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今なお、黒い木枠に白壁というチューダー様式の家並みが残る古い町、ハンプトン・コート。この町に、16 世紀の宮殿、ハンプトン・コート・パレスHampton Court Palace がある。
1514 年、ヘンリー8 世Henry Ⅷ の重臣だったウォルズィWolsey 枢機卿が、財にまかせて「イギリスで最も豪華な館」を造らせた。しかし、いざできあがってみると、そのあまりのすばらしさのために、ヘンリー8 世に取り上げられてしまったという。テムズ河沿いに静かに建つこの宮殿を見ると、なるほどと思えてしまう。内部も豪華。ヘンリー8 世の贅を尽くした宮廷生活の名残が各部屋に感じられる。
Hampton Court 駅で下車し、Hampton Court Bridgeでテムズ河を渡れば、もう宮殿の入口。前庭への立ち入りは無料だが、門から先は有料。3 つ目の中庭(コートヤード)がクロック・コートClockCourt。この中庭に入る際にくぐったゲートを振り返ると、上方にカラフルな大時計が見える。テムズ河の干満まで表すというこの時計から、クロック・コートの名がつけられた。
クロック・コートの脇から宮殿内部へ。ステート・アパートメントと呼ばれる内部には、ヘンリー8 世の肖像画をはじめとして、歴史上貴重な資料が数多く展示されている。また、ホーンテッド(幽霊)・ギャラリーとしっかり名前までついている有名な一角がある。ヘンリー8 世に姦通の罪で処刑された5 番目の妃、キャサリン・ハワードが夜な夜な現れるとか。
ほかにも、16 世紀の王室の台所がそのまま再現されているチューダー・キッチンは必見。ここでは、料理が作られてからグレート・ホールで供されるまでの過程を模型で知ることができる。
時間が許せば、南のプライヴィ・ガーデンPrivy Garden や北のウィルダネスWilderness といった見事な庭園を歩いたり、垣根で造られたメイズ(迷路)を試してみるのもいい。現在カフェのある所は、かつて一騎打ちが行われた場所。裏の温室では、イギリスで一番大きいといわれるブドウの木も見られる。