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カンタブリア山脈と海に挟まれたアストゥリアス地方は、その地形のために自然と歴史がスペインのほかの地域とずいぶん異なっている。中世の時代、山脈の南ではイスラム文化が繁栄を極めていたが、北側ではアストゥリアス王国のもとキリスト教文化が育まれた。この時期の教会建築は、アストゥリアス様式と呼ばれ、後々の建築様式にも影響を与えている。 またこれらの教会は、11 世紀以降に造られたロマネスク様式と同じ石造りの骨組みをもっていることから、プレ・ロマネスク教会とも呼ばれている。当時の教会は、現在もオビエドを中心として各地に残されている。歴史的重要性からそのうち4 つの教会がユネスコの世界遺産に登録されている。 そのうちふたつは、オビエド北郊のナランコ山にあり、オビエドのウリア通り( P.401)からA1、A2 のバスで約10 分。下車後10 分ほど歩くと、オビエドを一望にする丘に建つサンタ・マリア・デル・ナランコ教会Iglesia de Sta. Maríadel Naranco が見えてくる。アストゥリアス王、ラミーロ1 世が離宮として842 年に建設したもので、2 階には見晴らし台や謁見の間、浴室の跡が残っている。またナランコ教会の200 mほど先には、サン・ミゲル・デ・リーリョ教会Iglesia de San Miguel de Lilloが建っている。離宮の礼拝堂として建てられたもので、細長い身廊をもち、プレ・ロマネスク様式の石の格子窓が印象的だ。