ザ・マルThe Mall(“メル”という発音に近い)は、儀式用の道路として造られたもので、来賓などイベント時には両脇に国旗が掲げられる。ザ・マルの左側は、セント・ジェームズ・パークSt.James's Park の緑が広がり、右側はやんごとなき人々の居住空間となっている。王族内の何家族かの住まいと事務所になっているセント・ジェームズ宮殿St. James's Palace、チャールズ皇太子夫妻の住まいでもあるクラレンス・ハウスClarence House など、ホース・ガーズからロイヤル・ミューズあたりまで、この一帯には王室関連の建物が並ぶ。
一方、ザ・マルと並行して走るパル・マルPall Mall (これも“ペル・メル” に近い発音)という通り沿いも特筆
すべきエリア。Pall Mallという名は、このあたりでかつて“paillemall”というゲームが盛んに行われていたことに由来する。このゲームはクローケー croque(t ゲートボールの原型で、木槌で木製ボールを打ち、鉄の門をくぐらせ、相手のボールを追いのけながらゴールのボールに当てる)のもとになったもので、イタリアで生まれ、フランスで大流行、そしてイギリスの紳士たちが夢中になったとのこと。この通り沿いには陸海軍クラブとか王立○○クラブとか、お金だけでは入れないクラブがズラリ。誇りと名誉のカタマリのような所だ。