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ナショナルギャラリーの彫刻庭園の北側に、独立宣言、合衆国憲法、人権宣言の原本など、まさに国宝級の古文書を保存、展示している国立公文書館がある。ギリシア神殿を思わせる壮麗な建物で、ここには世界中から多くの人がリサーチに訪れる。
国立公文書館の数ある収蔵品のなかでも最も貴重な文書である独立宣言Declaration of lndependence、合衆国憲法The United States Constitution、人権宣言(権利章典)Bill of Rightsの3つは『自由の憲章Charters of Freedom』と呼ばれ、ロタンダ(円形広間)でアルゴンガスを注入したチタンとアルミニウムに金メッキを施したケースに収められて公開されている。もちろん、すべて正真正銘オリジナル。200年以上も前の文書だから色があせてはいるが、保存状態は悪くない。黄色く見えるのは、羊皮紙に書かれた文書を有害な光線から守る特殊フィルターのためだ。この『自由の憲章』は夜間や緊急時には展示場所の真下(地下6m)にある頑丈なシェルターに下ろされ、厳重に保管される。
国立公文書館は全米に40以上の出張所と関連機関をもち、132億点以上の文書、1000万点の地図や設計図、4400万点の写真、56万本の映画(ロールフィルム)、そして1320テラバイトを超える各種文書の電子データが収蔵されている。自由の女神の贈呈書、奴隷の売買契約書、戦艦ミズーリでの日本の降伏文書などはその一部。ここに収蔵されている文書や写真は、アメリカ史の栄光も暗部もありのままに伝えてくれる。