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ロードハウ諸島は、約700 万年前に隆起した海底火山が浸食されできあがった。諸島内最大のロードハウ島や、海から550m そびえ立つボールズピラミッドなど大小28 の島からなる。1788 年に発見され19 世紀に人間が移住するまで鳥類と植物の楽園だった。今でも241 種ある植物の113 種が固有種で、ロードハウクイナなどここにしかいない鳥を含め130 種以上の鳥が見られる。沿岸には世界最南端の珊瑚礁が広がり、コーラルシーの暖流とタスマン海の寒流がぶつかり合う海域に、熱帯魚から回遊魚まで約500 種の魚と約90種類のサンゴが生息している。その独特の地形と生態系から1982 年に世界自然遺産に登録されている。
カンタス航空の38人乗りの小さな飛行機、DASH400 でシドニーから北東へ2 時間(約700km)。真っ青な海に囲まれた島に降り立つと、切り立つ緑色のガウア山Mt.Gower とリッジバード山Mt.Lidgbird が目に入る。空港から車を進めると、道路にはパームツリーの木々が生い茂っている。
独特な自然の豊かさが強調されるロードハウ諸島だが、魅力はそれだけではない。旅行客の受け入れを1 日400 人に制限する、人口350人の島。その島のライフスタイルに魅せられた多くの人が毎年のように訪れているのだ。
この島には、都会ではなくしてしまったコミュニケーションが今も変わらずにある。アイランダーと呼ばれる島の人々はすれ違うと、お互い手を振ったり、あいさつしたり。旅行客であっても、普通にあいさつするようになってしまう。決して混雑していないのに、車の制限速度も時速25 キロ。ドライバーが道を行く人々に「ハロー」と声をかけたり、手を振るのに十分な速度だ。
民家はもちろん、ホテルの部屋も鍵をかけないのがこの島の習慣だ。オーストラリア本土から遠く離れた島なので、素性の知れない誰かが来ることもない。島の警察官は関税手続きなど、どちらかというと事務に近いことがメインの仕事らしい。ロードハウの自然に囲まれ、フレンドリーな人々と接していると、こちらまで優しくなれる気がしてくる。人と自然にシンプルなかたちで触れられるロードハウ島は、この島にしかないものが見つかる、ずっと変わらない場所であり続けてきた。オーストラリアのリピーターにこそ、訪れてほしい場所だ。
豊かな自然を満喫できるよう、さまざまなアクティビティが用意されている。ただし、ダイビングやボートツアー、登山などは天候、潮の高さなどに催行が左右され、必ずしも毎日定刻にスタートするとはかぎらないので事前に確認を。ベストなタイミングで島を堪能するには、長めの滞在が望ましい。
●ウオーキング
1 から10 までレベル分けされたコースが用意され、地図とサインを頼りに自分で歩く。道は舗装道路でもボードウオークでもなく自然のまま。サインを見逃さないように。ガウア山の山登りもそのひとつ。
●ガウア山登頂
片道4 時間、帰りも4時間の14km コース。ロープをつたって断崖絶壁も登るタフな内容だが、天気がよければ875m の山頂からロードハウ島全体が見渡せる。有資格のガイドとのみ登ることができる。
●ノースベイ・タートルツアー&ネイチャー
グラスボトムボートでノースビーチに行く半日ツアー。スノーケリングもでき、ノースビーチでティータイム後にはガイドによる解説を聞いたあと、自由に散策。
●ダイビング
5つの海流の分岐点にある魚とサンゴの宝庫。周辺に60 以上のポイントがあり、ビーチダイブ、ボートダイブまでコースも多様。ボールズピラミッドが有名なポイントだが(要アドバンス資格)、ほかでもエンゼルフィッシュ、アネモネフィッシュ、ベラの仲間などが見られる。
●フィッシング
島全体が魚礁といわれる太公望のパラダイス。キングフィッシュ(ヒラマサ)、イエローフィンツナ(キハダ)、ワフー(カマスサワラ)などが釣れる。ボートをチャーターできる。また、ネッズビーチでは魚の餌づけができ、魚が足元まで寄ってくる。