バレンベルク野外博物館

更新日
2023年6月30日
公開日
2023年6月30日
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スイス各地に残っていた15〜19世紀の民家や農家など、100以上の家屋を移設した野外博物館。スイス版明治村(江戸村?)といったところだが、ほとんどが農家というのがいかにもこの国らしい。地形が違えば気候が違い、農業の形も変わる。それにともなって建築様式もさまざまに変化する。九州ほどの小さな国の中にこれほど多様な文化があることに、驚かされるに違いない。観光立国のもうひとつの顔をのぞきに行こう。
湖畔のなだらかな丘に造られた博物館はたいへん広く、見応えがある。見学には半日を予定しておこう。敷地は東西に細長く、入口は正面口(西口)と東口の2ヵ所。東口から歩き出し、西へ抜けて、最後に正面口前のギフトショップをのぞいて帰るのがおすすめ。どちらから入っても、ゲートで案内図を買うのをお忘れなく。
博物館といっても決して堅苦しくなく、ちょっとしたテーマパークのようなもの。社会科見学の子供も大勢いるが、みんなピクニック気分で楽しんでいる。園内は地方別に13の区画にまとめられていて、標識もよく整っている。石の瓦を載せたヴァリス地方Wallisの家。木組みの白壁とブドウ畑の調和が美しいミッテルラント東部Östliches Mittellandの家。家畜小屋と居室が一体になっていたり、地下に機織り部屋があったり、屋根裏が倉庫になっていたり、一軒一軒すべて異なる建築様式。屋根の形の違いだけでもおもしろい。どの家も扉が開け放たれ、自由に中へ入って作業場や台所、寝室などを見ることができる。
バレンベルク野外博物館の見どころは家屋だけではない。いくつかの家では、民族衣装に身を包んだ人々が伝統的な仕事ぶりを見せてくれる。博物館の係員はすべて農民、あるいは職人なのだ。畑では、ハーブ、たばこ、ブドウ、トウモロコシ、小麦などその地方で収穫されている作物を育て、それぞれの農家が乳牛、蜂、ウサギなど異なる家畜を飼っている。
また職人が見せてくれる伝統的な技術も興味深い。パン職人がパンを焼き、鍛冶屋が蹄鉄を打ち、羊毛から糸を紡ぎ、麦わらで籠を編んでみせてくれる。道具もすべて当時のものを使い、明かりはもちろんランプだ。木彫り、ボビンレース、刺繍、時計など、各分野の職人が作った工芸品やパンは購入することもできる。
区画と区画をつなぐ小道沿いにはカラマツの林が広がっている。若葉の頃、黄葉の頃にはさぞ美しいだろう。

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