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アルノ川に面して立つ11世紀のS.マッテオ修道院におかれた美術館。ピサや周辺の教会などから運ばれたピサ派の彫刻やトスカーナ絵画の秀作を展示。1階は石像や柱頭の彫刻など、2階に12~15世紀の彫刻・絵画を展示。
2階 Piano Primo 展示順に傑作を見て行こう。最初の展示は12~15世紀の彩色十字架像。平面的に描かれた初期のキリスト像からより人間らしい姿形への変化などに時代の変遷が感じられる。
続いて祭壇画では、フランチェスコ・トライーニの『サン・ドメニコの祭壇画』Polittico di San Domenico、シモーネ・マルティーニの『アレッサンドリアの聖カテリーナの祭壇画』Polittico di Santa Caterina d'Alessandriaなど。やや奥まった右の展示室には、大理石に一部金色に彩色したアンドレアとニーノ・ピサーノ親子による『授乳の聖母』Madonna del Latte、ジョヴァンニ・ピサーノの『聖母子』Madonna col Bambinoの彫刻。絵画ではソドマによる『聖なる会話』Sacra Conversazione。
さらに通路を進むと、マサッチョの『聖パウロ』San paolo、ジェンティーレ・ダ・ファブリアーノとベアート・アンジェリコの『謙遜の聖母』Madonna dell'Umilta。ふたつは同名ながら、前者は後期ゴシック様式で聖母を甘美に見つめる幼子、金で飾られた華やかな背景は異国情緒を感じさせる。一方後者はルネッサンス様式で金色の背景に聖母子が際立っている。
続いて、ひときわ目を引くのがドナテッロによる金色に輝く『聖ルッソリオの胸像』Busto-reliquiario di San Lussorioだ。ギルランダイオの『聖母子と聖人』Madonna col Bambino in trono fra I santi Caterina,Stefano,Lorenzo e Doroteaは清らかな作品。ゴッツォリの『聖母子と献上者を連れた聖アンナ』Madonna col Bambino e Sant’ Anna con donatriciはテンペラ画で額も当時のオリジナル。
中庭側(内側)展示室にはいくつもの等身大の彫像が並び、とりわけアンドレア・ピサーノの『お告げの天使』Angelo annuncianteはたおやかな美しさで、中世の教会で演じる女優のようとも形容される。