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個人宅に所蔵され、厳しい入場制限があることから「幻のコレクション」といわれたバーンズコレクション。後期印象派を中心とする珠玉の名作が、現在フィラデルフィアの中心部で美術館として公開されている。日本でも1994年、最長7時間待ちの記録を作ったコレクションは、フィラデルフィアの重要な観光の目玉になっている。
目薬の開発で巨万の富を得たバーンズは、美術にも深い造詣を寄せ、財団を設立。一般にも公開しようと、これを公開前に貸し出したところ酷評を受けた。不快に思ったバーンズは公開を中止。わずかな人しか見学できないようにしたのだ。バーンズの死後も作品は、カラーでの複製、展示位置の変更、売却、他美術館への貸し出しを禁止し、長い間門外不出であった。しかし、資金繰りに困りギャラリーの改装資金捻出のため、コレクションはワシントン、パリ、東京(1994年)の巡回などを経て、ようやく2012年5月現在の地にオープンした。
まず、驚くのはその配置法。氏のストイックなまでの展示方法がきっちり再現されている。画家ごとに左右対称に展示され、中央には核になる作品が配置されている。セザンヌの『大水浴The Large Bathers』、『カード遊びをする人たちThe Card Players』、マチスの最高傑作のひとつ『生きる喜びLe Bonheur de vivre』、寡作の画家スーラの『ポーズする女たちModels』、ルノワールの『横たわる裸婦Reclining Nude』などすばらしい作品群が十二分に堪能できる。