サン・ミニアート・アル・モンテ教会

更新日
2023年7月31日
公開日
2023年6月6日
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ロマネスク様式の優雅なファサードをもつサン・ミニアート・アル・モンテ教会は、非常に小さいのだが、その美しさは高台にぽつんとあるという立地条件もあって印象的だ。この教会は、3世紀中盤のキリスト教者迫害に遭って殉教した聖ミニアートにささげられた(完成は13世紀初め頃)。鐘楼は16世紀初めの再建(B.ダニョロ)で、最後の層は未完成に終わっている。

ファサードは白と緑の大理石で美しく飾られ、フィレンツェに発達した独自のロマネスク様式の典型とされている。下部では半円柱が5つのアーチを支え、その下に3つの扉が配置されている。上部はより装飾的で、中央部には窓形の壁へき龕がんと『玉座のキリストとマリアと聖ミニアート』のモザイク(13世紀)が配置されている。また、最上部のタンパンは連続アーチや細かな装飾によって軽やかな印象だ。

バジリカ形式の内部は3つの廊に分かれ、後陣側3分の1ほどはクリプタCripta(埋葬所)の上に造られたために床上げされている。天井部もトラスが露出した簡潔な造りだが、廊を仕切る正確なアーチ、床や祭壇を飾る見事な大理石の象ぞう嵌がん装飾などがこの教会に厳かな印象を与えている。堂内中央の『十字架の礼拝堂』CappelladelCrocifissodiMichelangeloはミケロッツォの設計によるもので、ヴォールトの白と青の彩色テラコッタの装飾はL.デッラ・ロッビアの作だ。礼拝堂の後ろには7つの廊に仕切られたクリプタが広がっている。柱や柱頭のいくつかは非常に古く、祭壇の聖体拝領台(11世紀頃)には聖人の遺骸の一部が収められている。また、ヴォールトにはT.ガッディの描いた聖人や預言者のフレスコ画(14世紀中頃)が見られる。一方、クリプタの上に設けられた内陣には見事な大理石の囲いChiusodaRecintoMarmoreoと祭壇Pulpito(1207年)がある。後陣には『マリアと聖ミニアートに祝福を与えるキリスト』と題された、13世紀末の荘厳なモザイクが残るが、かなり手を加えられている。一方、左側廊の中ほどにはブルネッレスキの弟子のA.マネッティが設計したルネッサンス様式の墓碑装飾の好例『ポルトガルの枢機卿の礼拝堂』があり、ヴォールトの円形装飾Tondiは、L.デッラ・ロッビア、枢機卿の墓自体はA.ロッセッリーノによる。

堂内の見学を終えたら、ミケランジェロ広場より一段と高い教会の前からフィレンツェの印象的な眺めを楽しんでみよう。

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