更新日
2023年6月30日
公開日
2023年6月30日
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この峠はヨーロッパの分水嶺として昔から有名で、峠の西側に降った雨や雪はローヌ渓谷を下り、レマン湖から地中海へ、東側に降った雨や雪はロイス川からフィアヴァルトシュテッター湖を経由して、ライン川に合流して北海に注ぐ。今や世界的に有名になったグレッシャー(氷河)・エクスプレスの「氷河」という名前は、このフルカ峠を越えるときに眺められるローヌ氷河に由来している。

現在は新フルカトンネルを使って約20分で通過するレアルプとオーバーワルトの間を、かつて列車はラックレールを使ってよじ上り、約2時間もかかって峠を越えていた。
この途中の車窓からはローヌ氷河Rhonegletscherが手に届くように眺められたため、「グレッシャー・エクスプレス」の名前がつけられたのだ。現在では列車も通らなくなり、氷河そのものも地球温暖化でかなり後退してしまったので、列車が通っていた頃の絶景は写真や絵画でしか見ることはできない。

峠を訪ねるバスの旅

さてアンデルマットからバスに乗ると、まず荒涼としたウルスレンUrserenの谷を、突き当たりのレアルプRealpの村まで進む。
ここまで並行して走っていた線路は、約16kmの新フルカトンネルを通って峠の反対側のオーバーワルトOberwaldへ向かう。バスはそのまま峠道へ。ここから本格的な峠の上りにさしかかる。
峠越えの道はヘアピンカーブの連続。峠の東半分は道幅もそんなに広くなく、対向車が来たときはどちらかが道を譲ることになる。道を知り尽くしたバスの運転手はホーンを鳴らし、向かってくる乗用車に対しては窓から顔を出しながらどんどん峠道を上っていく。
標高が上がると同時に視界は広がり、振り返るとレアルプの町はもちろん、アンデルマットの町、そしてはるか東のオーバーアルプ峠Oberalppassまで遠望することができる。やがて標高2429mのフルカ峠の頂上、分水嶺に到着する。

ローヌ川の水源であるローヌ氷河

さて、バスは峠を通り過ぎてすぐにローヌ氷河近くの、ホテル・ベルベデーレBelvedereに停車する。
かつて氷河観光の旅行者でにぎわったところだが、氷河の後退と比例するように訪問者が減少。ここ数年はずっと休業状態で、このまま閉業してしまう可能性が高い。
バスは停車するので、ここで降りて氷河を訪れたり、周辺をハイキングしたりすることは可能だ。その場合接続のバスの時間をしっかり調べておこう。

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